風の子:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画
風の子
風の子
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風の子

1949年2月22日公開、90分
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少年少女雑誌『赤とんぼ』に「引越し物語」「さつまいも日記」として連載され川端康成氏に推賞された少年作家山本映佑の原作を「綴方教室」「馬」等の山本嘉次郎が「新馬鹿時代」「春の饗宴」についで脚色演出する作品で、山本嘉次郎、本木莊二郎らによって設立された映画芸術協会の第一回作品である。当初、本作品の企画を日本映画社が立案した関係上、製作多胡隆、撮影植松永吉、録音酒井栄三らをはじめ、製作スタッフには日映からも参加しており、東宝からは文化事業班の仕事としてメンバーが加わっている。主任製作者は「酔いどれ天使」の本木莊二郎。音楽、美術は「天の夕顔」の早坂文雄、松山崇がそれぞれ担当しており、主演には「兄いもうと」「馬」等の竹久千恵子、「若い人(1937)」「小島の春」等の夏川静江が久しぶりで顔をみせる。子役はフジオ・ドラマの児童劇団出身者で映画出演は最初、他に「愉快な仲間(1947)」の渡辺篤、「破戒(1948 木下恵介)」(松竹京都)「肖像」(松竹大船)などの藤原釜足、東宝の進藤英太郎、深見泰三、柳谷寛、登山晴子、馬野都留子らが出演している。能登半島の長期ロケによる記録的手法の作品となるものとみられている。

ストーリー

山田さん一家は東京でパン屋をやり幸福に暮らしていたが父親を兵隊にとられてしまうと、柱を失って商売は出来ず、東京にも住めなくなり、越後ののっぺり伯父さんのお話でその町に住むことになった。前から山田家の一員で一緒に暮らしていた朗らかで親切な小母さんは、その町の有力者の弟兵五郎さんと結婚した。ところがこの兵五郎さん、名代の薄馬鹿で、それでなくてさえうるさいうわさが、いよいよ大きくなった。そして町の人には白眼視され、兵五郎とも離婚し遂にここを追い出されることになった。山田一家は住む処がなくなり、遠い遠い縁せきをたどり能登半島の山村のお寺の一室に無理矢理入り込む。村人達の無理解はここでもはなはだしく、疎開者というわけで、ことごとに迫害される。収入とて一文無しの一家は長男の弘君を越後の農家に働きに出し、母さんや小母さんは近所の縫いものなどをやり、芋がゆをすすって露命をつなぐ。二男の英二君は、いつも父を身近に置こうと、父にものいう積もりで、日々の生活を細やかに綴っていく。山田さん一家の誠実な心が、いくら頑迷な村人達も通じないはずはなく、おいおいと判っていく。少しずつ仕事ももらい、山の上にわずかながら土地も貸してもらった。ここに芋を植え、お父さんに食わせるのだと、英二君は一生懸命開墾し種を下ろした。日照りが続き最初は失敗した。英二君は泣いた。小母さんはいつも励ました。小母さんが絶えず、この一家に力を与えていた。辛い冬をどうやら過ごし、春も暮れ夏が訪れた。お盆休みで弘君が帰って来た。英二君も力を得て、二人で畑をやった。何でも可愛がらねば育つもんじゃないんだよ、と弘君は英二君の、ともすれば打ちひしがれようとする力を、ふるいたたせた。作物は二人の愛の努力ですくすくと伸びた。お芋が沢山採れた。山田さん一家にも何か明るい希望のようなものが見えて来た。そこに快報が飛び込んで来た。「アスツク」チチ。皆の目に嬉し涙が吹き出て来た--。

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作品データ

製作年
1949年
製作国
日本
配給
映藝協
初公開日
1949年2月22日
上映時間
90分
製作会社
映画芸術協会


[c]キネマ旬報社