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尾上松也と百田夏菜子、『すくってごらん』で目指したのは「どこにもないエンターテインメント」

インタビュー

尾上松也と百田夏菜子、『すくってごらん』で目指したのは「どこにもないエンターテインメント」

「ピアノは初心者だったので、めちゃくちゃ難しかったです」(百田)

撮影を心から楽しんだという2人だが、百田は今回、ピアノを弾くシーンが最大の難関だったと明かす。
「ピアノはめちゃくちゃ難しかったです。ピアノは初心者だったので、最初にドレミファソラシドを弾くところから教えていただきました。しかも、かなり攻めた曲だったので、これをちゃんと弾ききれるかなあと不安でしたが、弾いているうちにすごく楽しくなっていき、ピアノはいまや大好きな楽器になりました。だからこの作品をきっかけに、いまでも練習を続けています」。

百田が苦労したというピアノの演奏シーンも見どころ
百田が苦労したというピアノの演奏シーンも見どころ[c]2020映画「すくってごらん」製作委員会 [c]大谷紀子/講談社

松也はそれを受け「真壁監督は、百田さんが2週間でピアノをものにしたと言っていたよ」と感心するも、百田は「というか、『2週間でものにしなさい』という空気を感じたんです」と苦笑い。
「真壁監督はスパルタというか、優しい感じの雰囲気で『すでにものにしたよね?』と言ってくるんです。実際にものにできていたかどうかはわかりませんが、私はもともと短期集中型だし、ピアノに向き合う時間を通して、少しはピアノと仲良くなれたかなと思います」。

松也によると「今回はそれぞれの役ごとに課題があり、みなさんがいろいろなことにチャレンジしていました」と言う。
「そういう意味でいうと、僕は特に課題はなかったのですが、毎回苦労したのは、金魚すくいのシーンです。やはり生き物なので難しくて、なかなか思い通りには動いてくれないんです。欲しい画を撮るために、長時間待ったりして、撮影チームは大変そうでしたが、そういうことも、僕にとっては良い思い出となりました」。

金魚すくいに夢中になる香芝
金魚すくいに夢中になる香芝[c]2020映画「すくってごらん」製作委員会 [c]大谷紀子/講談社

2人が気合十分に挑んだ歌唱シーンは、本作のハイライトでもあり、百田は「めちゃくちゃ楽しかったです」と無邪気な笑顔を見せる。
「普段とは違い、自分ではなく“役”として歌うので、すごく新鮮でした。また、あるシーンでは、松也さん演じる香芝はすごく真っ直ぐな人ですが、その気持ちが吉乃の心に届かないという設定なのに、松也さんの歌に感動してしまって、私自身の心に届きそうになってしまいました。その時は『これじゃあ、ダメだ』と、敢えて心に蓋をしたんです。けっこう難しいシーンでしたが、松也さんが全力で歌ってくださったので、きっとその熱は映像を観ても伝わってくると思います」。

ミュージカルでも活躍する柿澤勇人演じる王寺昇
ミュージカルでも活躍する柿澤勇人演じる王寺昇[c]2020映画「すくってごらん」製作委員会 [c]大谷紀子/講談社

完成版を観た百田は「なるほど、真壁監督の頭のなかはこうなっていたのか!すごくおもしろいと思いました」と興奮を隠せなかったそうだ。
「自分が参加した作品のはずなのに想像を越えてきて、ワクワクしながら観ることができました。私が出てないシーンもたくさんあったので、全部繋がった完成版を観られて、とても嬉しかったです。笑えるところも心を掴まれるところもあるし、感情が転がされるので、きっと観たらすごくハッピーな気持ちになれると思います」。

松也も「いろんな要素が入った映画で、自分たちは気持ちを繋げて演じたつもりでしたが、完成版を観て、やっとすべてが繋がったなと思えたことが自分のなかでは大きかったです。監督がやってみたいことがちゃんと具現化され、いわゆる物語のセオリーにとらわれてない作品になったのではないかと。シリアスなシーンもありますが、恋模様を明るくポップに描いていて、とても見やすい作品ですので、性別、年齢問わず、幅広い方に楽しんでいただきたいです」と力強く締めくくった。

取材・文/山崎伸子

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