ウェイン・ワン監督×忽那汐里、国際派2人が語る“女”の色気【前編】|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
ウェイン・ワン監督×忽那汐里、国際派2人が語る“女”の色気【前編】

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ウェイン・ワン監督×忽那汐里、国際派2人が語る“女”の色気【前編】

『スモーク』などで知られる巨匠ウェイン・ワンが、初めて日本映画監督に挑んだ『女が眠る時』(2月27日公開)。ビートたけし演じる初老の男に寵愛を受け、西島秀俊演じる小説家の好奇心をもかき立てる若く美しいヒロイン・美樹を演じたのが忽那汐里だ。様々な愛が絡みあうミステリアスな一作だが、ワン監督と忽那汐里の対談は終始リラックスムード。色っぽい美樹というキャラクター役作りや、ドキドキするほど官能的なシーンの裏話を教えてくれた。

――タイトルにある「女」とは、忽那さんが演じる美樹のことですよね?

ワン「そうだね。タイトルどおり、眠っている姿をたくさん撮ったよね?」

忽那「撮影で、あんなに寝たのは初めてでした。寝るのが仕事になってしまったようで…(笑)。脳は起きてるのに、演技で眠るわけですからむずかしかったですね。変に動いてもいけない。アフレコで寝息を録音したのですが、『もう少し深く眠ってる感じで』とか、複雑な指示も受けました」

――監督は、美樹役について忽那さんにどんな説明をしたのですか?

ワン「美樹は、ビートたけしさんが演じる佐原という年上の男と長い時間を過ごし、外の世界から守られてきた。そのため無垢な性質を持ち合わせている。そこから成長し始める…という設定を、汐里と話し合ったんだ」

忽那「佐原から解放されて、外の世界へ逃げたい。かと言って佐原は裏切れない。美樹はそんな心境だと思って演じました。私も最近、似たような経験があったせいか、美樹と感覚を共有できて、役をふくらませた感じです」

ワン「汐里も美樹も本能的なんだよね。僕も汐里に会って、美樹というキャラクターの重要な側面を発見したんだ。その側面とは、無垢さ、謎めいた感じ、そして官能。3つの側面を、僕の直感を使って組み合わせていったのさ」

――忽那さんが、美樹そのものになった瞬間はいつですか?

ワン「衣装合わせの時じゃないかな。美しく見せる、とかではなく、キャラクターを見出す作業だったからね」

忽那「たしか2度目にお会いした時に、私が白いシャツに黒いパンツを着て、ペッタンコの革靴を履いていたのですが、監督がそのコーディネイトに反応したんですよね。そこから衣装の話をするようになって…」

ワン「衣装を通して美樹をどう表現するか。美樹はどういう存在なのかを、何度も模索した感じかな」

忽那「いろいろ話したせいか、これまでの作品では衣装が気になったこともあったけど、今回、そういう意識がまったくなく、安心して演技ができた気がします」

――先ほど「官能」という言葉が出ましたが、本作には官能的なシーンも多いですね。

ワン「たけしさんと日本的な官能の話をしたら、彼が川端康成の『伊豆の踊子』や谷崎潤一郎の『痴人の愛』を勧めてくれた。芸妓の世界ではうなじが官能を誘うと知って、本作で襟足を剃るシーンを入れたんだ」

忽那「襟足をあんな風に剃られるのは初めてだったので、いまだに変な感覚が残ってます(笑)。まだ襟足の毛が伸びきってないので、髪を結ぶのも躊躇しちゃいますね」【後編に続く】

【取材・文/斉藤博昭】

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