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格差社会だからこそ共感できる?『スラムドッグ〜』成功の理由

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格差社会だからこそ共感できる?『スラムドッグ〜』成功の理由

第81回アカデミー賞8部門で受賞した『スラムドッグ$ミリオネア』(4月18日公開)。たった1400万ドルの予算で製作し、大スターも出ていないこの作品が、なぜここまで成功を収めたのだろうか?

受賞の興奮冷めやらぬダニー・ボイル監督に話を伺ったところ、こんな答えが返ってきた。「それはこの映画のストーリーにこそ理由があるんです」

本作は、インドの小さな少年が世界最大のクイズショー“クイズ$ミリオネア”で勝ち進んでいく話。スラム街出身の少年はなぜクイズに解答し続けることができたのか? 監督は、脚本家のサイモン・ビューフォイが書いたシナリオを「原作小説の脚色ではなく、大部分がオリジナルで自由なシナリオ」と絶賛する。

そして、監督は「この映画のタイトルにもなっていますが、スラムドッグ、つまり勝ちそうもない弱者が、夢と強い決意を持ってすべてを乗り越えていき、逆境から学んだことが(クイズの)答えに結びついていくというのが人々を惹きつけている」と話す。

さらに、作品が受け入れられた要因をこう分析する。「世界不況で厳しい局面の中、人々がその長い旅の後に希望を求めていたり、オバマ大統領が当選したことに見られるように変化を望んでいたり、より外のものに対してオープンになっていたりする傾向も影響していると思います」

しかし、気になるのは、『トレインスポッティング』(96)や『ザ・ビーチ』(99)等を撮ってきたイギリス人監督が、なぜインドでこの映画を撮ったのかという点だ。

その答えは、クイズショーという舞台がベースのストーリーを考えた場合、一番興味深く、いい場所がインドだったということのようだ。「インドのムンバイにあるスラムという土地は生命力が溢れ、日に日に進化をとげているんですよ! ゲームショーでもある“クイズ$ミリオネア”はまさに変化を遂げているインドを象徴するもの。貧と富、まさにスラムドッグとミリオネアがぶつかり合わせてドラマティックなストーリーを生んでいるのがヴィカス(・スワラップ)が書いた原作なんです」

加えて、「そして僕がサイモンの脚本で一番好きなのは、この主人公の少年ジャマールは、お金が目的ではなかったということなんだ!」と話してくれた。

観ていない人にとっては、何とも気になるところだが、“なぜ”彼がこのクイズ番組に参加したのかは、ぜひ皆さんの目で確かめて。【MovieWalker】

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