『浅田家!』中野量太監督が明かす「エンターテインメントの中で東日本大震災に向き合う意味」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『浅田家!』中野量太監督が明かす「エンターテインメントの中で東日本大震災に向き合う意味」

インタビュー

『浅田家!』中野量太監督が明かす「エンターテインメントの中で東日本大震災に向き合う意味」

『浅田家!』の中野量太監督にインタビュー
『浅田家!』の中野量太監督にインタビュー

ひょっとしたら今、日本で一番有名な家族かもしれない“浅田家”の人々が実名で登場する映画『浅田家!』(公開中)。二宮和也が演じる写真家の浅田政志を主人公に、共に日々を歩んできた肉親たちと、彼がカメラを通して出会った様々な「家族」の物語が綴られてゆく。『湯を沸かすほどの熱い愛』(16)や『長いお別れ』(19)などで知られる中野量太監督の、この「渾身の一作」についていろいろとお話を伺うことができた。

「二宮さんとはいつかご一緒したかったんです」

「最初、当企画をプロデューサーから持ちかけられ、浅田さんの写真集『浅田家』(赤々舎刊)を見せてもらった瞬間、まず驚きましたね。セルフシャッターで撮られていて、浅田さん自ら写りこんでいるのですが、『何でお父さん、お母さん、お兄さんまで一緒にコスプレをしてるんだろう』と想像するだけで頭の中でドラマが動き出したんですよね」

『浅田家』は08年、浅田氏が29歳の時に木村伊兵衛写真賞を受賞、“家族でやってみたいこと”をテーマに、4人が消防士やバンドマンなどになりきって撮影したユニークな「コスプレ家族写真集」だ。

「脚本を書く前に数回、単独で浅田さん、さらにはご実家の三重県津市の家族の皆さんにもお会いしました。兄弟の感じが映画で描いた通りなんですよ。弟の政志さんは少々やんちゃなところがあって、兄の幸宏さんが頑張って一所懸命支えてあげている。お兄さんに『何でそこまでしてあげるんですか?』と訊いたら、『僕自身は本当は恥ずかしいし、面倒くさいんだけども、政志の写真で両親が喜ぶんです』と。あっ、これだなって。取材をすればするほど浅田家の成り立ちが見えてきて、そもそも政志さんが被写体に選びたくなるような家族に、彼は育てられたんですね。どこかおかしみを湛えながら、優しく、あったかい気持ちになってしまう不思議な写真集の、そのトーンをうまく映画に表せればなあと思いました」

主演の二宮和也に関しては、映画『青の炎』(03)やTVドラマ『優しい時間』(05)の頃から注目していたという。

「ずっーと『いい俳優さんだなあ』と感じていて、いつかご一緒したかったんです。実際、素晴らしかった。とても感覚的な方なのですが、ちゃんと台本を理解した上で閃きを活かしながら動かれる。映画の中での“政志”というキャラクターは一歩間違えば他人に迷惑ばかりかけている嫌な男になりそうな気がして、そうはならない人をキャスティングしたく、愛されキャラの二宮さんならば絶対にできるなと確信してお願いしました。二宮さんが決まってから、両親役に平田満さんと風吹ジュンさん、3つ歳上の兄役には妻夫木聡さんと、バランスを考えて最高のキャストを求めていったんですよね」

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