“特撮の神様”円谷英二の原点!失われた幻のフィルム『かぐや姫』が85年の時を経て凱旋|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
“特撮の神様”円谷英二の原点!失われた幻のフィルム『かぐや姫』が85年の時を経て凱旋

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“特撮の神様”円谷英二の原点!失われた幻のフィルム『かぐや姫』が85年の時を経て凱旋

「ウルトラマン」や「ゴジラ」など、日本が世界に誇る数々の特撮作品を世に送りだしてきた“特撮の神様”円谷英二。その生誕120年の節目を迎えた7日、8月17日(火)より行われる「生誕120年 円谷英二展」の開催と、幻のフィルム『かぐや姫』(35)の凱旋上映の企画発表を兼ねた記者会見が国立映画アーカイブ長瀬記念ホールOZUにて開催された。

会見に登壇したのは国立映画アーカイブ館長の岡島尚志と、展示・資料室長主任研究員の岡田秀則、映画室長主任研究員の大傍正規、そして円谷プロダクション代表取締役会長兼CEOの塚越隆行の4名。まず初めに国立映画アーカイブの3名より、円谷が特撮に足を踏み入れる以前にカメラマンとして活躍していた頃の作品で、長い間失われていた『かぐや姫』の短縮版がイギリスで発掘され凱旋上映に至るまでの経緯が語られていく。


「生誕120年 円谷英二展」は8月17日(火)より開催される
「生誕120年 円谷英二展」は8月17日(火)より開催される

日本国内では1935年に公開された75分のトーキー音楽映画『かぐや姫』は、翌年に英国人や現地邦人向けの上映会が企画されたことから、国際映画協会の監修によって冒頭に英語字幕による解説を付した33分の短縮版が作成。それからおよそ80年が経った2015年に、ロンドン在住の映画史研究家から本作の可燃性ポジフィルムが現存しているという情報が寄せられ、同年10月に国立映画アーカイブ(当時:東京国立近代美術館フィルムセンター)研究員が現物調査を実施。英国映画協会とおよそ6年にわたる収集交渉を経て、不燃化したフィルムの里帰りが実現したとのこと。

岡島は「このイベントは日本における特撮技術の創始者、円谷英二の生誕120周年をお祝いするもの。このたびの映画『かぐや姫』の発見は、国際的な連携が良いかたちで実った一例と考えております」と述べ、「長年の収集事業の成果が活かされた展覧会で展示される数々の怪獣映画、SF映画のポスターなども、私どもの地道なアーカイブ活動の成果であり、円谷英二という巨人の業績を雄弁に語ってくれるものとなっていると思います」と、「生誕120年 円谷英二展」への自信をのぞかせた。

一方、塚越は「円谷プロダクションの創業者である円谷英二の生誕120周年の年に、円谷英二展を開催し『かぐや姫』を上映できることを大変うれしく思います。また、今年は『ウルトラマン』の誕生から55年目という年でもあります。このタイミングで皆様にお届けできる意味を感じております。この企画がたくさんの皆様に円谷英二監督の偉業を知っていただく機会になればと思います」とコメント。 

【写真を見る】会見には円谷英二の三男・円谷粲も登壇!「120年経っても功績を祝ってくれることをありがたく思います」
【写真を見る】会見には円谷英二の三男・円谷粲も登壇!「120年経っても功績を祝ってくれることをありがたく思います」

さらに特別ゲストとして円谷英二監督の三男である円谷粲も登壇。「120年経っても円谷英二が忘れられずに、残した功績を祝ってくれることを大変ありがたく思います。感謝に堪えません。120年も生きた実績が残るというのは大したものだなと思います。この年になると、父からなにを言われたか思い出せませんが、こうした展覧会などを通して再度インプットしつつ、新しい人たちがなにかを得られることができればと思っています」と語った。

文/久保田 和馬

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