白鳥刑事の初登場(！)に“毛利小五郎”声優の交代など…劇場版「名探偵コナン」シリーズを振り返り

毎年、公開されるたびに興収記録を塗り替え続ける劇場版「名探偵コナン」シリーズ。その最新作『名探偵コナン緋色の弾丸』は公開延期となってしまったが、VOD(動画配信)サービスHuluでは、現在シリーズ22作品を一挙配信中だ。最新作への期待値を高める意味でも、配信中の作品から特に印象的なものをピックアップし、その軌跡をたどってみたい。

『名探偵コナン　時計じかけの摩天楼』(97)

テレビアニメのヒットを受けて制作された記念すべき劇場版第1弾『名探偵コナン　時計じかけの摩天楼』。連続爆破事件の犯人とそれを追うコナンらの姿が描かれる。工藤新一の体が縮んでしまった経緯や、時計型麻酔銃などのガジェット紹介をする冒頭の作品解説は、一部を除いて本作から毎回登場。シリーズの主要キャラクターである白鳥任三郎刑事は本作が初登場で(※フルネームで登場するのは次作から)、原作者・青山剛昌やスタッフが気に入ったことから原作やテレビアニメにも登場するようになった。

【写真を見る】記念すべき第1作『劇場版名探偵コナン時計じかけの摩天楼』ほかシリーズ22作を振り返り！[c] 1997 青山剛昌／小学館･読売テレビ･ユニバーサルミュージック･小学館プロダクション･TMS

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『名探偵コナン　瞳の中の暗殺者』(00)

『名探偵コナン　瞳の中の暗殺者』では、ヒロインの毛利蘭が警察官銃撃事件の犯人を目撃するが、その時のショックで記憶を失ってしまい、犯人に命を狙われてしまう。推理重視のストーリー展開や巧みに張られた伏線の数々、まさかの真犯人に、テレビアニメ第1話「ジェットコースター殺人事件」につながる回想シーンを盛り込むなど、ファンの間でも名作として高い支持を集めている。白鳥刑事の声優を務めた塩沢兼人が公開後に不慮の事故で死去したため、次作以降は本作で重要キャラクターを演じた井上和彦が引き継いでいる。

『劇場版名探偵コナン瞳の中の暗殺者』Huluで配信中[c] 2000 青山剛昌／小学館･読売テレビ･ユニバーサルミュージック･小学館プロダクション･東宝･TMS

『名探偵コナン　迷宮の十字路(クロスロード)』(03)

京都を舞台に殺人事件を追う物語が展開される『名探偵コナン　迷宮の十字路(クロスロード)』は、コナンのライバルである服部平次やその幼なじみ・遠山和葉の活躍が目立つ作品だ。京都タワーや清水寺、蹴上インクラインなど実在の観光スポットも登場し、細かく再現されている。本作を最後に、シリーズ第1作より監督を務めてきたこだま兼嗣が降板し、山本泰一郎に引き継がれた。

『劇場版名探偵コナン迷宮の十字路 (クロスロード)』Huluで配信中[c] 2003 青山剛昌／小学館･読売テレビ･日本テレビ･小学館プロダクション･東宝･TMS

『名探偵コナン探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)』(06)

記念すべき劇場版第10作ということで、服部平次や怪盗キッド、横溝警部に白馬探まで、多数のレギュラー&準レギュラーキャラクターが登場する『名探偵コナン探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)』。何者かによってコナンたちが腕時計型の爆弾を取り付けられてしまい、ある事件の解決を強いられてしまう。本編では、コナンは常時私服を着用しており、ポスターや解説を除くと、初めてジャケット姿のコナンが登場していない。

『劇場版名探偵コナン探偵たちの鎮魂歌 (レクイエム)』Huluで配信中[c] 2006 青山剛昌／小学館･読売テレビ･日本テレビ･小学館プロダクション･東宝･TMS

『名探偵コナン天空の難破船(ロスト・シップ)』(10)

飛行船でハイジャック事件が起こり、コナンらがそれに立ち向かう『名探偵コナン天空の難破船(ロスト・シップ)』。『世紀末の魔術師』(99)や『銀翼の奇術師(マジシャン)』(04)などに続いて、怪盗キッドがフィーチャーされている。コナンが飛行船から投げ捨てられるなどアクションも多め。本作より、毛利小五郎役の声優が神谷明から小山力也へとバトンタッチされた。

『劇場版名探偵コナン天空の難破船 (ロスト･シップ)』Huluで配信中[c] 2010 青山剛昌／名探偵コナン製作委員会

『名探偵コナン異次元の狙撃手(スナイパー)』(14)

『名探偵コナン異次元の狙撃手(スナイパー)』では、架空の高層タワー・東都ベルツリータワーを中心に発生する狙撃事件を巡る物語が描かれる。世良真純や沖矢昴、ジョディ・スターリングといったキャラクターが劇場版に初登場。さらに、当時、黒の組織に殺されたことになっていた、『緋色の弾丸』でもメインキャラクターとなる赤井秀一の衝撃の真実が明かされるなど、サプライズをはらんだ作品となっている。

『劇場版名探偵コナン異次元の狙撃手 (スナイパー)』Huluで配信中[c] 2014 青山剛昌／名探偵コナン製作委員会

『名探偵コナンゼロの執行人』(18)

シリーズ屈指の人気キャラクター、安室透をメインにした『名探偵コナンゼロの執行人』。公安によって小五郎が爆破事件の容疑者にされてしまい、安室がコナンの敵(？)として立ちはだかる。安室の人気ぶりはすさまじく、Twitterで“#安室を100億の男に”という投稿が飛び交うなど、ファンによるムーブメントが社会現象となった。興行収入は91.8億円を叩きだし、次作『紺青の拳』(19)に抜かれるまで最高記録を保持した。