『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』のん、声優抜てきの秘話とは？片渕須直監督が読者の疑問に次々回答！
「コトリンゴさんとの出会いについて教えてください」(40代・女性)
「2008年12月にエンディングを除いて一旦完成した(片渕監督作)『マイマイ新子と千年の魔法』にエンディング曲をつくってくださる方を、7か月間の時間をかけて探しました。そこで出会ったのがコトリンゴさんです。2009年11月に『マイマイ新子と千年の魔法』を公開し、翌年の夏頃になって、コトリンゴさんから『新しいCDを出します』ということでサンプルをいただいて。そのなかに『悲しくてやりきれない』が入っていたんです。ちょうど、『この世界の片隅に』の映画化を始めようとしていた頃でした。『マイマイ新子と千年の魔法』からご縁がつながって、コトリンゴさんの音楽がずっと僕のなかに『この世界の片隅に』の音楽として存在していたんです。結果的に10年かかった映画作りの最初から、すでにそうだったんです」
「すずさんがご飯を作るシーンで流れる音楽や、すずさんが可愛らしい声で歌う『隣組』の歌など映画内の音楽がとても好きです。原作にはない音楽を映画のなかに入れる際にこだわられた点やエピソードをお聞きしたいです」(30代・女性)
「『この世界の片隅に』の音楽には歌詞があるのが数曲あって、コトリンゴさんが全部自分が歌うより『隣組』は『すずさんを演じる方に歌っていただきたい』とおっしゃっていたんです。でも、スケジュール上、曲を完成させなければならなかった時点で、まだすずさんのキャスティングが決まっていなかったということがありまして。なので、それはそのままコトリンゴさんに歌ってもらうことになりました。
原作ではすずさんの右手って、話をするんです。『この世界の片隅に』を映画化したいと思って最初に浮かんだアイデアが、その右手の声をコトリンゴさんの歌で表現してもらったらよいのじゃないか、ということでした。そう思ったのが2010年8月のことで、ひょっとしたらそれ以来ずっと、コトリンゴさんの右手の声にマッチするすずさんの声を探していたのかもしれません。3年後に出会ったのがのんちゃんの声でした。実は、映画の完成後、劇場で音響の調整をやっていたら音がうまく出てこない時があって。ある音程だけボリュームをあげたら、すずさんの声とコトリンゴさんの歌声の両方が出てきた(笑)。2人、声の波長が同じなんだなと、改めて分かりました。
劇中の音楽としてこだわったのは、そのすべてが、すずさんの内面から湧き上がってくる気持ちがそのまま、その場面の音楽になるようにしたいということでした。例えば戦艦大和が出てくるシーンがありますが、コトリンゴさんははじめ、軍艦らしくて勇ましい音を付けられてきたんです。でも『すずさんの中からそういうものは出てこない。すずさんから出てきたものとして、すべての音楽を作りましょう』というお話をして、現在の形になりました。すずさんの心の奥にあるものを絵に描くことで表出してきたのがすずさんの右手。そう思うと、やはり、本作でのコトリンゴさんは右手の役割なんですね」
■商品概要
『この世界の（さらにいくつもの）片隅に』Blu-ray特装限定版
価格：9,800円(税抜)
発売中
収録時間：470分【本編DISC】182分(本編168分＋映像特典14分)、【特典DISC】288分
スペック：【本編DISC】ドルビーTrueHD（5.1ch）・リニアPCM（ステレオ）／AVC／BD50G／16:9<1080p High Definition>・一部16:9<1080i High Definition>、バリアフリー日本語字幕付（ON・OFF可能）
【特典DISC】リニアPCM(ステレオ・一部モノラル)／AVC／BD50G／16:9<1080i High Definition>
封入特典：●特製ブックレット
●特典DISC
・ドキュメンタリー映画『<片隅>たちと生きる 監督・片渕須直の仕事』
（2019年公開／監督：山田礼於／95分）
・昭和のくらし博物館特別展映画『この世界の片隅に』～すずさんのおうち展
・練馬アニメカーニバル2018『この世界の（さらにいくつもの）片隅に』公開2ヶ月前トーク
・練馬アニメカーニバル2019『この世界の（さらにいくつもの）片隅に』公開1ヶ月前トーク
・公開前劇場トーク ・東京国際映画祭2019 ・広島国際映画祭2019
・『この世界の（さらにいくつもの）片隅に』スペシャルライブ付先行試写会
・劇場舞台挨拶集 ・片渕須直×町山智浩トークイベント
映像特典：特報、 特報2、 劇場予告編、 TV SPOT、 のん＆岩井七世 スペシャルインタビュー＆アフレコ映像、ノンクレジットエンディング
仕様：●浦谷千恵(監督補・画面構成)描き下ろしイラスト仕様特製収納ケース
●特製インナージャケット
※Blu-ray(通常版)［4,800円／税抜］、DVD［3,800円／税抜］共に発売中。
※映像特典は3アイテム共通。
