東京ファイル212:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画
東京ファイル212
東京ファイル212
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東京ファイル212

1951年1月26日公開、91分
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米国側のプロデュサー、ジョージ・ブレイクストンは、1943年映画入りをして俳優としては「ある夜の出來事」その他数本に出演、戦後プロデューサーに転向、「ジャングル・スタンビート」「ウルブ」を製作した。演出・脚本のマックガワン兄弟は、常にコンビで脚本を書き演出をしているが、わが国で上映された「ステート・フェア」及び「荒野の決鬪」に、脚本を書いている。演出補佐のレイ・スタールは、ジョン・M・スタールの息子で、最近演出助手として映画界入りをしたもの。撮影監督のハーマン・シャープの作品は、「地獄の天使」(ジーン・ハーロー、ベン・ライオン主演)が我が国に紹介されている。日本側製作者鈴木郁三は、東日興業社長で、第一回作品「傷だらけの男」に次ぐ第二回作品である。主演男優ロバート・ペットンは、一九四八年に映画界に入り、今日までに七本のアメリカ映画に出演、「東京ファイル212」は八本目の作品である。女優フローレンス・マリーは「海の牙」ですでにおなじみのチェッコ生れのスター。フランスで映画界にデビュ、アメリカでは「東京ジョー」「三人は帰った」などに出演している。この映画に出演のため千五百人の応募者から選ばれた女優大谷伶子は、本年二十一歳の新人。「君と行くアメリカ航路」の斉藤達雄と灰田勝彦、P・C・L時代の二枚目大川平八郎、NHK『陽氣な喫茶店』の松井翠声、「細雪(1950)」以来活躍の田崎潤などが共演している。

ストーリー

松戸太郎は、神風特攻隊の生残りとして、敗戦を迎えた。死ぬことを唯一の道として教育され、訓練された太郎には、日本の無条件降伏を素直に受け入れることが出来ないで、そうした青年の心と社会状勢とを利用して戦後に急速に発達したある「組織」の中へ引き込まれた。ジム・カーターは、アメリカ通信記者として、羽田空港へ着いたとき、飛行機を降りるとすぐ空港事務室で司令部のグローブス大佐に呼ばれ、プラカードを持ったジムの大学時代の友人太郎の写真を示されて、ある命令を受けた。外国人記者クラブに落着いたジムは、そこでステフィ・ノヴァクという女性と、ジョフリーというロンドン・デリー・ニュースの男と友達になった。ジョフリーという男には何か油断のならない感じがあったが、ステフィは心からジムの面倒を見てくれ、東京の事情にも通じていたので、ジムは、雇入れたジョーのタクシーで、ステフィと一緒に、東京の裏町を探訪すると共に、太郎を訪ねて歩いた。ある夜、暗い酒場で太郎の姿を見たが、仙次のために邪魔をされて追い返された。このときステフィは、ジムがある使命のために働いていることを察したし、ジムも彼女が、北朝鮮にいる妹が引揚げて来るのを待っているということを知った。酒場のことがあって以来、ジムを尾行する男があった。そこでジムは政府の要職にある太郎の父に会って、行方不明の太郎を探すには、許婚のなみ子を探し出すのが先決問題だと打合せをする。それ以来、ジムの身辺に不思議なことが続いた。無名の手紙で江の島へ誘われると、祭礼の人込みの中で太郎の姿をちらっと見つけたり、熱海でステフィと一緒に大山という貿易商の宴会に出ていると太郎の名で電話があって、危険を逃れたり無名の手紙でなみ子の居所が判ったりした。しかしそのなみ子の傷害事件が起ったとき、「組織」の姿とその挑戦とが、ややはっきりとジムにも判って来た。なみ子の重傷を新聞で知って太郎は彼女に会いに来たが、二人の変らない愛情も「組織」によって無惨に引き裂かれた。ジムにはそうした事件が重り行くに従って、貿易商大山やジェフリーという男たちに疑いを抱くようになった。「組織」は大山を動かし、太郎をリーダーに日本国民の撹乱を企てたが、これはステフィやジムや松戸の働きによって事なきを得た。太郎は大山から失敗をなじられ、手紙を書かされた。十二時に銀座のある場所へ来るようにと太郎からの手紙を受取った松戸となみ子、それにステフィとジムとは爆弾の仕掛けられた一つのベンチへ集って腰を下ろしていた。向う側のビルからこれを見ていた太郎は、目の前で父と許婚と、そして友達が殺されるその残虐さに、自分の歩いていた道の誤りを悟った。ビルの高い窓から身を躍らせた太郎、あっと驚いてベンチの人々はその方へ駆けた。その時人気の無くなったベンチで爆弾は爆発したのだった。「ファイル212」に事件の一切の書類を綴込んだグローブ大佐がジムの労をねぎらったとき、ジムは、「太郎のおかげです」と答えた。太郎は「死ね」と教え込まれた通り死んで行った。しかしその死は、自由にそむくためではなく、自由を獲得するためであった。

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作品データ

製作年
1951年
製作国
日本
配給
東映
初公開日
1951年1月26日
上映時間
91分
製作会社
ブレイクストン・プロ=東日興業


[c]キネマ旬報社