『ザ・スーサイド・スクワッド』ジェームズ・ガン×樋口真嗣の日米“怪獣好き”監督対談が実現!「小さいころからウルトラマンが大好き」 - 2ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『ザ・スーサイド・スクワッド』ジェームズ・ガン×樋口真嗣の日米“怪獣好き”監督対談が実現!「小さいころからウルトラマンが大好き」

インタビュー

『ザ・スーサイド・スクワッド』ジェームズ・ガン×樋口真嗣の日米“怪獣好き”監督対談が実現!「小さいころからウルトラマンが大好き」

「(ガン監督は)人に見せる映画を作るということに真摯に向き合っている」

対談を終えた樋口監督の感想は「映画と全然違う、すごくまじめな監督」だった。「ガン監督の作品には、ふざけながらもどこか冷静な視点を感じていましたが、お話してその理由がわかりました。メチャクチャ真摯なんですよ。人に見せる映画を作るということに真摯に向き合っている。親が顔をしかめるようなことが大好きな子ども心を持ちながら、これだけの予算をかけた映画を任せてもらえる。そんな振り幅が、作品の魅力に相通じていると感じました」。

ガン監督の作品に共通する緩急のつけ方が大好きだという樋口監督だが、同じ作り手としてどう見ているのだろうか。「クエンティン・タランティーノが出てきて以降、作家のセンスで映画はいかようにも変えられるようになってきました。作家性の名のもと、自由でいろんな表現が可能になったのはよいけれど、コントロールを間違えたまま終わる、残念な映画もたくさん作られた。この映画がすごいのは、思いもよらないことが次から次へと起こるけど、演出という面ではものすごくまっとうなんです。正直で、純粋なところがガン監督のすばらしさだと思います」。

自身のメモに目を通しながら、映画について細部まで語る樋口監督
自身のメモに目を通しながら、映画について細部まで語る樋口監督撮影=奥野和彦

対談にあたり映画を観た樋口監督は「観終わった時に自分のなかで整理ができず、立て続けにもう一度観させていただきました」と笑う。「もっとも衝撃を受けたのは、敵陣に乗り込んで仲間を救出しようとするシーン。相手は敵なので、こっちも『やれ、やっちまえ!』という気分になるわけですが、ガン監督は満足させたあとにはしごを外しにくる。その衝撃は映画館で味わってほしいです。『ランボー』シリーズやマイケル・ベイ監督の初期の映画のような、かつて“骨太”と言われたアクション映画のプロットを、このキャラクターたちに演じさせているという発想もすごくおもしろかった」。

樋口監督も衝撃を受けた、仲間を救出するため敵陣に乗り込むシーン
樋口監督も衝撃を受けた、仲間を救出するため敵陣に乗り込むシーン[c] 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & [c] DC Comics

「史上最低というべき、激しいラブシーンがいいですね」

愛すべき悪党チームの容赦ない大暴れが可能だったのは、DCブランド作品だからではないかと推測する。「DCであることが大きかったと思います。マーベルだったら『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズが限界でしょう。『ダークナイト』や『ジョーカー』など、人間の心の闇やトラウマをどこまでも描いていいという錦の御旗を掲げるDCだから、このくらいはやるでしょ?みたいな部分があったと思いますよ」。

特に印象に残っているキャラクターはハーレイ・クインだそう。「ハーレイは『スーサイド・スクワッド』、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』に続く3本目の映画ですが、今回が一番かわいいし、輝いて見えました。描き方もほかのキャラクターと比べても丁寧だったし、各シーンの切り取り方も絶妙で、監督の揺るぎない意思を感じました。映画を観たらきっと彼女に惚れ直すでしょうね」。なかでもお気に入りはラブシーンだという。「史上最低というべき激しいラブシーンがいいですね。以前から殴り合いながらキスするようなシーンを撮ってみたかったので、やられた!という思いもありますが(笑)。とにかく、こんなシーンが観たかった!の連続でした」。

樋口監督が「今回が一番かわいい」と絶賛したハーレイ・クイン
樋口監督が「今回が一番かわいい」と絶賛したハーレイ・クイン[c] 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & [c] DC Comics

「スターロ大王は、大映の特撮映画『宇宙人東京に現わる』に出てきたパイラ人そっくり」

クライマックスの“怪獣特撮”も、そんな「観たかった!」の一つ。「スターロ大王は、大映の特撮映画『宇宙人東京に現わる』に出てきたパイラ人そっくりなんです。映画のなかのパイラは暴れていませんが、宣伝用に作られた巨大なヒトデが暴れる合成写真をスクリーンで観るという夢のような体験ができました。またラットキャッチャー2がネズミを操るところは、撮影途中で製作中止になった大映の幻の怪獣映画『大群獣ネズラ』のよう。誰も頼んでないのに、大映特撮大会になっている(笑)。スターロはコミックスに出てくるし、作っている方はそんなこと考えてないんでしょうけどね」。

スターロ大王が登場するクライマックスの“怪獣特撮”は、樋口監督が「観たかった!」シーンの一つ
スターロ大王が登場するクライマックスの“怪獣特撮”は、樋口監督が「観たかった!」シーンの一つ[c] 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & [c] DC Comics

映画のすべてが好きという樋口監督は、本作をひとことで言えば「観終わったあと誰かと語りたくなる、観なきゃマズい映画」だと締めくくる。「むしゃくしゃしているいまの世の中、モヤモヤ気分を吹き飛ばしてくれる映画。まじめさという言葉でまとめちゃうのはよくないけど、前向きになれる映画でもあると思います。いい意味で大人が本気で悪ふざけしているので、みんなでゲラゲラ笑いながら観てほしいですね」。

取材・文/神武団四郎


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