泥の中を泳げ:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画
泥の中を泳げ
泥の中を泳げ
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泥の中を泳げ

1994年11月1日公開、社会派
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フィリピンを代表する映画作家、故リノ・ブロッカ監督の遺作となった社会派ドラマ。政治家の汚職、貧困ゆえの人生の挫折と残酷な現実といったシリアスなテーマを扱いながら、メッセージを前面に押し出すわけではなく、いわゆる通俗的なメロドラマの図式を用いた明快な構造の映画に仕上がっている。脚本はリカルド・リー、撮影はペドロ・マンディング・ジュニアが担当。出演はディナ・ボネヴィ、クリストファー・デ・レオンほか。

ストーリー

ジョナサン(クリストファー・デ・レオン)は父を亡くし、弁当屋を営む母たちと暮らす青年。彼にはパイロットになりたい夢があったが、貧しさゆえに果たせぬまま、商学の勉強を続けていた。そんな折、金持ちの親友エリックの先導のもと、仲間のアルジーやドドと出かけたディスコのパーティーで彼は美しい女性、レイシェル(ディナ・ボネヴィ)と出会い、交際をはじめる。貧困な生活の中から成り上がった彼女は、かつてセクシーさで鳴らした映画女優だったが、今では市長エドムンド・グアトロの愛人として暮らす日々だった。彼の資金援助のもとレイシェルの家族は暮らし向きこそ上がったが、売春婦扱いされる娘への陰口に彼らは心休まる暇もなかった。そんな折、レイシェルはかつて将来を共に誓った最初の恋人レヴィを獄中に見舞う。貧しさ故に犯罪者となった彼は、涙ながらに出獄を彼女に訴える。レイシェルはエドムンドにレヴィの釈放を懇願する。ところがここで、もともと夫の愛人をことごとく憎悪して破滅に追いやっていたエドムンドの妻ロウェナが登場する。折から選挙間近の時節ということもあって理想の夫婦像を演じなければいけないという事情に加えて、有力者を父に持つロウェナに彼は頭が上がらなかった。ロウェナによってレイシェルは妾宅の屋敷を追われ、家族の許に戻る。次の選挙になんとしても勝ちたいロウェナとエドムンドはさらに悪計をめぐらし、レイシェルの恋人リヴィを出獄させたかわりに政敵であるトゥアゾンの暗殺を強要する。レイシェルとリヴィは再会し束の間に愛を交わす。リヴィはトゥアゾンを演説会場で銃殺するが、その後エドムンドとロウェナの手先のファルコンらに追われ、始末される。折りよく来合わせたジョナサンによって逃げのびたレイシェルは、エリックはじめ彼の仲間にかくまわれる。しかしロウェナの執拗な命令でレイシェルを追うファルコンは、ジョナサンの友人3人をつかまえ、そのひとりアルジーを殺し、さらにレイシェルの両親を捕らえ、人質にする。レイシェルは意を決し、事件の一部始終をカセットテープに吹き込み、エドムンドに取引を迫る。ところが取引の現場に現われたのはファルコンであり、彼は抵抗したレイシェルの母を殺し、さらにレイシェルを逃がすため身を挺した父も結局惨殺する。一方こうした裏工作は結局エドムンドらに不利な情勢をつくろうとしていた。トゥアゾンの後継者モラレスは同情票とこうしたスキャンダルを利用し勢力を伸ばし、ロウェナはリヴィの老母に殺されかけ、エドムンドはデモの妨害を受け、日夜マスコミの真相追求を受けた。そしてついに再起をかけた集会で、2人は突然現われたレイシェルに群衆の前で事件の真相を暴露され、さらに証拠の告白テープがジョナサンらによって会場に流される。混乱のなかレイシェルを撃ち、逃亡しようとしたファルコンは居合わせた警官隊に銃殺され、これが決定的な証拠ともなりエドムンドらは逮捕される。そして敵をとったレイシェルはジョナサンの腕の中で息絶える。その後、ジョナサンはかつてレイシェルと来た思い出の砂浜に立ち、「生まれ育ちが私と似ていても、若いあなたならまだやり直せるわ…」と語った彼女の優しい言葉をかみしめながら、夕日をみつめるのだった。

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作品データ

原題
Gumpang Ka Sa Lusak
製作年
1990年
製作国
フィリピン
配給
アジア・ミッドナイトエキスプレス実行委員会
初公開日
1994年11月1日
製作会社
ヴィヴァ・フィルムス
ジャンル
社会派


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