オリヴィア・ワイルド&ジョナ・ヒル以外にも!俳優出身の名匠候補たち|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
オリヴィア・ワイルド&ジョナ・ヒル以外にも!俳優出身の名匠候補たち

コラム

オリヴィア・ワイルド&ジョナ・ヒル以外にも!俳優出身の名匠候補たち

ジョナ・ヒルの自伝的青春劇『mid90s ミッドナインティーズ』
ジョナ・ヒルの自伝的青春劇『mid90s ミッドナインティーズ』[c]2018 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

古くは『市民ケーン』(41)のオーソン・ウェルズ、『ダンス・ウィズ・ウルブス』(90)のケヴィン・コスナーやなど、映画監督に初挑戦した俳優がいきなり名作を撮ってしまうケースは多い。そんなマルチな才人のラインナップに、『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(公開中)のオリヴィア・ワイルドと『mid90s ミッドナインティーズ』(9月4日公開)のジョナ・ヒルが新たに名を連ねた!

【写真を見る】ガリ勉女子高生コンビが暴走する『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』
【写真を見る】ガリ勉女子高生コンビが暴走する『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』[c]2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.

奇しくも2人が監督デビュー作に選んだジャンルは青春映画。ワイルドはハチャメチャな学園コメディ、コメディ畑で活躍してきたジョナはA24と組んだほろ苦いドラマ作品と、意外な変化球にも思えるが、瑞々しい感性と手練れの演出力を両立させ、共に傑作をつくり上げた。初監督作にして高い評価を得て注目を浴びた彼らを筆頭に、近年俳優から監督へ華麗な転身を遂げた未来の名匠候補を紹介しよう!

ブラッドリー・クーパー

「この先20本の映画に出演するよりも、5本を監督したい」と語っているブラッドリー・クーパー
「この先20本の映画に出演するよりも、5本を監督したい」と語っているブラッドリー・クーパーph: Clay Enos /[c] Warner Bros./ Courtesy Everett Collection/AFLO

名作のリメイクで手腕を発揮

クリント・イーストウッドから監督を受け継いだ『アリー/ スター誕生』(18)で、歌の才能まで見せつけたクーパー。レディー・ガガとの共演が話題となったが、安定感のある演出力は新人離れしており、監督としても大器の予感。次作は作曲家レナード・バーンスタインの伝記映画で、再び監督と主演を兼ねる。

アカデミー賞でのパフォーマンスも話題になった『アリー/ スター誕生』
アカデミー賞でのパフォーマンスも話題になった『アリー/ スター誕生』[c] Warner Bros./ Courtesy Everett Collection/AFLO

グレタ・ガーウィグ

NYインディ界からハリウッドのメインストリームに躍り出たグレタ・ガーウィグ
NYインディ界からハリウッドのメインストリームに躍り出たグレタ・ガーウィグ[c]A24 /courtesy Everett Collection/AFLO

デビュー作でオスカー監督賞ノミネート

マンブルコア界隈で早くから演技だけでなくクリエイターの才も発揮。ノア・バームバック監督作『フランシス・ハ』(12)の主演兼共同脚本を経て、半自伝的な『レディ・バード』(17)が絶賛され、第90回アカデミー賞監督賞候補に。続く『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(19)もアカデミー賞に大量ノミネートされた。

ガーウィグが自身の出身地でもある米カリフォルニア州サクラメントを舞台に、自伝的要素を盛り込みながら描いた青春映画『レディ・バード』
ガーウィグが自身の出身地でもある米カリフォルニア州サクラメントを舞台に、自伝的要素を盛り込みながら描いた青春映画『レディ・バード』[c]A24 /courtesy Everett Collection/AFLO

ジョーダン・ピール

独創的なホラー作品でヒットを連発するジョーダン・ピール
独創的なホラー作品でヒットを連発するジョーダン・ピールph: Justin Lubin. [c]Universal Pictures/courtesy Everett Collection/AFLO

恐怖と笑いで社会の闇をえぐる

コメディアンとして人気を博した後、コメディ色はあるものの人種差別問題を扱ったスリラー『ゲット・アウト』(17)を大ヒットさせ、世間を驚かせる。第2作『アス』(18)で奇妙なダーク・ホラーという独自路線を確立。90年代のホラー『キャンディマン』(92)の続編ではプロデュースと脚本を担当し、超売れっ子に。

黒人と白人の対立と共存がテーマの『ゲット・アウト』
黒人と白人の対立と共存がテーマの『ゲット・アウト』[c]Universal Pictures/courtesy Everett Collection/AFLO

ジョエル・エドガートン

監督デビュー作『ザ・ギフト』は大作が並ぶ全米サマーシーズンに4週連続トップ10入りのスマッシュ・ヒットを記録
監督デビュー作『ザ・ギフト』は大作が並ぶ全米サマーシーズンに4週連続トップ10入りのスマッシュ・ヒットを記録 ph: Matt Kennedy /[c]STX Entertainment / courtesy Everett Collection/AFLO

安定感十分のバイプレイヤー監督

ちょっと強面の名脇役というイメージだが、世に名が知れる前から母国オーストラリアで脚本やプロデュースを手掛けていた。不穏な人間関係をスリリングに描いた『ザ・ギフト』(15)で長編監督デビュー。役者である強みを生かして自分の監督作で重要な役を演じることが多く、有能なマルチ・プレイヤーだ。

『ザ・ギフト』では主人公の奇妙な同級生役で出演もしているエドガートン
『ザ・ギフト』では主人公の奇妙な同級生役で出演もしているエドガートン ph: Matt Kennedy /[c]STX Entertainment / courtesy Everett Collection/AFLO

ポール・ダノ

ポール・トーマス・アンダーソンやドゥニ・ヴィルヌーヴたちの薫陶を受けてきたポール・ダノ
ポール・トーマス・アンダーソンやドゥニ・ヴィルヌーヴたちの薫陶を受けてきたポール・ダノ[c]Photo By: JA/Everett Collection/AFLO

ゾーイ・カザンとのコンビで良作連発の予感

『リトル・ミス・サンシャイン』(06)のナイーブ青年から『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(07)の胡散臭い宣教師まで演じる実力派が、恋人ゾーイ・カザンと共に脚本を執筆した『ワイルドライフ』(18)で監督業に専念。ある家族の崩壊を少年の目から描いた米国文学の香り漂う作風は、異彩を放つ。

崩壊の道を辿る夫婦の関係を、14歳の息子の眼差しを通して描き出す『ワイルドライフ』
崩壊の道を辿る夫婦の関係を、14歳の息子の眼差しを通して描き出す『ワイルドライフ』[c]IFC Films / courtesy Everett Collection/AFLO

メラニー・ロラン

ドキュメンタリー『TOMORROW パーマネントライフを探して』(15)では、フード、エネルギー、マネー、教育の今を追ったメラニー・ロラン
ドキュメンタリー『TOMORROW パーマネントライフを探して』(15)では、フード、エネルギー、マネー、教育の今を追ったメラニー・ロランph: Andrew Tepper/[c]Focus Features/courtesy Everett Collection/AFLO

ドキュメンタリーも手掛けるフランスの才人

『イングロリアス・バスターズ』(09)でヒロインを演じたフランス人女優は監督の腕も一流。ドキュメンタリーも監督し、初のハリウッド作品『ガルヴェストン』(18)ではエル・ファニング主演で、哀しいハードボイルドを撮り上げた。次回作はダコタ&エルのファニング姉妹を主演に起用する。

脚本家ニック・ピゾラットのハードボイルド小説を映画化した『ガルヴェストン』
脚本家ニック・ピゾラットのハードボイルド小説を映画化した『ガルヴェストン』[c]RLJE Films /Courtesy Everett Collection/AFLO

ジョン・クラシンスキー

妻エミリー・ブラントの影に隠れがちだったジョン・クラシンスキーだが、監督として注目を浴びる存在に
妻エミリー・ブラントの影に隠れがちだったジョン・クラシンスキーだが、監督として注目を浴びる存在に ph: Jonny Cournoyer / [c] Paramount /Courtesy Everett Collection/AFLO

スター夫婦の夫が監督としても大ブレイク

Amazonオリジナル・ドラマ『トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン』(18 ~)の主演としても活躍する人気俳優だが、監督デビューは2009年と早い。妻のエミリー・ブラントと夫婦役を演じた『クワイエット・プレイス』(18)が大ヒット。監督と脚本を再び手掛けた続編にも期待大!

前作でできなかったアイデアを詰め込んだという『クワイエット・プレイス PARTⅡ』(近日公開)
前作でできなかったアイデアを詰め込んだという『クワイエット・プレイス PARTⅡ』(近日公開)[c]2020 Paramount Pictures. All rights reserved. 

エリザベス・バンクス

ヒットメイカーの女性監督としての地位を確立しつつあるエリザベス・バンクス
ヒットメイカーの女性監督としての地位を確立しつつあるエリザベス・バンクスph: Chiabella James / [c] Columbia / courtesy Everett Collection/AFLO

強い女性像をスクリーンで体現

スポット的な登場で場をかっさらうことの多い個性派女優。監督としては『ピッチ・パーフェクト2』(15)、リブート版『チャーリーズ・エンジェル』(19)とガールズ・パワー全開の作品を任され、#MeToo時代を背負う存在になりそう。次回作は『透明人間』の女性バージョン。ホラーに新しい風を起こすか?

バンクスは『チャーリーズ・エンジェル』で「女性たちの背中を押したかった」と語る
バンクスは『チャーリーズ・エンジェル』で「女性たちの背中を押したかった」と語るph: Merie Weismiller Wallace / [c] Columbia / courtesy Everett Collection/AFLO

文/村山章

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