ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017、グランプリは33歳監督の手に|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017、グランプリは33歳監督の手に

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ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017、グランプリは33歳監督の手に

北海道・夕張市で開催中の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017」。3月5日、クロージングセレモニーと授賞式が行われ、オフシアター・コンペティション部門で、永山正史監督の『トータスの旅』がグランプリを受賞した。

今年のゆうばり映画祭でオフシアター・コンペティション部門のグランプリを獲得した永山正史監督と審査委員長の内藤誠監督
今年のゆうばり映画祭でオフシアター・コンペティション部門のグランプリを獲得した永山正史監督と審査委員長の内藤誠監督

本作は、妻を亡くした男が、風変わりな兄に振り回され、息子とカメと兄の恋人と共に奇妙な旅に出る姿を描いたロードムービー。審査委員長の内藤誠監督は「子どもと動物が出る映画は(コントロールできなくて)大変だから、大抵ひどい目にあうんです。でもこの映画はカメと少年という難物を扱っている。70年代のテイストだとか、『イージー・ライダー』的で共感しやすいところもあった。個人的には辛口になる部分もあるが、満場一致でした」と評した。

【写真を見る】トロフィーを受け取り、グランプリ受賞の喜びを語る永山監督
【写真を見る】トロフィーを受け取り、グランプリ受賞の喜びを語る永山監督

現在33歳の永山監督は、本作が監督2作目。フリーランスでCMなどのディレクター・カメラマンとしての活動をしながら映画を完成させた。初監督作となる前作『飛び火』はぴあフィルムフェスティバルに入選しており、本作も第10回田辺・弁慶映画祭と第17回TAMA NEW WAVEで男優賞を受賞しているが、「男優賞などはほかの映画祭でいただいていたのですが、作品賞を受賞したのは初めてです。やさぐれて、賞なんていらないと思っていたけど、本当にうれしいですね」と喜びを語った。次回作支援金の使途について尋ねられると、「いくつか考えている企画があるのですが、これまでフィクションで“変なおじさん”の姿を描いてきたので、今度はそれをドキュメンタリーでやってみたい」と抱負を語った。

ファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門の審査委員長を務めた内藤誠監督
ファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門の審査委員長を務めた内藤誠監督

審査委員長の内藤誠監督は「約500本の候補作から7本が選ばれコンペ部門で上映されましたが、選ばれなかった作品を観てみたところ、とてもすばらしかった。だから、7本の中から受賞作の3本を選ぶというのはかなりシビアで、大変なことを引き受けてしまったなと思いましたね。そして、仲間を集めて映画を作ることのすばらしさを思い出しました。これから、仲間ともっとおもしろい映画を作ってほしい。仲間との人間関係を含めて、苦しんだり悩んだりしながら映画を作っていくわけですから。そしてまたゆうばりに戻ってこれるよう、私も努力するので、頑張っていきましょう」とまとめた。

オフシアター・コンペティション部門で審査員特別賞を受賞したイム・チョルミン監督
オフシアター・コンペティション部門で審査員特別賞を受賞したイム・チョルミン監督

ほか、オフシアター・コンペティション部門では審査員特別賞にイム・チョルミン監督『ベートーベン・メドレー』、北海道知事賞に横山翔一監督『はめられてRoad to Love』、シネガーアワード(批評家賞)に越坂康史監督『ストレンジデイズ』、スペシャルメンションに村山和也監督『堕ちる』が輝いた。審査員の講評では、女優のほたるが「今回のコンペ作品は、女性蔑視的な表現があまりにも多く、女性の描き方がひどすぎる。女優として色々な表現があることは承知していますが、監督さんたちは女性の表現についても考えてみてください」と訴える場面もあった。

ショートフィルムコンペティション部門でグランプリを受賞したキム・ヒョジョン監督
ショートフィルムコンペティション部門でグランプリを受賞したキム・ヒョジョン監督

また、インターナショナル・ショートフィルム・コンペティション部門では、グランプリにキム・ヒョジョン監督の『M.boy』、審査員特別賞にパスカル・ティボウ監督の『歯』、優秀芸術賞で見里朝希監督の『あたしだけをみて』、飯田千里監督の『タコ船長とまちわびた宝』、ダニエル・ドランロー監督の『Mizbruk』がそれぞれ受賞を果たした。

最後は関係者が全員壇上に上がりクロージング
最後は関係者が全員壇上に上がりクロージング

最後に閉会宣言がされ、3月2日より開催されていた映画祭は盛大な拍手と共に幕を閉じた。明日6日にはオフシアター部門、コンペ部門の受賞作品上映会が開催される。【取材・文/Movie Walker】

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