森山未來、北村匠海、勝地涼が激白！『アンダードッグ』の壮絶な撮影裏話

「試合のシーンの前に、ボディなどはちゃんと当てていこうと、森山さんと話し合ったんです」(北村)

――森山さんと勝地さんは、劇団☆新感線の舞台「髑髏城の七人」での取材時に、お互いについての信頼関係を口にされていましたが、今回熱いバトルを交えてみて、いかがでしたか？

勝地「僕は『髑髏城の七人』の稽古場で、未來くんのハイレベルなアクションを見ていたし、自分が殺陣を上手くできなかった時、未來くんがいろんなアドバイスをしてくれたので、今回もまた迷惑をかけてしまうかもと思いながらも、『いいや！胸を借りよう』と思いました。手順を覚えるような練習も何回かやりましたが、途中から、未來くんに甘えました」

森山「いやいや、そんなことはないです。というのも、勝地は主に殴られ役なので、リズムが出せないんです。常に守りの姿勢で、いつどんなパンチを浴びるのかがわかりづらいので。そのへんをもっとわかりやすくしようと、その場その場でやっていった感じですが、そこはもう信頼関係があったので、なんの問題もなかったです」

――森山さんと北村さんの共演シーンはいかがでしたか？

森山「匠海くんとも、非常にやりやすかったです。試合のシーン以外で言うと、龍太が一方的にしゃべってきて、僕がほぼ聞いているだけというシーンがあるんですが、2人とも、リング上でしかちゃんとわたり合えないのがわかっていて。実際に北村くんと一緒に芝居をしていて、すごくリズムが合うなと感じましたし、とても気持ちが良かったです」

――試合のシーンでのパンチは、実際に当てたりもされていたそうですね。

北村「当てないとダメというか、試合のシーンの前に、ボディなどはちゃんと当てていこうと、森山さんと話し合ったんです。それがちゃんと映像に出るかどうかはわからないけど、やっぱり当てるのと当てないのとでは、現場の空気感が全然違うと思ったので」

森山「ボクシング指導の松浦(慎一郎)さんにも相談し、まずはちゃんと殴るってところからやっていきました。実際にそうしないと、自分のリアクションも取りづらかったので。当てないというのが前提にあっても、当てられた感じや当てた感じを最初に知っておくと、そのリアクションが変わるし、どの距離感でいけば当たるのかを肌で知ることができるから」

「武組は、まるでドキュメンタリーを撮っているような現場でした」(勝地)

――まさに、本物の迫力をスクリーンに映せる武組ならではの力強いボクシング映画に仕上がったのではないかと。完成した映画を観て、どう感じましたか？

森山「僕たちは、脚本を読んでいるので客観的には観られないんですが、完成した映画を観て、ボクシングシーンの配分が絶妙だと感じました。効果音もなく、いわゆる“ボクシングの音”のみで延々と試合のシーンが続くので、果たして観客の目にどう映るのかという点は気になるところです。ただ、本当にやってみて、武組はヤバいなと思いました」

勝地「本当にヤバい(笑)。すごかった！」

北村「最初に映画を観た時、1本２時間半近い尺とは思えないほどスピーディに進んでいくなと感じ、僕もすごく興奮しました。また、思い返してみると、現場では武監督が誰よりも一番キラキラと輝いていたなと。あるシーンで、監督が撮影を止めて『皆、腹減ってるだろ。飯だ飯！』と言って、皆を引き連れてごはんに行くのを見て、僕はすごい組に参加できたなと感激しました」

勝地「確かにそう。そして武組は、まるでドキュメンタリーを撮っているような現場だなとも思いました。なんかもう、生き様を見せてください！と言わんばかりの内容で…監督は怖かったけど（笑）、楽しかったです。毎日、自分がちゃんとできているのかもわからない感じで、消化不良のまま帰るんですが、できあがった映画を観て、こんなにも丁寧に撮ってくれていたんだなと思って感動しました！」

森山「ある種、昔気質の現場の回し方なのかなと。いまはなかなかできないことを、武監督自身のエネルギーやバイタリティで引っ張っていってるところがかなりあったかと」

北村「それを見て、僕たちは感激するんです。そういえば、僕が子役の時に見た、映画にすべてを懸けているような現場を目の当たりにした気がして。僕は今回、本当にすてきなキャストや大先輩に囲まれながら、すごくいい時間を過ごさせていただきました」

取材・文/山崎伸子