テオレマ:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画
テオレマ
テオレマ
3.9

テオレマ

1970年4月11日公開
PG12
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イタリア映画界というより、イタリア文化全体の異端児でありスキャンダリストであるピエル・パオロ・パゾリーニが、「アポロンの地獄」についで発表した作品。“聖性”をひめた青年の来訪によって家族全員がその青年と、性的に結びつき、崩壊にまでみちびかれてしまうブルジョワ家庭を描きながら、その寓話的語りのなかに現代への鋭いメッセージと、未来への啓示をこめている。監督・脚本・原作は前記のピエル・パオロ・パゾリーニ。撮影のジュゼッペ・ルゾリーニ、編集のニーノ・バラーリは「アポロンの地獄」のスタッフ。音楽は、「さらば恋の日」のエンニオ・モリコーネが担当。出演は「世にも怪奇な物語」のテレンス・スタンプ、「アポロンの地獄」のシルヴァーナ・マンガーノ、「ウィークエンド」のアンヌ・ヴィアゼムスキー、新人アンドレ・ホセ・クルース、「華やかな魔女たち」のマッシモ・ジロッティ、演劇界出身のラウラ・ベッティ、「アポロンの地獄」のニネット・ダボリなど。

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ストーリー

ミラノの郊外に大邸宅を構える、大工場主パオロ(マッシモ・ジロッティ)の家へ、ある日、配達夫(ニネット・ダボリ)によって、発信人のない一通の電報がとどけられた。電文は「明日着く」。翌日、パーティの席に、一人の見知らぬ青年(テレンス・スタンプ)がいた。妻のルチア(シルヴァーナ・マンガーノ)は不審に思ったが、青年はそのまま邸に住みついてしまった。それからというもの、邸にはある種、奇妙なムードが生れた。一家の者たちが熱病にかかったようになってしまったのである。まずエミリアが、その青年に対して激しい肉欲を感じ、そんな自分を恥じて自殺を図ったが、青年に救われた。そして、彼はエミリアをやさしく受け入れた。また、ルチアは別荘で猟犬と戯れる青年を見ながら、全裸になり、汗ばんだ青年の体を抱擁した。明け方、パオロはなにかに惹かれるように目をさまし、息子ピエトロ(アンドレ・ホセ・クルース)の寝室をのぞいた。一緒のベッドで熟睡する青年とピエトロ。パオロは自分のベッドにもどり、いつになくルチアの身体を求めた。その日から、パオロは病気になった。そんなある日、娘のオデッタ(アンヌ・ヴィアゼムスキー)は突然、青年を自分の室に導き入れ、その室で処女を与えてしまった。再び配達夫が邸を訪れると、青年は「明日立つ」と一家につげた。一家のものたちは、一人一人が青年に、自分の心情や変化を訴えるのだった。やがて青年は去って行った。その時から一家には激しい動揺がおきた。オデッタは青年を探すかのように邸をさまよい、ベッドの上で、原因不明の硬直状態に陥ってしまった。ピエトロは家を出て、狂ったように抽象画の製作に没頭。ルチアは色情狂のように街で若者を漁り、身をまかせたが、その後の虚しさに耐えかねて、野原に建つ、小さな教会の中に入っていった。青年が去った直後に暇をとったエミリアは、田舎に帰り村の広場で奇跡を起こした。そして、そのあと彼女は、工事現場の泥地の中に、自らを埋めてしまった。一方パオロは、工場のすべてを労働者に譲渡し、ミラノ中央駅の雑踏の中でひとりの青年に惹かれ、突然、公衆の面前で着衣を脱ぎ、全裸になってしまった。現代を象徴するかのような荒野。砂塵が吹きすさぶ彼方、一人の男が何かをさけびながら彷徨してくる。それは救いを求めるように天を抑ぎ、無機の荒野をあてどなく歩いて行く、パオロの姿だった。

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2022/1/20(木)更新

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作品データ

原題
Teorema
映倫区分
PG12
製作年
1968年
製作国
イタリア
配給
東和
初公開日
1970年4月11日
製作会社
アエトス・フィルム

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[c]キネマ旬報社