
ジョニー・デップ
Raoul Duke
1971年のラスベガスを舞台に、ドラッグまみれのジャーナリストの破天荒な取材ぶりを描いたブラック・コメディ。ゴンゾー・ジャーナリズムと評される手法で有名なジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンの同名ルポの映画化で、監督には「12モンキーズ」のテリー・ギリアムがあたった。脚本はギリアム、トニー・グリゾーニ、トッド・デイヴィス、そして当初監督の予定もあったアレックス・コックスの共同。撮影は「魅せられて」ニコラ・ペコリーニ。音楽はレイ・クーパーで、ローリング・ストーンズの『Jumping Jack Flash』が流れる。美術は「クロウ 飛翔伝説」のアレックス・マクドウェル。編集のレスリー・ウォーカーと衣裳のジュリー・ワイスは「12モンキーズ」に続く参加。出演は「ブレイブ」(監督も)のジョニー・デップ、「フューネラル」のベニチオ・ベル・トロ、「メリーに首ったけ」のキャメロン・ディアス。「200本のたばこ」のクリスティーナ・リッチ、「カラー・オブ・ハート」のトビー・マグァイア、「ワイアット・アープ」のマーク・ハーモン、「シーズ・ソー・ラヴリー」のハリー・ディーン・スタントン、「ザ・ファン」のエレン・バーキンほか。
※結末の記載を含むものもあります。
1971年。ジャーナリストのラウル・デューク(ジョニー・デップ)とサモア人弁護士ドクター・ゴンゾー(ベニチオ・デル・トロ)は、ラスベガスで開催される野外レースの祭典を取材するため、レッドシャークと名付けた真っ赤なスポーツ・カーで旅立った。トランク一杯に、大麻・コカイン・LSD・メスカリン等々、ヤバいドラッグを詰め込んでいたふたりは、出発するやいきなりドラッグをキメて、もはや夢うつつも定かではない。超一流ホテルのスウィートルームに宿泊したふたりは、レース取材もそっちのけで早朝からドラッグ三昧。ゴンゾーはエレベーターに乗り合わせた美人レポーター(キャメロン・ディアス)にノボせたかと思うと、キレて浴槽で眠り込む始末。ルーム・サービスは使いたい放題、部屋は荒らしまくるとやりたい放題のかぎりを尽くした彼らは、勘定もせずにホテルから脱出。ゴンゾーは飛行機で帰り、デュークはハイウェイを飛ばすが、ホモ臭い警官(ゲーリー・ビジー)の尋問を受けた。結局仕事がまた舞い込んで彼はベガスに逆戻り。デュークはゴンゾーと再会したが、彼が連れてきてよせばいいのにドラッグを与えたらトンでしまった未成年の少女ルーシー(クリスティーナ・リッチ)を持て余す。まさに白日夢のような時間が過ぎるなか、デュークは自分たちは失われたアメリカの夢を追い求めているのだとタイプライターを打ち続ける。かくして大騒動を繰り広げたふたりは、最後にダイナーのウェイトレス(エレン・バーキン)との接触を最後に、ベガスを後にするのだった。
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