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小野花梨と見上愛、同世代女優が『プリテンダーズ』で演じた等身大の役を語り合う「全部が私そのものの感情でした」

インタビュー

小野花梨と見上愛、同世代女優が『プリテンダーズ』で演じた等身大の役を語り合う「全部が私そのものの感情でした」

「劇中の演技は限りなくリアルで、葛藤を含めて、全部が私そのものの感情でした」(小野)

2021年後期のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」も待機中の小野花梨
2021年後期のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」も待機中の小野花梨撮影/興梠真穂


小野「私は撮影よりも、熊坂監督とのディスカッションのほうがめちゃくちゃつらかったです。普段の役柄だと、自分とは完全に切り離して考えられるけど、今回の花梨役はあまりにも自分と近すぎました。だから監督から『こうしてほしい』と言われた内容に納得できないと、その演技ができないんです。でも、演出どおりにやらなきゃいけないと思ってやろうとするけど、監督からは『そんな納得できない気持ちのままでやらないで』と言われてしまう。だから撮影中に『なぜ、こんなに私をいじめるの?』みたいな被害妄想まで生まれてきてしまったんです」

――逆にそれは監督のねらいでもあったのでは?

小野「そうだったのかもしれないです。そこで折り合いをつけていきましたが、実際に劇中の演技は限りなくリアルですし、葛藤を含めて、全部が私そのものの感情でした。それが結果的にはいいふうに出たからラッキーだったかなと思います」

――それは、熊坂監督ととことんディスカッションできた結果ですね。

デビューして3年目の新進女優、見上愛
デビューして3年目の新進女優、見上愛撮影/興梠真穂

小野「そう思います。もちろん監督によっては、自分の言ったとおりにしてほしいという方もいらっしゃるけど、熊坂監督は自分が思ったことはなんでも言ってほしいし、やりたくないことはNOと言うのもありだから、と言ってくださいました。そこは本当に寛大でしたね」

見上「私もそこは驚きました。熊坂組では、年齢やキャリアなどに関係なく、みんなが同等に意見を言い合って作っていけたので。監督はなんの経験もない私の意見もすごく真摯に聞いてくださって、本当にうれしかったです」

――最後に本作に出演したことで得たものについて聞かせてください。

見上「ちょうど大学に入ったころ撮影に入ったことも大きかったと思いますが、自分自身を知るきっかけを得たような気がします。花梨ちゃんから得たものも大きかったですし、本当に視野が広がったなと思います。以前よりも困っている人や助けを求めている人など、いろんな人のことを考えられるようになったし、自分のことも少しは考えられるようになったというか、人としてちょっとだけ成長できたかなとは思います」

『プリテンダーズ』は10月16日(金)より公開中
『プリテンダーズ』は10月16日(金)より公開中[c]2021「プリテンダーズ」製作委員会

小野「私はいままでしんどいなと思いながら生きてきたタイプですし、苦しかった記憶はいまでもトラウマ級に残っていて、ふと思い出します。幼かった私は、なぜあんなに苦しい想いをしなきゃいけないんだろうと思うこともありましたが、この映画では、花田花梨が私の代わりにそこをクリアしてくれました。この映画を皆さんが一緒に作ってくださったことで、私自身が救われた気がします。だから、この作品に出会う前の私の人生が第1章だとすると、これからの私の人生を第2章にしようと思えるくらい、すごく大きな変化がありました。宝物のような、人生の節目になった作品です!」

取材・文/山崎伸子

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