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『るろうに剣心 最終章』人吉ロケに潜入!大友啓史監督に尋ねる、佐藤健と新田真剣佑の“運命”

インタビュー

『るろうに剣心 最終章』人吉ロケに潜入!大友啓史監督に尋ねる、佐藤健と新田真剣佑の“運命”

「縁は、間違いなく剣心を脅かす存在になっていくと思います」

撮影現場でひときわ目を惹いたのが、黒いサングラスに真っ白な髪色をした、本作で初登場となる雪代縁だ。演じているのは『十二人の死にたい子どもたち』(18)、『カイジ ファイナルゲーム』(20)など話題作に次々と出演し、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの新田真剣佑だが、遠目に見たシルエットは普段スクリーンで見慣れた新田よりかなり肩幅が大きく、体格がいい印象だった。


【写真を見る】新田真剣佑=雪代縁の再現度に驚愕!ロケ現場の模様も必見
【写真を見る】新田真剣佑=雪代縁の再現度に驚愕!ロケ現場の模様も必見[c]和月伸宏/集英社 [c]2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会

それもそのはずで、新田は縁役を演じるにあたって危険なシーンを自ら演じるため、撮影中も身体を厳しく自己管理しており、現場での振る舞いにもストイックさが滲みでていた。大友監督は、新田の持つポテンシャルに称賛を惜しまない。
「21歳という若さですが、日本人離れした鋭い感覚を持っています。縁は一歩間違えると漫画チックになりすぎてしまいますが、彼の肉体や感性が衣装を着こなし、そのオリジナリティが役を引き寄せ、凌駕し始めている。間違いなく剣心を脅かす存在になっていくと思います」。

「『The Final』は復讐譚ではなく、深い愛情の物語です」

原作の「人誅編」は、物語中でもっともダークかつハードな内容だが、大友監督は「エンタテインメントにする」と決意を語る。

大友監督は、「縁の根底にあるのは亡くした姉への深い愛情」だと語る
大友監督は、「縁の根底にあるのは亡くした姉への深い愛情」だと語る[c]和月伸宏/集英社 [c]2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会

「『The Final』に関して言えば、物語上の最終章なので、ラストに相応しく、きっちりお祭りにしたい。プロットは姉を殺された青年がルサンチマンを抱え、剣心を倒しにやってくるというものですが、復讐譚にしてしまうと話が狭くなってしまいます。僕は、縁の根底にあるのは亡くした姉への深い愛情だと思うんです。同じ女性に異なる愛情を持った男同士が、ちょっとしたボタンの掛け違いからまったく別の生き方を経て、剣を合わせることになります。その運命と、剣心が自らの人生をかけて真っ向から対峙する姿は、きっと多くの方に共感していただけるものに仕上がると思いますよ」。
大友監督はそうにこやかに話すと、記者陣を労いながら撮影中のセットへと戻っていった。

このロケから2年以上が経過し、ついに公開が目前に迫った本作。すべてのカットに全力を投じ、スタッフ、キャストが一丸となって作りあげる大友組には、職人たちの誇りを感じさせるような、妥協を許さないものづくりの空気が、凛として息づいていた。
明治期の不安な情勢を吹き飛ばすようなエネルギーにあふれた本作は、まさに現代の日本にこそ望まれている作品といえるだろう。剣心たちの活躍が、誰もが安心してエンタテインメントを楽しめる“春”を連れてくることを願ってやまない。

取材・文/編集部

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