新旧声優の田中亮一&浅沼晋太郎、デビルマンの魅力は「ワイルドさとセクシーさ」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
新旧声優の田中亮一&浅沼晋太郎、デビルマンの魅力は「ワイルドさとセクシーさ」

インタビュー

新旧声優の田中亮一&浅沼晋太郎、デビルマンの魅力は「ワイルドさとセクシーさ」

裏切り者の名を受けて、すべてを捨てて戦う男。異色のヒーロー・デビルマンの孤独な戦いに身を投じる姿が、世代や国境を越えて人々を魅了している。このたび、永井豪の「デビルマン」と石ノ森章太郎の「サイボーグ009」という日本を代表する2作品のコラボレーションが実現。『サイボーグ009VSデビルマン』となって、10月17日(土)よりイベント上映がスタートする。そこで、新旧デビルマンを演じた声優の田中亮一と浅沼晋太郎を直撃!デビルマンの魅力をたっぷりと語り合ってもらった。

1972年から放送されたテレビアニメ版でデビルマン=不動明を演じた田中は、「009とデビルマンのストーリーが交互に出てきて、どうやってその二組が出会うのか。そういう面白さがあったね。これはなかなか面白い企画だよ!」と新作の出来栄えにニンマリ。

今回、田中からデビルマン役を受け継いだ形となった浅沼は「映像は最先端なものでも、ノスタルジックな雰囲気を残しているのでそこが僕はとても好きですね。昭和感があるんですよ。明が美樹ちゃんに耳を引っ張られて『痛い痛い、勘弁してくれよぉ』というシーンがあって、『これこれ!これが昭和!』と思いました(笑)」と、もともとデビルマンのファンだっただけに、旧シリーズの味わいがきちんと継承されていることに喜んだそう。

悪魔の力と人間の心を持ったヒーローの登場は、衝撃的かつ新鮮で、当時の子供だけでなく大人をも夢中にさせた。田中はこう振り返る。「世間に受けているかどうかは当時はわからなかった。でも演じていて、他のアニメとは違うという感じはしていたね。自分としては、人間らしい部分と悪魔の部分、両方持っているという二面性を演じるのが面白かった。演出で言われたのは、デビルマンになったときと、普段の不動明できちんと演じ分けなければいけないということ。デビルマンはカッコよく、二枚目で大人っぽく演じろと。不動明は悪ぶった感じだね」

さらに、「俺はもともと臆病な人間だからさ、不動明として悪ぶって『バカやろう!このやろう!』とか言うのは楽しかったね。この仕事の何が面白いって、自分にないものを演じられるのが何より面白いんだから!」と笑う。浅沼は「小さい頃に見ていて、当時は『デビルマン』にしろ『ゲゲゲの鬼太郎』にしろ、怖いと思いながら見ていましたね。朝に再放送していたのを見ていたんですが、なんだか怖くて(笑)。だからこそ鮮明に覚えているというのもあるので、今の子供たちにも『怖い』と思ってもらえたらうれしいですね」とそのインパクトを語る。

続けて、「どこかセクシーな雰囲気がありますよね」と浅沼。田中も「そうね、色っぽいところはあった。パンツが見えたりするからね!」とノリノリ。浅沼が「敵も妖艶ですよ!シレーヌとか」と敵キャラについて話すと、田中は「そうそう、出てくる敵もいいんだよね。だから声優さんもね、来宮良子さん(妖獣エバイン役)とか北浜晴子さん(妖獣シレーヌ役)とか、妖獣の役にも錚々たるメンバーが出ていたんだよ」と述懐。悪役が魅力的な面も「デビルマン」の人気の秘訣のようだ。

その人気を十分に実感していただけに、「今回の抜擢のプレッシャーは大きかった」という浅沼。演じる上では「脇目もふらない真っ直ぐさや、背負っているものがありながらも、自分が持っている力をとにかくがむしゃらに使うという、ド直球なワイルドさを意識した」とじっくりと話す。「この仕事をしていて一番の原動力となるのが、作品との出会いや大先輩たちとの出会い。毎回、新しい仕事をするときは身の引き締まる思いではありますが、これだけのピッグタイトルとなると自分ひとりでは抱えきれないほどのプレッシャーがあって。でもそうすると、プレッシャーだけでなく得るものもとてつもなく大きいんですよね。関わってきた人や思い入れのある人が多い分、受け止める思いや喜びも何倍、何十倍になっていきますから」。充実感あふれる晴れやかな表情を見せた。

田中は「いまだにやっていると思うと驚いちゃうよ」と改めて「デビルマン」人気の息の長さに惚れ惚れ。「こうやって、『田中亮一はデビルマンをやった人』と繋がる作品に出会えるというのはなかなかないこと。声優としてそういう作品に出会えたということは本当に幸せでありがたいことだよね」としみじみとしながら、「でもこれから彼が演じて、俺のことなんて忘れ去られちゃうかもね!」と浅沼を見て楽しそうに笑う。浅沼は「そんなことありません!」と恐縮するなど終始、笑いの絶えない、新旧デビルマンの温かな絆が伝わるインタビューだった。【取材・文/成田おり枝】

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