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多部未華子、『あやしい彼女』で歌に苦戦!

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多部未華子、『あやしい彼女』で歌に苦戦!

『謝罪の王様』(13)の水田伸生監督がメガホンをとった『あやしい彼女』(4月1日公開)で、見た目は20歳だけど、中身は73歳のおばあちゃんという難役にトライした多部未華子。でも、一番苦労したのは、演技ではなく歌だったそう。多部にインタビューし、気になる撮影裏話を聞いた。

頑固で毒舌、おせっかいなおばあちゃんのカツ(倍賞美津子)が、ある日写真館で写真を撮られた瞬間、20歳の自分に若返ってしまう!多部が演じたのは、若き時代のカツ役で、失われた青春を取り戻そうと、別人・大鳥節子(多部未華子)となり、歌姫として注目されていく。

劇中で澄んだ歌声を披露している多部は、劇中歌をプロデュースした小林武史やボイストレーナーから撮影前に3カ月間のレッスンを受けた。「練習期間がけっこうあったので、どうにか形にはなるだろうとは思っていたのですが、やはり難しかったです」。

多部をメインで指導したボイストレーナーとは、二人三脚でやっていった。「最初は、ちょっと音程が違うとか、走りすぎるとか、そんなレベルのところから練習が始まりました。専門用語もわからない私に、先生はすごく丁寧に教えてくださいました」。

歌については、いくら練習していっても、自分で手応えを感じることはできなかったようだ。「録音して、家へ帰ってから自分の歌を聴いたりもしていたのですが、私には引き出しがないし、いろんなアプローチをしていく技量もないので、目的地がない状態で稽古をしていた感じです。いろいろと迷うけど、迷うにしても答えがないので、ふわふわした状態で。最終的には、感情が大事だという話に行き着き、技術よりも感情だという結論に至りました」。

仕上がったピュアな歌声に、共演の要潤は瞬きをすることすら忘れてしまったと舞台挨拶で告白していた。多部は「ああいうの、困りますよね」と恐縮しながら照れ笑い。

ザ・フォーク・クルセダーズの「悲しくてやりきれない」を歌うシーンでは、一筋の涙が流れ、観る者の胸を打つ。その時の心境について尋ねると「本番では泣こうと決めていました」とすんなり言う。本番に強いタイプなのだろうか?

「いろんな役者さんがいらっしゃって、リハーサルからちゃんと合わせる人もいれば、リハーサルと本番で、同じことが何度もできる人もいます。でも、私はあまりできるタイプではないので、本番に合わせて頑張ります。テストの時、何も考えてないことはないですが、何となく、本番は頑張るものだと思っています」。

2005年に『HINOKIO』と『青空のゆくえ』のフレッシュな演技で、ブルーリボン賞新人賞を受賞してから10年以上が過ぎ、着々とキャリアを積んできた多部だが、女優を続けてきて壁にぶち当たったりしたことはないのだろうか?

「ないですね。悩んだりしたこともありません。いや、たくさんあると思いますが、いまは出てこないです。良くも悪くも仕事だと割り切っているので、スイッチのオンオフがしっかりできていると思います。昔はそうではなかったので、そこは最近変わったかもしれません。それで、気持ちは楽になったような気がします」。

いまや同世代のトップ女優だが、肩肘張らない姿勢が清々しい。「1つの作品を作るのにプロが集まり、目標に向かってみんなで頑張る環境にいられることはとても幸せなことだし、そこが楽しいなと思っています。私は、そこでたまたま演技をする立場というだけです」。

自分を着飾る美辞麗句は一切使わず、常にニュートラルに自分の思いを語ってくれた多部未華子。演技力はもちろん、人間力についても頼もしい安定感を感じさせられた。【取材・文/山崎伸子】

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