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生存難易度はさらにアップ!劇場で思わず息をひそめる…『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』をレビュー

コラム

生存難易度はさらにアップ!劇場で思わず息をひそめる…『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』をレビュー

“音を出さない”難易度がさらに増した第2作


そして、絶賛を浴びた前作に続く第2弾では、出産ミッションはなんとか乗り切ったものの、自分たちの家を失い、いつ泣き出すかわからない赤ん坊を抱えており、“音を出さない”ことに対する難易度がさらに増している。そこで、いままでは篝火を焚いて安否を確認していたご近所さんに助けを求めようとするのだが、ご近所さんにも抱えている事情があり、家族は分散して行動することになってしまう…。

【写真を見る】廃工場で出会った男、エメットは何者…?(『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』)
【写真を見る】廃工場で出会った男、エメットは何者…?(『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』)[c]2021 Paramount Pictures. All rights reserved.

主人公家族に襲いかかるのは、物理的な危険だけではない。農場の外の勝手がわからない変貌した世界、誰を信用していいかわからない生存者同士の疑心暗鬼、そしてなによりも、家族を想い、守りたいと願うがゆえにお互いの気持ちが行き違ってしまうことだ。誰もが家族を大事に思っているだけなのに、今回はそれぞれが決断を迫られる。 

応援せずにいられない!子どもたちの活躍

耳が不自由な長女リーガンの視点で映される、緊張感に満ちた映像も必見(『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』)
耳が不自由な長女リーガンの視点で映される、緊張感に満ちた映像も必見(『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』)[c]2021 Paramount Pictures. All rights reserved.

今回、前作以上に大きな役割を担うことになるのが、長女のリーガン(ミリセント・シモンズ)と長男のマーカス(ノア・ジュプ)だ。聴覚障害というハンデを抱えたリーガンの決死の冒険と、ビビりがちなマーカスの精神的試練が物語の核となっている。

前作のラストで、父親とともに“なにか”の弱点を見つけたリーガンは、世界を救う方法があるのではないかと考える。しかし親にとっては世界よりもリーガンの命の方が大切。結局リーガンは母エヴリンを振り切り、たった独りで外界に飛び出していくのである。

今回のマーカスは重症を負い、ほとんど動くこともままならないのだが、イヴリンともども絶体絶命の境地が訪れる。もはや選択肢は、諦めて殺されるか武器を取って戦うかしかない。リーガンにせよマーカスにせよ、まだ幼い彼らにはあまりにも過酷な状況だが、彼らの決意が、自分だけでも家族だけでもない、希望を未来につなぐことになるのである。

つまり本作は、生きる決意をした子どもたちの勇気と成長の物語なのだ。非力だが健気な彼らの奮闘を、誰が応援せずにいられましょうか!?

ほかの生存者が多数!?彼らとの出会いによって物語は大きく動きだす(『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』)
ほかの生存者が多数!?彼らとの出会いによって物語は大きく動きだす(『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』)[c]2021 Paramount Pictures. All rights reserved.

ちなみに本作の原題は『A Quiet Place PartⅡ』。この「PartⅡ」は「第2章」を意味しており、すでに「第3章」が構想されていることを主演のエミリー・ブラントがインタビューで明かしている。本作が全米で大ヒットスタートを切ったことで、3作目が製作される可能性はさらに高まった。2作目のスケールアップを思えば、観客の期待値も上がる一方だろう。

コロナ禍によって日本の映画興行も打撃を受け、観客側の気持ちも以前とは同じではなくなってしまっているが、『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』は劇場でしか味わえない興奮を約束してくれる作品だ。しばらく劇場から遠ざかっていた映画ファンにも、改めて映画館で映画を観る楽しみを思い出させてくれるに違いない。

文/村山章


■『クワイエット・プレイス』
Blu-ray 発売中
価格:1,886円+税
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』ムビチケ前売券(オンライン)発売中
・前売一般:1,500円
・販売終了日 : 6月17日(木)

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