告白的女優論:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画
告白的女優論
告白的女優論
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告白的女優論

1971年12月18日公開、124分
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女優とは何か? この作品は、映画「告白的女優論」に出演することになった三人の女優の、撮影二日前の生活を追いながら、三つの物語が同時進行するスタイルをとっている。この告白的テーマに浅丘ルリ子、岡田茉莉子、有馬稲子の三女優がみずからの女優キャリアとイメージを賭け、人間に隠された様々な欲望・葛藤を表現しながら「女優」というテーマに挑戦する。スタッフは「煉獄エロイカ」と同様、脚本吉田喜重と山田正弘。監督は吉田喜重。撮影は長谷川元吉がそれぞれ担当。

ストーリー

映画「告白的女優論」に出演する三女優、海堂あき、一森笙子、伊作万紀子は二日後の土曜日にクランク・インをひかえていた。海堂あきは、まだ前作の最後の撮影のため伊豆でロケーションをしていた。その作品を監督する能勢と海堂あきの間にはスキャンダルの噂があった。その日の撮影を終え、ホテルに帰ったあきを待っていたのは能勢の夫人桐子だった。口にこそださないが、せめるような桐子。しかし、あきと能勢の間には噂されるような事実は何もなかったのだ。その夜、付人の京子と自宅に帰ったあきは、深夜、男が京子の部屋に忍び込むのを目撃した。男は能勢だった。翌朝、そっと出ていこうとする能勢と彼女は顔を合わせた。怒りにふるえる彼女が知ったものは京子の復讐--高校のクラスメートだったあきと京子は、夏休みの一日、教師の下宿に遊びにいき、京子はクロロホルムをかがされ犯されたのだ。教師と京子のことをあきは学校に密告した。それ以来、京子はあきに復讐する事を狙っていたという。あきは哄笑した。眠らされていた京子に何がわかる。あの時、教師に犯されたのは自分であり、教師は私を愛していた……。遠い過去の話だった。そこに残されたものは事の真実ではなく、女のすさまじい戦いだった。京子と能勢は去った。/一森笙子は突然「告白的女優論」には出演しないといいだし、マネジャーの南川を慌てさせた。笙子は、その理由を「夢の中で喉にプラスチックの球がひっかかり声が出なくなりそうだから」と説明した。彼女が、クリニックに戸山博士を訪ねて睡眠療法を受けた結果は、彼女の別居中の夫・亘理隼人が、女優志願の付人リエと抱き合っていたからだという。南川は、彼女をデビューさせた頃遊んだプールサイドに誘った。偶然プールに浮いていたプラスチックの球を見た彼女は、夢に出てきた球と同じものであることに気づき、戸山博士に知らせると、その夜若い医師波多が彼女を訪ねてきた。笙子は夢の中に現われた夫の役を波多にふりあて、リエ、南川も交えて夢の再現を行った。それは深夜にくりひろげられた奇妙な夢の芝居だった。夫とリエ、それに笙子を抱いた男たちが次々に登場したが、南川だけは最後まで登場しなかった。笙子を育てあげたのは自分だと自負する南川の中で何かが崩れた。日曜日の午後、笙子は波多のアパートを訪ねた。自分の知らない秘密を持っていた笙子の姿を見たとき、南川は彼女がもはや遠い存在のように感じられた。車をスタートさせる笙子を追おうとした南川はトラックに轢かれた。/S市は伊作万紀子の故郷だった。この町で女優になる以前の彼女は、心中事件を起こしていた。相手は母の再婚者である若い父親、この時、男を死なせ自分だけ生き残るという過去を持っていた。残雪の高原に立った彼女は、東京から同行した女友達のノブに総てを語り、本当の自分を理解してもらった上で、恋人の唐沢をノブに譲る決心をした。その夕方帰京したが、すでに母は、彼女が内緒で旅行したことを知っていた。S市から正体不明の男の声で電話があったという。その深夜、S市から再度電話がかかってきた。万紀子は受話機をとるが、相手は何も喋らず切った。それは死んだはずの父からだと万紀子は思った。翌朝、ノブが訪ねてきた。ノブは万紀子のいくつかの自殺事件--若いスターとの心中未遂、亘理隼人をめぐって一森笙子と争い、その失恋による自殺未遂--をあげ、最後に唐沢の言葉を伝えた。「自殺狂であることを承知で結婚する。それすらも伊作万紀子の魅力だ」。ノブは自らの敗北を認め去っていく。その後には裁断バサミが残されたいた。彼女はそのハサミで自らの手首を切ろうとしていたが、その時、唐沢が訪ねてきた。「君が、もし女優であるならば死ぬことはできない。死ぬことすら、君にとっては演技なのだから」。彼女の手から裁断バサミがすべり落ちた。/月曜日の朝、三人の女優はロケ現場に美しい粧いをみせて登場した。そして「あなたにとって女優とは?」とインタビューされて、彼女たちはその飾られた仮面の裏に総てを隠し、答えた。いま映画「告白的女優論」の撮影が行われようとしている。三人の女優はキャメラの前に向って歩き始めた。あくまでも華麗に--。

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作品データ

製作年
1971年
製作国
日本
配給
日本ATG
初公開日
1971年12月18日
上映時間
124分
製作会社
現代映画社


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