プ・ポール・ポー
「海辺の彼女たち」が高評価を得た新鋭・藤元明緒の短編。ミャンマー北部のチン州を舞台に、第二次世界大戦で亡くなった日本兵の遺骨収集に取り組む少数民族ゾミ族に同行、チン州に暮らす大戦体験者たちの“記憶”や“声”を交えて作り上げたフィクション。長編化を視野に入れたシリーズを構想しており、本作はその第１弾に当たる。
ストーリー
かつてビルマと呼ばれたミャンマー。北西部のチン州もまた、第二次世界大戦のビルマ戦線の舞台の一つだ。1944年3月、日本軍はこの地で“史上最も無謀な作戦”と言われる“インパール作戦”を決行。約９万人の兵士を投入した結果、多くの日本兵が飢えやマラリアなどで命を落とし、死体が積み重なったその退却路は、“白骨街道”と呼ばれることとなった。現地には、今も当時の日本兵の遺骨と遺留品が数多く残されている。2013年、独立後に長く続いた内戦が停戦し、チン州の外国人立入制限が解除されたことに伴い、日本側と連携した戦没者の遺骨収集事業が始まった。以来、現地に暮らす少数民族ゾミ族の人々が中心となり、遺骨および遺品の発掘作業を行っている。2019年1月、藤元監督を始めとする制作チーム5名は、今では軍のクーデターの影響で撮影が困難になったチン州に滞在し、第二次世界大戦の体験者を取材。その視点から語られる戦争体験を知る。本作は、ゾミ族の一団に同行する中で、彼らに出演を打診し、取材で得た“記憶”や“声”を込めたフィクションとして撮影された。
