神木隆之介&倉科カナ&清原果耶『3月のライオン』に出会えた意味とは?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
神木隆之介&倉科カナ&清原果耶『3月のライオン』に出会えた意味とは?

インタビュー

神木隆之介&倉科カナ&清原果耶『3月のライオン』に出会えた意味とは?

羽海野チカによる国民的人気コミック「3月のライオン」連載10周年を迎える今年、神木隆之介を主人公に迎えて実写映画化が実現した。

公開中の前編では、孤独を抱えた主人公・零が様々な人と出会う姿を活写。4月22日(土)より公開となる後編では、零と彼を取り巻く人々それぞれの“愛の物語”がより深く描かれ、ドラマチックなクライマックスへと観客を誘う。神木、倉科カナ、清原果耶に話を聞くと、「難しい役だった」と口を揃えた3人。

倉科は「くじけそうになっていたけれど、完成作を観て私も頑張ろうと思った」と語るなど、難役を演じきった今、それぞれが確かな手応えを感じていた。

17歳のプロ棋士・零が、数々の対局や近所に住む川本3姉妹との出会いを通して、愛を知り、成長していく姿を描く本作。人間味と葛藤をにじませるキャラクターを演じるには、それぞれ苦労もあったようだ。

神木「零を演じるのは、とても難しかったです。最初、なかなか零がつかめなくて。おとなしそうな人だなと思ったけれど、原作を読めば読むほど、根性のある男だと思いました。原作の中でも表情がコロコロと変わって、笑ったり、人にツッコんだりする。ではなぜ最初に『おとなしい』と感じたんだろうと思ったら、きっと孤独がうっすらと見えるからなんだと思いました。崩れそうな儚さや孤独をどのように漂わせるのか、どれくらい感情を出すのかというのは、とても難しかったです。大友(啓史)監督と話しながら、徐々に作り上げていきました」。

倉科は、川本家の長女・あかりを。次女・ひなたを清原が演じている。

倉科「あかりさんは夢が詰まっているようなキャラクター。三女のモモの動き次第で芝居が変わっていったり、アドリブも多かったので、その中であかりさんを構築するというのは、とても難しかったです。ふわりとしたイメージで演じるのは簡単かもしれないけれど、そこに個性や内なる強さ、生活感も足していかなければいけないと思いました。受け手でありながらも、後編ではあかりさんは攻め手にもなるので、実は声のトーンも変化させているんです。前編は少し柔らかめ、後編はちょっと強さを見せるために、声を低く演じています」。

清原「私もとても難しかったです。原作を読み込んで、自分なりにひなた像を作って現場に入ったんですが、実際に演じてみるととても難しくて。ひなたは感情も表情もたくさん変わる子。基本的には明るい子で、姉であるあかりさんにも暗いところは見せないようにしますが、とっても芯が強くて負けず嫌いなところもあって。それをどう表現したらいいのか、伝えていけばいいのかと悩んだのを覚えています」。

葛藤するキャラクターと同じように、悩みながら真摯に役柄と向き合い、心揺さぶる人間ドラマを完成させた。前・後編あわせて完成作を観た感想を聞いてみると、3人ともが充実感をあふれさせた。

神木「映画の中で、こんなにもリアルな時間の流れとともに人の気持ちを描けるものなんのだと感じました。僕もあまり今までに観たことがない、すごい作品になったと思います。大友監督は長回しで、ゆっくりと、時間をかけて撮影してくださいました。『このセリフが言いづらかったら言わなくていい。言えるようになるまで待つ』というスタンスでずっといてくださったので。すべてのシーンにおいてリアルな気持ちの変化が映し出されていると思います。まるでドキュメンタリーを観ているかのように、みんながそこに存在して、きちんと生きている作品になったと実感しています」。

倉科「本作の試写を観たのは、実はちょうど女優業について考えていた時期なんです。ちょっとくじけそうになってしまっていた時期で。でも本作での棋士さんたちが、身を切り刻んで、人生をかけて一手一手を指している姿を見て、なんだか自分の思いととても重なったんです。白熱した戦いと、川本家と関わって零くんが少しずつ愛を知っていく姿を見て、本当にこの作品に関われてよかったと思った。頑張ろう、人生をかけてこの道を進んで行こうという、私自身の力にもなったんです」。

清原「約3か月の撮影期間で多くのことを学ばせていただきました。悔しさやうれしさなど、撮影の間に色々な感情を知って、それを自分のなかで整理できたこともあります。これから女優という仕事を続けていく上で、この経験が自分の手助けになればいいなと思っています。神木さんにも倉科さんにもとても支えていただきました。映画には人の温かさが流れていますが、その温かさを私自身もとても身近に感じた撮影だったので、ひなた役にもそれが反映されていると思います」。【取材・文/成田おり枝】

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