にんじん(1932):映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画
にんじん(1932)
にんじん(1932)
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にんじん(1932)

1934年5月3日公開、91分
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「巴里-伯林」のジュリアン・デュヴィヴィエがジュール・ルナールの有名な小説並びに戯曲に基いて作った映画で、脚色もデュヴィヴィエ自身の手になるものである。主役の「にんじん」に扮するのは無名から抜擢された少年俳優のロベール・リナンで、これを助けてルピック氏にはフランス劇壇で名高いアリ・ボールが、ルピック夫人には舞台でこの役をたびたび演じているカトリーヌ・フォントネーが、それぞれ扮して出演している外、なお、オペレット畑のクリスチアーヌ・ドールや、ルイ・ゴーチエ、子役のコレット・セガル、マキシム・フロミオ、等も顔を見せている。撮影はアルマン・ティラールとモニオとが担当。それからアレクサンドル・タンスマンが特にこの映画の為めに作曲を受持っている事を附記する。

ストーリー

家庭とは同じ屋根の下に到底解り合えない人間が無理矢理に集まっている所である、と「にんじん」は考えていた。で、彼は夏休みが来て家へ帰って皆と一緒に暮らす日が来ると味気ない気がした。が、このにんじんなどというのは勿論、この男の子の本名ではない。彼はフランソワという立派な名を持っている。然し末子に生れた彼は、家の者の誰からも愛されなかった。母親は冷かに彼を睨みつけては、いつも小言ばかり云っていた。その癖に、兄のフェリクスや姉のエルネスティーヌは大のお気に入りだった。が、この兄や姉もが、またにんじんには耐らなかったのである。そして又、父親のルピック氏とは彼はまるで口をきいた事がなかった。で、彼はこの人を好きでも嫌いでもなかったが、実の所、彼には父親がまるで解らなかったのである。そんな風で、このにんじん--真赤でパサパサした髪の毛と雀斑だらけのこの子を人は人参と綽名していた--は、神経質に、いじけて、そして人の愛に飢えながら一人ぽっちで暮らしていた。人と遊べない彼は犬のピラムと遊んだ。そして新しく来た女中のアネットと友達になろうとも考えた。が、ルピック夫人は朝から晩までにんじんを叱り飛ばしては、彼から楽しみを総て奪ってしまう。にんじんが未来の花嫁として遊ぶ可愛いいマチルドとも、そうした訳で、間をせかれてしまった。斯うなってはにんじんは、もう生きているのが佗しくなって来た。そしてにんじんは夢を見るのである。夢の中ではもう一人の自分がこの自分を嘲っている。お前の様な奴は死んでしまうが良いんだ。にんじんは目を醒してから何となく、楽しい死という事を考え始めた。そして、ルピック氏が村長に当選して大得意になっている夜、にんじんは納屋で首を縊ろうとした。そこへ折よく駆けつけたのがルピック氏だった。だが、彼にはどうして息子が死にたい気になったのか解らなかった。するとにんじんが答えた。だって僕は母さんが好きになれないんだもの。これを聞いてルピック氏が答えた。では俺が彼奴を好いてるとでも思っているのか。この言葉はにんじんを有頂天にした。この世には自分以外にも、淋しがってる人間がいるんだ、そう思った時に、にんじんは、僕はこれはどうしても可哀想な父さんの為めに生きて行かなければならないんだと思った。

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作品データ

原題
Poil de Carotte
製作年
1932年
製作国
フランス
配給
東和商事
初公開日
1934年5月3日
上映時間
91分
製作会社
ヴァンダル・エ・ドウラック


[c]キネマ旬報社