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第34回東京国際映画祭で特集上映される『空白』吉田恵輔監督、“天才”監督への憧れを告白

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第34回東京国際映画祭で特集上映される『空白』吉田恵輔監督、“天才”監督への憧れを告白

10月30日(土)~11月8日(月)に開催される第34回東京国際映画祭のNippon Cinema Now部門で、公開中の古田新太主演映画『空白』を含む吉田恵輔監督の特集上映が開催される。この上映についての記者会見が、10月5日に日本外国特派員協会で開催され、吉田監督、東京国際映画祭チェアマンの安藤裕康、東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの市山尚三ら3名が登壇した。

『空白』は、第43回日本アカデミー賞3冠を獲得した『新聞記者』(19)などのスターサンズ・河村光庸プロデューサーが企画し、『ヒメアノ~ル』(16)や『BLUE/ブルー』(21)などの吉田監督がオリジナル脚本で挑んだヒューマンサスペンス。中学生の娘を亡くした父親の添田(古田新太)が、恐るべきモンスターと化していく。


東京国際映画祭チェアマンの安藤裕康
東京国際映画祭チェアマンの安藤裕康

吉田監督は、自作が特集上映されることについて「僕はずっと塚本晋也監督の照明を担当してきて、塚本監督が世界中から評価を受けていることに、ものすごく憧れを持っていました。あまりにも近くに天才がいたので、自分は選ばれる側の人間じゃないのかなと不安を持っていましたが、いろんな人から応援していただき、今回も作品を選んでいただきました。これをきっかけに、世界の方に知っていただいて、塚本監督には近づけないかもしれないけど、憧れを目指して進んでいきたいなと思います」と目を輝かせた。

記者から、塚本監督のどういう点がすばらしいのか?と質問されると、吉田監督は「誤解のないようにしたい」と前置きしたうえで「20歳のくらいの時、自分がとんがっていたのもありますが、日本映画はダサイなと思っていたんです。でも、塚本監督の『鉄男』いう作品を観て、日本でも世界に負けないかっこいい映画を作る人がいるんだなと思って、それで日本映画のすばらしさに気づきました。塚本監督作は全作品に、オリジナリティや自分らしさがあるので、そこが僕が憧れるポイントでした」と熱い眼差しで語った。

今年は東京国際映画祭の会場が、六本木から17年ぶりに日比谷、銀座、有楽町という銀座エリアに移されることについて安藤チェアマンは「銀座は映画の街として伝統のある街ですし、交通の便もいいので、より広いお客様に映画祭を親しんでいただけるのではないかと思い、決定しました」と説明した。

安藤は映画祭の開催意義について「社会が直面している現代の課題がたくさんあります。1つはジェンダー問題をはじめとするSDGsの課題、そして映像の世界で配信とどう向き合うかいうこと、あるいは国際社会、国内社会に限らず、特にコロナ禍で分断や断絶などコミュニケーションが途切れている現状などです。そういういろんな課題について、映画祭を通じて私たちは考えていきたいと思っています」と力強く語った。

3人でフォトセッション
3人でフォトセッション

また21年間、東京フィルメックスなどを手掛けてきた映画プロデューサー市山尚三が、プログラミング・ディレクターに就任。Nippon Cinema Now部門について「今年制作されたなかで、もっともすばらしいと思ったものを上映するという部門です。海外に発展していってほしい映画を中心にセレクションしました」と語った。

「吉田恵輔監督」特集を組んだ理由については「『空白』は、今年の日本映画を代表する1作といえるほどすばらしい1作。このタイミングでぜひ吉田監督の特集を組みたいと思いましたし、来年以降、もっと吉田監督作が、海外で上映されてほしいです」と期待を込めた。

取材・文/山崎伸子

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