俳優に監督、評論家らの言葉から読み解く『真夜中乙女戦争』の魅力。「この映画は、若者たちを刺激し、大人たちを挑発する」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
俳優に監督、評論家らの言葉から読み解く『真夜中乙女戦争』の魅力。「この映画は、若者たちを刺激し、大人たちを挑発する」

コラム

俳優に監督、評論家らの言葉から読み解く『真夜中乙女戦争』の魅力。「この映画は、若者たちを刺激し、大人たちを挑発する」

若者を中心に圧倒的支持を集める新進気鋭の作家、Fの同名小説を、『弱虫ペダル』(20)や連続テレビ小説「おかえりモネ」など俳優としても活躍するKing & Princeの永瀬廉主演で映画化した『真夜中乙女戦争』(1月21日公開)。柄本佑池田エライザらが共演するほか、監督を『チワワちゃん』(19)や『とんかつDJアゲ太郎』(20)の俊英、二宮健が務める。平凡で退屈な日々を送る孤独な青年が、恋と破壊との出会いによって想像を絶する事態に巻き込まれていく様を描く本作。その公開に先駆けて、俳優や映画監督、評論家ら著名人が作品を鑑賞。様々な熱い感想コメントが寄せられている。

物語の主人公は、東京で一人暮らしを始めたばかりの大学生“私”。無意味な講義と深夜バイトに従事するだけの日々に絶望していた彼は、「かくれんぼ同好会」というサークルが気になり、その門を叩くことに。そこで凛々しく聡明な“先輩”に出会った“私”は、かすかな恋心を抱き始める。一方、校内でボヤ騒ぎを起こすなど悪戯を繰り返す謎の男“黒服”とも親しくなっていた。“私”は“黒服”と行動を共にし、そこに退屈な日常を壊そうとする彼の考えに賛同する同志たちが集まっていく。やがて、“黒服”を中心としたグループの言動は激化し、“私”と“先輩”を巻き込み、“真夜中乙女戦争”という名の東京破壊計画が実行されようとしていた。

【写真を見る】エモーショナルな夜景の描写は、将来への不安や焦りを抱える若者たちの心情を表現しているようだ
【写真を見る】エモーショナルな夜景の描写は、将来への不安や焦りを抱える若者たちの心情を表現しているようだ[c]「2021」真夜中乙女戦争

キラキラなだけじゃない…将来に希望が持てない若者たちのリアルな青春ストーリー


「こんな青春映画をずっと欲していた!この高揚のために映画を観続けているのだと思う瞬間に満ち溢れた幸福な113分でした」

こちらは女優の門脇麦のコメント。友だちや恋人はおらず、ただ生きているだけの“私”の姿を通して、キラキラしているだけじゃない、リアルで等身大の若者の苦悩や葛藤を描いた青春ストーリーとして本作を受け止めている人は多い。

「10代を苦しむ“乙女”の苛立ち、葛藤、幼さ、成熟、全部が詰め込まれた玉手箱。世界をぶち壊す願望を、もし現実にできるなら、命を賭けたっていい。本作は薄暗い青春のモノローグ。ひりひりするほどの孤独に、吐き気がするほど狂おしい熱。詰め込み放題のエモーションを、どうかそのまま受け止めて」(恋愛コラムニスト・トイアンナ)
「こんな鬱屈した時代に、真正面からの言葉は響かない。それゆえ逆説的に、希望は残酷に描かれる。真夜中、世界が美しく赤く染まる時、破滅は愛おしさすら滲ませた」(映画解説者・中井圭)

池田エライザ演じる凛々しく聡明な“先輩”
池田エライザ演じる凛々しく聡明な“先輩”[c]「2021」真夜中乙女戦争

焦りや不安、根拠のない自信…かつての感情が甦る

監督作『明け方の若者たち』(公開中)で社会に出たばかりの若者が夢と現実の間でもがく姿をリアルに綴った映画監督の松本花奈が、「昔からよく、真夜中にふと目が覚めると考えていました。いつの日か必ず、自分も皆も死んで、いなくなって、やがて無になるはずなのに、どうして孤独であることがこんなにも怖いのだろう、と。この映画を見て、やっとその答えを見つけられたような気がしています」と素直な心情を吐露。自身の経験と照らし合わせ、その時の感情が「甦った」という声も聞こえてくる。

フリーアナウンサーの宇垣美里も、「若さゆえの焦燥感、全能感、破壊への距離の近さ。脆いほどに繊細で危うげなあのひと時の激情があまりに美しく陳腐を超えてスタイリッシュに描かれていて、もう死んでしまったかつての自分を見てちくりと胸が痛くなった」と語っており、本作の切実さがビシバシと心に響いているようだ。

柄本佑が演じる悪戯を繰り返す謎の男“黒服”
柄本佑が演じる悪戯を繰り返す謎の男“黒服”[c]「2021」真夜中乙女戦争

また、新型コロナウイルスの感染拡大に翻弄され、不安と恐怖が蔓延する現代社会とのリンクを挙げる人も。

「2020年、世界に対しての不安が生まれてしまいました。今作を見た時に己の不安や戸惑いを受け止めてくれたような気がして心境が少し変わったような気がしました。ビリー・アイリッシュの主題歌も濃い味を出しているので最後までお見逃しなく!」(俳優、モデル・栗原類)

“私”の心が、“先輩”や“黒服”との出会いで変わったように、生きづらい社会にも希望を見いだすことはできる。そんな前向きなメッセージも感じ取っている。

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