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「鬼滅の刃」第19話「ヒノカミ」が“神回”と呼ばれる理由とは?ぶつかり合う、炭治郎と累の家族観

コラム

「鬼滅の刃」第19話「ヒノカミ」が“神回”と呼ばれる理由とは?ぶつかり合う、炭治郎と累の家族観

絶体絶命の状況で父との記憶を思い出した炭治郎が“ヒノカミ神楽”を放つ

「第三夜 鼓屋敷編」のキービジュアル
「第三夜 鼓屋敷編」のキービジュアル[c]吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

竈門家に代々伝わるヒノカミ様に捧げる神楽を亡き父が舞う姿や、父から教わった神楽の呼吸法を思い出し、戦闘に応用した炭治郎は、新たな呼吸“ヒノカミ神楽”を会得する。ここで初めて登場する“ヒノカミ神楽 円舞”を放つシーンの迫力は圧巻だ。その瞬間まで炭治郎が繰り出していた技、青い龍がうねるように旋回していく“水の呼吸 拾ノ型 生生流転”の水の流れが、一気に真っ赤な弧を描く動きに変わる様もドラマチックで美しい。

さらに戦闘中、傷を負って眠りについてしまった禰豆子もまた、眠りのなかで、亡き母から炭治郎の危機を告げられて覚醒。潜在能力を目覚めさせ、“血鬼術 爆血”という、自身の血を燃やし、鬼を焼く技を発揮する。この時、相討ちを覚悟して、累の頸を斬ろうとした炭治郎の折れた刀に、禰豆子の爆血が付着。累の頸を斬る瞬間、爆血が燃え、刀に術の威力が加わったことで、ついに累の頸を切り落とすことができたのだ。

【写真を見る】炭治郎が新たな呼吸“ヒノカミ神楽”を会得!号泣必至の“神回”第19話「ヒノカミ」
【写真を見る】炭治郎が新たな呼吸“ヒノカミ神楽”を会得!号泣必至の“神回”第19話「ヒノカミ」[c]吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable


恐怖で縛られた糸=偽物の絆を断ち切るという、演出の巧みさ

この炭治郎と累の戦いは終盤の表現力もすさまじいもの。炭治郎と禰豆子それぞれが、亡き両親のおかげで潜在能力を発動させ、兄妹の共闘によって強敵を追い詰めるという胸アツな展開は何度見ても感涙必至。炭治郎が家族とのゆるぎない絆の力で、累の恐怖で縛られた糸=偽物の絆を断ち切るという構図にも、メタファーとしての演出の巧みさが光る。

シーンの感動をさらに盛り上げる挿入歌「竈門炭治郎のうた」が流れるなか、累と必死に戦う炭治郎が発した「俺と禰豆子の絆は誰にも引き裂けない!!」という魂の叫びも、観る者の胸に突き刺さる名台詞だ。本作を貫くテーマである家族愛、兄妹愛がギュッと凝縮された「ヒノカミ」の名シーンの数々を、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』がテレビ初放送されるこの機会に、ぜひ改めて振り返ってみてほしい。

「第五夜 柱合会議・蝶屋敷編」のキービジュアル
「第五夜 柱合会議・蝶屋敷編」のキービジュアル[c]吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

文/石塚圭子

※禰豆子の「禰」はネ+爾が正式表記
※鬼舞辻無惨の「辻」は一点しんにょうが正式表記

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