U-571|MOVIE WALKER PRESS
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U-571

2000年9月9日公開,116分
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 実際にあった連合軍の暗号機奪取作戦をヒントに、手に汗握るスリリングなアクション・ドラマを創造。絶体絶命の極限状況下での男たちの戦いをダイナミックにつづる。

ストーリー

※結末の記載を含むものもあります。

 危険な任務に挑む男たちを描く戦争アクション。42年、第二次大戦下の北大西洋上。タイラー大尉ら連合軍は、故障して海上に停泊中のドイツの潜水艦U-571から暗号器を奪取する任務を命じられる。が、U-571を奇襲した彼らを、想像のつかない事態が待ちうけていた。

作品データ

原題
U-571
製作年
2000年
製作国
アメリカ フランス
配給
ギャガ・コミュニケーションズ=ヒューマックス・ピクチャーズ
上映時間
116分

[c]キネマ旬報社

  • rikoriko2255

    やまひで

    1.0
    2007/12/5

     この映画は、卑怯にも味方を装って、敵の航行不能なUボートを拿捕し、敵の暗号機エニグマを奪取しようとする勇敢なアメリカ海軍の不敵な十二人を描いた「戦争冒険スポーツ映画」である。この手の戦争映画ほど、例えば『荒鷲の要塞』のような「戦争探偵物」と並んで不道徳な映画はない。生死が懸かっている殺戮のわたり合いがゲーム化されるからである。諸君は考えてみたであろうか。このUボートの拿捕の際に何人のドイツ兵が潜水艦内で殺戮されたかを。このタイプのUボートには通常約50名が乗り込んでいる。仮に英駆逐艦の爆雷攻撃で多く見積もって四分の一が戦死していたとして、およそ35名がまだ艦内にいたことになる。それが一人を除いてこの決死隊の急襲でやられるわけである。アメリカ兵一名にドイツ水兵三名の計算で殺っていることになる。これは、かなりむごいプロットではないか。(しかも、あの人数でどうやってUボートが動かせるのか。また、ドイツの機関兵も治せなかった故障をドイツ語も読めないアメリカ兵が何故にその故障を修理できたか。)
     そしてこの映画が何故「スポーツ映画」かというと、スポーツ映画にはその典型としてそこに今までそれが出来なかったものが血と汗の滲む凄惨な努力の甲斐があってそれができるようになるというある「成長」が語られ、賞賛されるからである。この映画でも最初は未熟な将校がこの『巨人の星』のような試練を通じることにより、自分の部下をも死地に追いやることのできる立派な将校に成長してゆく過程がもう一つの話の筋として流れているのである。そしてこれに愛国的英雄主義の勇壮な「軍艦マーチ」が付くのであるからこれまた全く申し分ない出来である。
     しかし、この映画の問題性はこれだけではない。つまり、歴史的事実の改竄である。それもプロットをドラマチックにするためという理由である。確かに映画の終わりには歴史的事実について書かれてあるが、それは逆に、脚本も書いている監督がこの歴史的事実を故意に改竄していることを意味する。この破廉恥な歴史改竄にイギリスからは抗議の声が上がったという。
     ドイツの暗号機「エニグマ」(ギリシャ語で「なぞ」の意)は既にヴァイマール時代からドイツの公的機関で使われていたもので、ナチス時代にもドイツ国防軍はその改良型を使っていた。しかし、エニグマ初期型はフランスの諜報部とポーランドの暗号解読部の協力で既に1932年に破られていた。改良型の解読には流石に手の出なくなったポーランドの暗号解読部が戦争勃発の危機感からイギリスにその解読の手がかりを39年7月に渡すと、これが引き金となってイギリスのブレッチュレイ・パークのドイツ暗号解読が進渉することになったのである。
     ドイツ空軍との「バトル・オブ・ブリテン」に辛勝したイギリスであったが、対ドイツ・Uボートの大西洋の戦いでは臥薪嘗胆していた。特に、ドイツ海軍がエニグマ・M3型を改造したM4型を導入した42年2月から10ヶ月間はドイツ・Uボート作戦が大戦果を収めた時期になっていた。これに対抗してイギリス海軍は暗号解読に躍起となり、この年の10月、地中海域でイギリスの駆逐艦HMS Petardに追い込まれて浮上したU559を拿捕、収奪隊を艦内に送り込んで重要な暗号関係文書を捕獲した。これがM4型を破るきっかけになったのである。このような歴史的背景を知るものにとっては、本作品はこの史実を捻じ曲げた極め付きと言える訳である。
     最後に、制空権を持たないドイツ海軍は大西洋には最早艦船を出せなくなっていたのであり、ドイツ駆逐艦がこの映画のように血迷って大西洋に出るということは全く考えられないことも付け加えておこう。
     如何にドイツのUボートが戦い、敗北したかを記した最良の映画はドイツ出身のW.ペーターゼン監督の『U ボート』(1981年作)を観れば分かるし、海の男同士の清廉潔白な、独Uボート(C.ユルゲンス)対米駆逐艦(R.ミッチャム)の知力を尽くした戦いということでは『眼下の敵』(1959年作)がある。この両作品をここに謹んで推薦するものである。

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    ネタバレあり
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