違いを受け入れ、障がいを乗り越える愛…『マーメイド・イン・パリ』など人間と異種族との絆を描く映画たち|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
違いを受け入れ、障がいを乗り越える愛…『マーメイド・イン・パリ』など人間と異種族との絆を描く映画たち

コラム

違いを受け入れ、障がいを乗り越える愛…『マーメイド・イン・パリ』など人間と異種族との絆を描く映画たち

人魚に人造人間、異形の怪物、AIまで。かねてより映画には様々な人間以外の種族が登場し、互いに争い、一方で交流を深めてきた。そんな系譜に連なる作品で、パリを舞台に美しい人魚と人間の男性が恋に落ちる『マーメイド・イン・パリ』が現在公開中だ。本作の紹介とあわせて、人間と異種族との絆を描く印象的な作品をピックアップしてみたい。

【写真を見る】『マーメイド・イン・パリ』など異種族と人間との交流を描く作品をピックアップ
【写真を見る】『マーメイド・イン・パリ』など異種族と人間との交流を描く作品をピックアップ[c]2020 – Overdrive Productions – Entre Chien et Loup – Sisters and BrotherMitevski Production – EuropaCorp - Proximus

両手がハサミの人造人間と少女の恋を描く『シザーハンズ』

ティム・バートンが監督し、若かりしジョニー・デップとウィノナ・ライダーが共演した『シザーハンズ』(90)。人里離れた丘の上の城に暮らす両手がハサミの人造人間、エドワード(デップ)が、ある一家と出会い、そこの娘キム(ライダー)に心惹かれていく物語で、アウトサイダーな存在の孤独も描かれるなど、バートンらしいちょっと不思議な世界観も魅力な作品だ。

キムたちと一緒に暮らし始めたことから、街の住人とも打ち解け、両手のハサミを使って庭木を美しく刈ったり、イヌの毛やご婦人方の髪もモダンにカットしたりするなど、瞬く間に人気者になるエドワード。一方で、直接触れると相手を傷つけしまうため、キムを抱きしめられないといった、愛ゆえのジレンマがなんともいじらしい。

『シザーハンズ』のパッケージは発売中
『シザーハンズ』のパッケージは発売中[c]2015 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

ホアキン・フェニックスがAIの音声に恋する『her 世界でひとつの彼女』

『ジョーカー』(19)で第92回アカデミー賞主演男優賞に輝いたホアキン・フェニックスが、音声だけの人工知能に恋する青年を演じた『her 世界でひとつの彼女』(13)。そう遠くない未来のロサンゼルス。手紙の代筆業を生業とするセオドア(フェニックス)は、長年連れ添った妻と別れ、心を痛めていた。そんな時、彼は最新AI(人工知能)型OSのサマンサを起動させ、セクシーで個性的な彼女の声に夢中になってしまう。

セオドアとサマンサはすぐに仲良くなり、恋人のような関係を築いていく。一方で、彼女が肉体を持たないことが障害となってトラブルが起こるなど、当然その関係は一筋縄ではいかない。サマンサの声をスカーレット・ヨハンソンが担当し、セオドアの別れた妻キャサリンをルーニー・マーラが演じている。サマンサを真っ直ぐに愛する純朴な青年に扮した怪優、フェニックスの自然体な演技も見どころだ。

不思議な生き物と孤独な女性が心を通わせる『シェイプ・オブ・ウォーター』


シェイプ・オブ・ウォーター』(19)は第90回アカデミー賞で作品賞や監督賞を含む4部門を受賞し、鬼才ギレルモ・デル・トロの代表作となった一本だ。1960年代、冷戦下のアメリカ。政府の極秘研究所で働くイライザ(サリー・ホーキンス)は、密かに運び込まれた不思議な生き物を目撃してしまう。彼女はアマゾンの奥地から連れて来られたという“彼”が気になり、周囲の目を盗んでは会いに行き、心を通わせていく。しかし、その生き物には実験による解剖が迫っており、彼女は救出を決意する。

半魚人のような不思議な生き物を演じるのは、「ヘルボーイ」シリーズや『パンズ・ラビリンス』(05)といったデル・トロ作品で様々な異形の存在を演じてきたダグ・ジョーンズ。彼を愛するイライザは過去のトラウマによって声を出すことができないとい役どころで、彼女の感情の機微をサリー・ホーキンスが手話や表情で見事に表現している。美しい映像や音楽に心を奪われる一方で、黒人や同性愛者が虐げられていた時代背景にも言及するなど、社会的なメッセージも込められている。

言葉が発せない女性と不思議な生き物との愛を描く『シェイプ・オブ・ウォーター』
言葉が発せない女性と不思議な生き物との愛を描く『シェイプ・オブ・ウォーター』[c]2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

未知のクリーチャーとの生き残りをかけたサバイバル『HOSTILE ホスティル』

HOSTILE ホスティル』(18)は、伝染病で人類が絶滅寸前となったポストアポカリプスな世界が舞台。わずかに生き残った人類は、夜になると現れて人を狩り始める未知のクリーチャーに怯えながら、息を潜めて暮らしている。生存者の一人であるジュリエット(ブリタニー・アッシュワース)は荒野で車を走らせている最中に横転し、行動不能に陥ってしまう。辺りが暗くなるなか、足を骨折し動けなくなった彼女は、闇に紛れてなにかが近づいてくるのを感じるのだった…。

ジュリエットは最愛の夫が残した言葉を心に刻み、生きることを決して諦めない女性。絶望的な状況下での決死のサバイバルが展開されるのと交差するように、彼女と夫との出会いやぶつかり合い、感染爆発直前の別れの記憶が差し込まれていく。そして、ついに訪れる、ジュリエットの選択、クリーチャーとのせつない結末が胸を締め付ける。

『HOSTILE ホスティル』のパッケージは発売中
『HOSTILE ホスティル』のパッケージは発売中[c]French Post Apocalyptic Film
■『シザーハンズ』
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価格:5,980円+税
発売・販売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン

■『シェイプ・オブ・ウォーター オリジナル無修正版』
Blu-ray 発売中
価格:1,905円+税
発売・販売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン

■『HOSTILE ホスティル』
DVD 発売中
価格:4,104円+税
発売・販売元:ブロードウェイ

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