アトランチック:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画
アトランチック
アトランチック
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アトランチック

1929年公開
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「ピカデリィ」「二つの世界」のE・A・デュポンの監督作品。有名なタイタニック号の事件をモデルにした物語で、原作はアーネスト・レイモンドの舞台劇である。キャメラは「デパート娘大学」「サンライズ」のチャールス・ロッシャー担当。主なる出演者は「恋の焔(1930)」のジョン・ロングデン、「新婚膝栗毛」のモンティ・バンクス、フランクリン・ダイヤル、D・A・クラーク・スミス、アーサー・ハーディーなどである。

ストーリー

大洋の弧城アトランチック号、四万二千噸は、いまや鏡のような海面を英国から米国へと向かって航行している。一等船客のサロンは宛然一つの社交界である。足の不自由な皮肉屋の作家ルール氏夫妻、大実業テート・ヒューズ氏夫妻と令嬢、ヒューズ氏は最近若い女船客と華やかなゴシップを伝えられているのでこのところ彼の女家族に頗るうけが悪い。それから新婚旅行の途中にある若いローレンス氏とその新妻モニカ、いつも静かな目をしている青年牧師、酒場に入り浸っているのははしゃぎやのダンディーとボルディ陸軍少佐である。サロンの隣にある大食堂からはブルースのメロディーが流れて若人はダンスに興じている。シャンペンとシャンデリアの輝きに頬を染めた彼等には船内の温度が急に低下したことなど気のつく筈もなかったのだ。甲板上にいた見張りの水夫がうめくように「氷山」と叫ぶ。船長の双眼鏡が忙しくピントを合わす。星明かりにほの白い大氷山は今や船の進路を遮っているのだ。鯨のような巨船が体をかわす暇も与えず氷山は短剣のように鋼鉄の船腹を刺す。大音響と共に崩れ落ちた積荷の間から海水は潮と流れ込んだ。四万二千噸ドレッドノートと誇った浮城も自然の前にはあまりにも力弱い。忽ちライフ・ボートが引降ろされる。女を先に、と船長のメガフォンは叫ぶ。阿鼻叫喚、新妻のモニカは夫と引き離される。それが永遠の別れと知らないのは彼女ばかりだ。ダンディの酔いも今は醒め果てた。併しボルディ少佐はさすがにこの飲み友達をいたわって二人はバッカスの合唱だ。そのそばにはルール氏が最後の運命を皮肉るつもりか時計を目の前においての読書である。船が傾く。今まで凍える手先にSOSを打ち続けていた無電技師は救命具を水中に投げ捨てた。青ざめても最早取り返しはせぬ男達の中にたった一人歩けない夫を守り続けてルール夫人がうづくまる。青年牧師の捧げる主の祈りに和して彼等は祈り歌った。最後の一瞬。幾百の魂を底深く沈めた海上はやがて朝日に美しく輝いていた。

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作品データ

原題
THE ATLANTIC
製作年
1929年
製作国
イギリス
配給
東和商事
初公開日
1929年
製作会社
BIP


[c]キネマ旬報社