三益愛子
湯浅きよ
「母つばめ」の笠原良三のオリジナル・シナリオを、「東京の瞳」の田中重雄が監督、「日露戦争勝利の秘史 敵中横断三百里」の高橋通夫が撮影した母性愛映画。主演は「くちづけ(1957)」の三益愛子、「有楽町で逢いましょう」の京マチ子、菅原謙二、「大都会の午前三時」の根上淳、川口浩「東京の瞳」の船越英二など。ほかに、見明凡太朗、小野道子、角梨枝子、川上康子、志村喬、若尾文子、鶴田浩二、三宅邦子、山本富士子らが大挙助演。
ストーリー
戦争中東京で工場を経営していた仙吉は、田舎に疎開したが、終戦にあって、収入の道がとだえ、長男の良太郎が復員してこないせいもあり、すっかり気力を失った。工場の再建も図らず、毎日酒びたりで、妻きよや子供たちを叱りつけてばかりいた。三男の栄三の一寸したいたずらで村八分されて以来、栄三には特につらくあたった。良太郎が復員してき、父に意見したので、仙吉はやっと東京へ戻って工場を建てなおすつもりになった。十年たった。良大郎は弁護士になり、清二は彫刻家、長女咲江は高山家へ嫁ぎ、千代子は舞台に立ち、栄三は大学生になった。父の還暦祝の夜、栄三が贈物を買うのに手間どって遅れると、仙吉はきよのとりなしも聞かず叱りつけた。栄三はそのまま家出し、キャバレーのボーイに住みこんだ。妹のことで町のボス達と喧嘩し、倒れてしまった栄三を、きよと節子が助け出し、栄三の幼な友達節子の父の病院へ入れた。彼が退院して家へ帰った時、家は火に包まれていた。工場経営に憔悴した仙吉が、きよの留守に保険金ほしさから放火したのだ。栄三は父の身代りになって自首して出た。仙吉は病に倒れ、息をひきとるとき、すべてをきよに話した。きよからそれを聞いた良太郎は、そのまま握りつぶした。一年後、出所した栄三はきよに迎えられ、良太郎の家に引き取られた。が、兄の冷いしうちに家を去り、節子の叔父伊集院のもとで、漁業にいそしんだ。栄三からの送金は、良太郎が着服し、母の手にはとどかず、しかも夫婦はきよにつらくあたる。きよは家を出、清二の家に移り、そこでもジャマにされ、咲江の家へ移ると、その貧しさに心苦しくなり、またあてどなく立去った。彼女は公園のベンチに坐り、やさしい栄三のことを想った。きよが住みこんだ食堂は、節子が女医として働く工場のものだった。節子は偶然きよに出会い、それを栄三に知らせた。彼はすぐさま帰京し、その足で都議選に出た兄の演説会場へ行き、兄の無責任を責めた。彼を引っぱって母のところに行こうとした。が、途中で思い止り、母のところへ駈けつける。今は心を改めた良太郎や一家全部と節子らが揃って、丘の上の墓地へ詣でた。長兄は母を背負い、皆は和やかに笑った。
キャスト
見明凡太朗
湯浅仙吉
根上淳
湯浅良太郎
穂高のり子
湯浅雪子
品川隆二
湯浅清二
小野道子
湯浅かおる
川口浩
湯浅栄三
叶順子
湯浅千代子
八潮悠子
高山咲江
船越英二
高山弘志
川上康子
大町節子
三津田健
大町博士
京マチ子
大町高子
志村喬
伊集院
宮島健一
五兵衛
潮万太郎
山本
星ひかる
神主
河原侃二
小学校校長
伊達正
小学校小使
若尾文子
望月先生
金田一敦子
花嫁
花布辰男
世話役
高村栄一
村人Ａ
橘喜久子
村人Ｂ
酒井三郎
村人Ｃ
高松英郎
松田
苅田とよみ
ひとみ
守田学
富岡
春本富士夫
木村
菅原謙二
浅原
杉田康
杉下
夏木章
マネジャー
鶴田和子
和子
月田昌也
ぐれん隊Ａ
伊藤直保
ぐれん隊Ｂ
渡辺鉄弥
ぐれん隊Ｃ
伊沢一郎
角田
入江洋佑
若い工員Ａ
飛田喜佐夫
若い工員Ｂ
中江文男
若い工員Ｃ
丸山修
中年の工員
北原義郎
消防士
川島祥二
警官
浜口喜博
拘置所係官
村田知栄子
浜田夫人
角梨枝子
三村夫人
三宅邦子
夫人
鶴田浩二
山川
鶴見丈二
高崎
町田博子
若い母親
田端義夫
船員
高野英子
伊集院の女中
浦辺粂子
炊事場主任
新宮信子
白川
竹里光子
阿部
山本富士子
山中
田宮二郎
木下
立花宮子
美術家モデルＡ
矢島ひろ子
美術家モデルＢ
清水谷薫
美術家モデルＣ
藤田佳子
美術家モデルＤ
毛利郁子
美術家モデルＥ
松平直子
美術家モデルＦ
コラム・インタビュー・イベント
ニュース
作品データ
- 製作年
- 1958年
- 製作国
- 日本
- 初公開日
- 1958年3月5日
- 上映時間
- 111分
- 製作会社
- 大映東京
[c]キネマ旬報社
