トム・ヒドルストンが語る、“男らしさ”と俳優としての“野望”「シェイクスピアと成長したい」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
トム・ヒドルストンが語る、“男らしさ”と俳優としての“野望”「シェイクスピアと成長したい」

インタビュー

トム・ヒドルストンが語る、“男らしさ”と俳優としての“野望”「シェイクスピアと成長したい」

『マイティ・ソー』や『アベンジャーズ』のロキ役で大ブレイクした英国俳優トム・ヒドルストンが、モンスターが大暴れする映画『キングコング:髑髏島の巨神』(3月25日公開)に出演。野性味ある、大人の男の色気をふりまいている。世界中の女性のハートを鷲掴みにしているトムだが、「今回のコング、男らしいだろう?」と新たなコングの魅力にぞっこん。彼の思う“男らしさ”や、俳優としての野望を聞いた。

本作の舞台は1973年。未知なる生物の存在を確認しようと謎の孤島・髑髏島に潜入した調査隊員が、キングコングや巨大生物に遭遇。究極のサバイバルを強いられる姿を描くアクション・アドベンチャー大作だ。トムは、社会に幻滅を抱く英陸軍特殊部隊の元隊員・コンラッド大尉を演じている。

ベトナム戦争の影を背負ったコンラッドを演じるために、肉体的なトレーニングも欠かせなかった。さらに6か月にわたる撮影も、毎日山深いロケ地まで通うなどハードそのもの。「毎朝4時起床で、トレーニングをしてから撮影。アクションもすべて自分でこなして大変だったよ」と言いつつも「体を鍛えるのは大好きなんだ。今回の撮影もとても気に入ったよ」と常にポジティブ思考。「僕は外に出るのが大好きで、外に出られないとイライラしてしまうくらい。犬みたいだよね(笑)。ランニングが大好きで、どこでも走り回っているよ」。

肉体的な準備だけでなく、内面からコンラッドを理解しようとリサーチを重ねた。彼の役作りの手段は「役柄の生きた時代の新聞の見出しを見ること」だ。「70年代を徹底的にリサーチした。僕は1981年生まれなので、生まれる前の時代だ。激動の時代で、政治的にも社会的にもいろいろな変革が起きた。僕はまず、コンラッドの生きた時代の新聞の見出しは何だったんだろうと考えたんだ。すると色々なものが見えてくるからね」。

コンラッドというキャラクター名は、『地獄の黙示録』のもととなった小説「闇の奥」の原作者・ジョゼフ・コンラッドに由来している。「コンラッドという名前は、登場人物が『精神的な旅に出る』ということを暗示しているんだ。すべてを知り尽くしたと思っているけれど、コングに出会って、『まだ地球上には謎がある』と知る。理解できていないことがあるし、そういったミステリーは必要なんだというメッセージがあるんだ。この映画はエンタテインメントだけれど、しっかりとそういった芯があるんだ」。

知性とユーモアに富んだ会話、穏やかなまなざしと微笑み。スタイルだけでなく内面もともなった、イケメン英国俳優。そんなトムだが、今回のコングの男前度に圧倒されている様子。「今回のコング、男らしいだろう?今回のコングは、守るコング。でも誤解されていて、破壊的で恐ろしいと思われている。やっぱり誰でも誤解されると傷つくよね。だからこそ誰もが共感できる。今回のコングは強いけれど、自制心もあって、責任感があるんだ」。

「理想の男像と言えそう?」と聞いてみると、「そう思わないかい?」と楽しそうな笑顔。では、トムの目指す理想の男像とは?「優しさとリスペクト、責任感がある男だね。言動、行動に責任を持つこと。現代においては意外と、守られていないことでもあるよね。僕は責任感のある男になりたいんだ」。

“役者=トム・ヒドルストン”に目を向ければ、マーベル映画シリーズのロキ様で世界的にブレイク。シェイクスピアの史劇「コリオレイナス」では、ロンドン・イブニング・スタンダード・シアター・アワードで最優秀男優賞を獲得するなど、ノリに乗っている。今後はどんな野望を抱いているのだろうか。「やりたいことは、まだまだいっぱいあるよ」と微笑み、こんな夢を教えてくれた。

「年齢を重ねるごとに人生経験も豊かになって、伝えたいことも増えてくる。僕はシェイクスピアとともに成長したいと思っているんだ。僕が幸運ならば、シェイクスピア劇の様々な年代の役をすべて演じていけるとうれしい。シェイクスピアって、人生のあらゆる年代のことを理解している作者で、兵士、王、父親、賢者、道化など演じがいのある役柄がたくさんあるんだ。俳優としてのやりがいというのは、『幅がある』と言ってもらえること。自分の表現でありながら、世界中の人々が持っている感情を伝えられる可能性だってある。俳優というのは考古学者のようなもので、いつも色々な人の人生を掘り下げて、あらゆる人物になれる職業なんだ」。【取材・文/成田おり枝】

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