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「“ビーチ”を密室に見立てる設定だけでおもしろい」謎解きタイムスリラー『オールド』を、編集部が大胆予想!

コラム

「“ビーチ”を密室に見立てる設定だけでおもしろい」謎解きタイムスリラー『オールド』を、編集部が大胆予想!

異常な状況下での、人々の心の変化を描く人間ドラマに注目!

三浦「“シャマラニスト”の西川さんが本作に期待するポイントはなんですか?」

西川「さっきも言ったけど、ビーチでなぜ急速に老いが進むのかという設定だけで、観たいなと思わせてくれるよね。ハッタリが効いていて、いかにもシャマランらしい。たぶん、本作で多くの人が気になっているのは、老化が急速に進む“理由”で、もちろんそれは重要なことなんだけど、個人的には本質ではないと考えている。シャマラン映画のポイントって、結末に至るまでの人間ドラマというか、異常な状況下に置かれた人々が、どういう感情変化を経て解決に向かって行くのかがおもしろい。『シックス・センス』などのイメージでどんでん返しのシャマランって思われがちだけど、人間ドラマにも注目してほしい」

三浦「ミステリーサークル×信仰心の『サイン』みたいに、舞台設定と事象のミスマッチ感から生まれる意外性が、“ザ・シャマラン”って思われていますね」

西川「『サイン』も、僕はオチは付けなくても良かったかな。誰もが納得する結末、理屈がなくても、ミステリーサークルが現れたことによる主人公一家の変化がおもしろかったので。『ハプニング』なんかは結末は判然としなかったけど、十分に作品は成立していたと思う。今回もそんな感じでもいいんじゃないかな」

下田「シャマランが海外で受けたインタビューをMOVIE WALKER PRESSでも記事にしたんですが、そのなかで『アンブレイカブル』『スプリット』『ミスター・ガラス』で完結した三部作をやりきって、『新たな気持ちが自分のなかで起こっているんだ!』と言っていた。だから、『これまでのシャマランはこうだったから』とそこまで過去作を意識しなくてもいいのかも。たしかに、どんでん返しというキャッチが注目されがちだけど、私も過程を楽しんできたと思う。品があって、いやらしくない演出も映画的に観ていて気持ちいいですよね」

【写真を見る】少年が手にする朽ちたメガネの意味は…?謎に包まれた『オールド』の世界
【写真を見る】少年が手にする朽ちたメガネの意味は…?謎に包まれた『オールド』の世界[c]2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

ベテランから新人まで…映画ファンの心を奪うキャスティング

三浦「ガエル・ガルシア・ベルナルが主演なのも興味深いですね。予告編で『あなた、シワが…』と言われるシーンがありましたが、良い感じに歳を重ねたガエルの久々のハリウッド大作出演という点にも注目しています」

西川「ガエルと言えば、(アレハンドロ・ゴンサレス・)イニャリトゥの『アモーレス・ぺロス』で長編映画デビューして、当時は“ザ・美青年”なイケメン俳優のイメージだった。最近は、Amazon Prime Videoのコメディ・シリーズ『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』などで活躍しています。男性陣ではほかに、『ダークシティ』や今年のアカデミー賞で話題になった『ファーザー』にも出ていたルーファス・シーウェルが目を引くね」

ガエル・ガルシア・ベルナルやヴィッキー・クリープス、アビー・リーと映画ファンの琴線に触れるキャスト陣が集結!
ガエル・ガルシア・ベルナルやヴィッキー・クリープス、アビー・リーと映画ファンの琴線に触れるキャスト陣が集結![c]2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

下田「『ファントム・スレッド』でアルマを演じていたヴィッキー・クリープスも出演していますね。お母さん役かな?これは『あの映画のあの役の人か!』と思わせる、絶妙なキャスティングですね」

西川「あと、以前から注目していたトーマシン・マッケンジーにも注目です」

『ジョジョ・ラビット』(19)のトーマス・マッケンジーも出演
『ジョジョ・ラビット』(19)のトーマス・マッケンジーも出演[c]2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

下田「あっという間に成長してしまう…という劇中の設定さながらに、『ジョジョ・ラビット』と比べて『成長したなー』と感じました(笑)。予告編ですでに大変なことになっているエリザ・スカンレン。ビーチに来てから妊娠してしまうみたいですが…?『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』や『ベイビーティース』などで病弱な役をやっていたので、『今回もなんかあるのかな?』とうがってしまう配役ですよ」

三浦「トーマス・マッケンジーとエリザ・スカンレンの名前だけ見れば、イケてる青春映画ができそうですよね。スリラーファンとしては、『へレディタリー/継承』で永遠に忘れられない表情を見せてくれたアレックス・ウルフも見過ごせないです!一目で彼とわかる強めの顔。ハンサムと言えばハンサムなんですけど、なんとも言えない気の抜けた感もあります。彼が出ているのを知って僕は感動しました」

エリザ・スカンレンは本作でも大変な目に遭ってしまうのか?
エリザ・スカンレンは本作でも大変な目に遭ってしまうのか?[c]2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

西川「やっぱりキャストは豪華。それに演技力もある人たちばかりだから、彼らが繰り広げる演技合戦だけでも見応えがありそう。テレンス・マリックが同じ面子で映画を撮っても不思議じゃない」

下田「シャマラン監督には、ブルース・ウィリスやメル・ギブソンといった熟練のスターに新たな扉を開かせる力もあるけど、引き抜きというか、次なるスターを配役するセンスもありますね。その後『クイーンズ・ギャンビット』で主演を務めるアニャ・テイラー=ジョイですが、『「スプリット」のあの子か!』って思った人も多いはず」

三浦「ほかにも、『シックス・センス』には舞台をメインに活動していてまだ有名になる前のトニ・コレットを、『サイン』ではのちにオスカー候補になったアビゲイル・ブレスリンを起用していましたね」

西川「うん、シャマランは、そのキャスティング力でもっと注目されて良いかもしれない」


『へレディタリー/継承』(18)で強烈な印象を残したアレックス・ウルフの姿も
『へレディタリー/継承』(18)で強烈な印象を残したアレックス・ウルフの姿も[c]2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

『ゲット・アウト』や『ミッドサマー』を思わせつつ、スリラー映画の新たな可能性も?

三浦「『ゲット・アウト』や『ミッドサマー』といった最近のスリラー作品って、主人公たちがバカンスや旅先で異なる風習に出会って、忌まわしいことに巻き込まれる展開が多いですよね。本作がどうなるかわからないですが、登場人物が現実とは違う時間軸に迷い込んでしまう異世界ものになる気もします」

下田「本作では、村や誰かの家みたいな他人のルールに入っていく前に、一度ホテルで過ごしている。三浦くんが言った作品で描かれたような、古くから伝わる因習…みたいなものとはまた違った展開になりそうなので、ますます期待できます」

西川「『ミッドサマー』は土着信仰に土足で踏み入ることの怖さ、『ゲット・アウト』は人種問題がテーマだったけど、そういう意味でもまた新しいものが観られるかもしれない」

三浦「予告編だけでも、映像が本当にきれいだったので撮影監督を調べたのですが、マイケル・ジオラキスという方が担当しています。『イット・フォローズ』とか『アンダー・ザ・シルバーレイク』『アス』など、最近の話題になったスリラー作品を手掛けているカメラマンなので、その画作りがスリラーファンにすごくマッチしているんだろうなと思いました」

下田「そうなんだ!シャマランとのコンビは初めて?」

三浦「これまでも、『アンブレイカブル』『スプリット』『ミスター・ガラス』の三部作、Apple TV+のドラマシリーズ『サーヴァント ターナー家の子守』で組んでいます」

下田「そう考えると、撮影監督もここ4、5年でステップアップしたカメラマンなんだね」

南の島の楽園リゾートにあるプライベートビーチを訪れた人たちに次々と異変が…
南の島の楽園リゾートにあるプライベートビーチを訪れた人たちに次々と異変が…[c]2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

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