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『滑走路』の演出のヒントは『シン・ゴジラ』から!?新鋭・大庭功睦監督が制作秘話を告白

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『滑走路』の演出のヒントは『シン・ゴジラ』から!?新鋭・大庭功睦監督が制作秘話を告白

32歳の若さで命を絶った歌人、萩原慎一郎の唯一の歌集「歌集 滑走路」をモチーフにオリジナルストーリーとして紡がれた映画『滑走路』(公開中)。本作で商業映画監督デビューを飾った大庭功睦監督が、浅香航大演じる鷹野というキャラクターの誕生秘話について告白。大庭監督が助監督時代に携わった、あの大ヒット映画から演出方法のヒントをもらったことが明らかになった。

【写真を見る】水川あさみ、浅香航大らの“心の叫び”が交錯。歌集を映画化するための斬新なアイデアとは
【写真を見る】水川あさみ、浅香航大らの“心の叫び”が交錯。歌集を映画化するための斬新なアイデアとは[c] 2020 「滑走路」製作委員会

本作は非正規雇用、いじめ、過労などの不安や葛藤のなかで、希望を求めて生きる3人の人生が交錯していく姿を描いた物語。厚生労働省で働く若手官僚の鷹野は、激務のなかで仕事への理想も失い、無力な自分に思い悩んでいた。そんなある日、陳情に訪れたNPO団体から非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリストが持ち込まれ追及を受けた鷹野は、そこに記されていた自分と同じ25歳で自死した青年に関心を抱き、その死の理由を調べはじめるのだが…。

日本アカデミー賞最優秀作品賞などその年の映画賞を席巻した『シン・ゴジラ』(16)など、これまでフリーの助監督として数々の現場を経験してきた大庭監督は、新進気鋭の映画監督のなかからコンペ形式で本作の監督に選出。「歌集 滑走路」のレビューの多様さに着想を得て、その多様さを活かして群像劇として描きだすというアイデアを出した大庭監督は、歌集から連想される社会的な弱者の立場だけでなく、まったく正反対のイメージにあるエリート官僚をメインの登場人物のひとりとして据えることに。

『シン・ゴジラ』など、フリーの助監督としていくつもの現場を経験してきた大庭監督
『シン・ゴジラ』など、フリーの助監督としていくつもの現場を経験してきた大庭監督[c] 2020 「滑走路」製作委員会

「実際に僕の知り合いにも省庁に勤めている人がいたり、『シン・ゴジラ』で省庁について調べる機会があり、彼らの仕事に強い興味を持つようになりました」と明かす大庭監督は、「官僚という職業はなにか不祥事があれば真っ先にメディアに叩かれてしまう責任重大な仕事で、高い使命感を持って身を粉にして働く姿に感銘を受けました。厚生労働省は省庁のなかでも特に過酷な部署と言われていますが、『彼らが報われる瞬間はいつなんだろう』という疑問がふと湧きました」と、鷹野というキャラクターを生みだした経緯について語った。

またオフィスビルを使ってロケが行われた厚生労働省のシーンでは、官僚たちの厳かな職場の雰囲気を出すために美術や小道具に気を配り、さらに登場人物たちが速足でデスクの間を歩き回るという『シン・ゴジラ』を思わせる演出も駆使。「俳優に事細かな演技指導をするというより、周りの雰囲気からリアリティを作りあげる庵野秀明さんの演出方法を参考にした」と明かした大庭監督。助監督時代に培ってきた技術やノウハウを活かして完成した渾身の一本を、ぜひとも劇場で味わってほしい。

文/久保田和馬

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