『マイ・ダディ』金井純一監督が明かす、ムロツヨシの魅力「演者と作り手、両方の視点を持っている方」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『マイ・ダディ』金井純一監督が明かす、ムロツヨシの魅力「演者と作り手、両方の視点を持っている方」

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『マイ・ダディ』金井純一監督が明かす、ムロツヨシの魅力「演者と作り手、両方の視点を持っている方」

ムロツヨシが映画初主演を飾った『マイ・ダディ』(9月23日公開)のMOVIE WALKER PRESS独占試写会が9月7日にスペースSF汐留で開催され、上映後に金井純一監督とプロデューサーの村上公一がティーチインに登壇。2人が、主演のムロをはじめとするキャスト陣の魅力や、観たあとだからこそ話せる撮影裏話を披露した。

『マイ・ダディ』は、カルチュア・エンタテインメントと蔦屋書店が主催する映像クリエイター支援プログラム「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM」での2016年準グランプリ受賞作の映画化作品。ドラマ「猫」の監督&脚本を手掛けた金井純一がメガホンをとった。

ムロは妻を早くに亡くし、中学生の娘とつつましくも幸せな毎日を送る牧師、御堂一男役を、新進女優の中田乃愛が白血病の娘、ひかり役を演じ、深い親子愛のドラマを紡ぎあげた。亡き妻の江津子役を奈緒が、ストリートミュージシャンであるヒロ役を毎熊克哉が演じた。

「ムロさんは舞台の演出もやっていらっしゃるので、役者と演出、両方の視点がある」(村上)

本作では、ムロツヨシが映画初主演を飾った
本作では、ムロツヨシが映画初主演を飾った[c] 2021「マイ・ダディ」製作委員会

「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM」作品といえば、長澤まさみ✕高橋一生共演の『嘘を愛する女』(18)や土屋太鳳✕田中圭共演の『哀愁しんでれら』(21)、そして公開中の黒木華主演映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』など、いずれも巧妙なストーリーテリングにうなる秀作ばかり。『マイ・ダディ』の脚本も、かなり時間をかけてブラッシュアップしていったという、金井監督と村上プロデューサー。

金井監督は「最初に賞をいただいた時の脚本だと、お母さんである江津子は出てこなかったけど、村上さんに入っていただいてから脚本を直していくなかで、やっぱり江津子を登場させたほうがわかりやすくていいだろうとなりました。そこから試行錯誤し、脚本を組み直していきました」と脚本へのこだわりを語った。

村上プロデューサーも「どれくらいの分量で江津子を見せていくか、どういう順番で見せていくか、そのバランスをとるのに苦労しましたよね。ちょうど脚本を作っている時に、ある海外ドラマを観ていて、この構造は『マイ・ダディ』にも使えるかもしれないとなって金井監督に相談したら、ちょうど監督もそのドラマを観ていたので、そこからドラマが上手く広がっていきました」と言う。そこはネタバレになるので詳しくは明かせないが、確かにトリッキーな脚本が、物語をよりドラマチックに魅せている。


プロデューサーの村上公一
プロデューサーの村上公一

本来は2020年の4月に撮影予定だった本作だが、コロナ禍となり、撮影が12月に延期となったことでいろいろな変更事項も出たのだそう。金井監督は、「ムロさん演じる御堂の若い頃と現在をどう見せようかということで、髪型で変化をつけることにしたんです。当時のムロさんは髪が長かったので、黒髪をあげるとめちゃくちゃ若くなり、下ろすと白髪になるということで、これでいきましょうとなりました。ところが、撮影が延期になり、久しぶりにムロさんにお会いしたら、別の映画の現場に入っていたということで、髪がすごく短くなっていたんです!メイクさんと話し合って、そこは白髪の1~3段階に分けて入れることにしました。若いころはエフェクトで肌をきれいにしていますが、やりすぎてもつるつるになってしまう。その許容範囲が難しかったです」と述懐する。

ムロにとっては、満を持しての映画初主演作となったが、金井監督とムロは、最初に会った時から意気投合できたのだという。「当時はまだお酒が飲める時期だったのですが、本当にムロさんとはフィーリングが合うなと思いました。役柄についてはそこまで話さなかったけど、どういう映画にすればおもしろいかとか、父親として娘をどう見守っていくかということを話し合いました。ムロさんは演者と作り手と両方の視点を持っている方で、それが今回の映画にとってはとてもプラスに働きました」。

村上もムロについて「ムロさんは、自分で舞台の演出もやっているから、両方の視点があって、そこは非常におもしろかったです」とうなずく。「実は撮影が伊藤麻樹さんという女性カメラマンの方なんですが、少し前にムロさんが主演していたテレ東の連ドラ(「Iターン」)のカメラマンをやっていた方なんです。ムロさんと2人で飲んでいた時、スタッフの話になって、『伊藤麻樹さんというカメラマンがとても上手いんです』という話を聞いて、そこから連絡をとって、今回撮影をしてもらうことになりました。今回は、そういうムロさんたちの意見を取り込めるだけ取り込むというやり方をしましたが、すごく貴重な経験をさせていただきました」。

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