卓越した演技を見せた俳優が揃い踏み&番狂わせな選外も…第94回アカデミー賞ノミネートまとめ|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
卓越した演技を見せた俳優が揃い踏み&番狂わせな選外も…第94回アカデミー賞ノミネートまとめ

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卓越した演技を見せた俳優が揃い踏み&番狂わせな選外も…第94回アカデミー賞ノミネートまとめ

現地時間2月8日早朝、第94回アカデミー賞の各賞ノミネーションが発表された。日本代表として出品されていた『ドライブ・マイ・カー』は作品賞、監督賞、脚色賞(濱口竜介・大江崇允)、国際長編映画賞の4部門にノミネートされるという快挙。

『ドライブ・マイ・カー』は4部門にノミネート
『ドライブ・マイ・カー』は4部門にノミネート[c]2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

最多ノミネーションの『パワー・オブ・ザ・ドッグ』は、作品賞、主演男優賞(ベネディクト・カンバーバッチ)、助演女優賞(キルステン・ダンスト)、助演男優賞(コディ・スミット=マクフィー、ジェシー・プレモンス)、監督賞(ジェーン・カンピオン)ほか11部門12ノミネートとなった。続いて『DUNE/デューン 砂の惑星』が10部門、『ウエスト・サイド・ストーリー』と『ベルファスト』が7部門。スタジオ別では、Netflixが27、ディズニー(サーチライト・ピクチャーズ、20世紀スタジオ含む)が23、ワーナー・ブラザースが17ノミネーションとなった。

主演・助演の俳優賞で各4名が初ノミネート。夫婦でノミネートも

ダイアナ妃を演じたクリステン・スチュワートが主演女優賞にノミネート
ダイアナ妃を演じたクリステン・スチュワートが主演女優賞にノミネートPablo Larrain

俳優部門では、主演女優賞のクリステン・スチュワート(『スペンサー ダイアナの決意』)、助演女優賞のアリアナ・デボーズ(『ウエスト・サイド・ストーリー』)、キルスティン・ダンスト(『パワー・オブ・ザ・ドッグ』)、アーンジャニュー・エリス(『ドリームプラン』)、ジェシー・バックリー(ロスト・ドーター』)の4名、助演男優賞のキアラン・ハインズ(『ベルファスト』)、トロイ・コッツァー(『コーダ あいのうた』)、コディ・スミット=マクフィー、ジェシー・プレモンス(『パワー・オブ・ザ・ドッグ』)の4名が初ノミネートとなった。助演俳優賞が、新しい才能や一世一代のはまり役を得て卓越した演技を見せた俳優を祝福する賞となっていることがわかる。

ペネロペ・クルスは主演最新作『PARALLEL MOTHERS』でノミネート
ペネロペ・クルスは主演最新作『PARALLEL MOTHERS』でノミネート写真:Everett/アフロ

主演女優賞候補のペネロペ・クルスと主演男優賞候補のハビエル・バルデム、助演女優賞候補のキルスティン・ダンストと助演男優賞候補のジェシー・プレモンスはそれぞれ夫婦でノミネート。また、前哨戦での結果から主演女優賞のノミネートが確実視されていた主演女優賞のレディ・ガガ(『ハウス・オブ・グッチ』)、助演女優賞のルース・ネッガ(『PASSING -白い黒人-』)とマーリー・マトリン(『コーダ あいのうた』)、脚本賞のアーロン・ソーキン(『愛すべき夫妻の秘密』)などが選外となる番狂わせもあった。

ここ数年で、非英語作品の監督ノミネートも定説に?

【写真を見る】最多ノミネートはNetflixの『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
【写真を見る】最多ノミネートはNetflixの『パワー・オブ・ザ・ドッグ』Netflix映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』12月1日(水)より独占配信開始

第91回のパヴェウ・パヴリコフスキ監督(『COLD WAR あの歌、2つの心』)、ヨルゴス・ランティモス監督(『女王陛下のお気に入り』)や第92回のポン・ジュノ監督(『パラサイト 半地下の家族』)、第93回のトマス・ヴィンターベア監督(『アナザーラウンド』)に続き、非英語圏出身の監督が監督賞にノミネートされることも定説となってきた。今年は脚本賞にノルウェーの『The Worst Person in the World(英題)』(ヨアキム・トリアー監督)、脚色賞に『ドライブ・マイ・カー』といった非英語作品が選出されているが、これも『パラサイト』と同じ流れだ。

『ドライブ・マイ・カー』の快進撃が止まらない濱口監督
『ドライブ・マイ・カー』の快進撃が止まらない濱口監督[c]KAZUKO WAKAYAMA

また、デンマークの『Flee』は国際長編映画賞だけでなく、長編ドキュメンタリー賞と長編アニメーション賞の3部門にノミネート。アフガニスタンからデンマークに逃避行した男性が自身の物語を語るドキュメンタリーで、アニメーション技法が匿名性を保つために使われている。昨年のサンダンス映画祭でプレミア上映され、『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』(20)のリズ・アーメッドが製作と主人公の英語版吹替を務めている。なお、リズ・アーメッドは短編実写映画賞にもプロデュース・主演作の『The Long Goodbye』がノミネートされている。

デンマークのアニメーション・ドキュメンタリー『Flee(原題)』は、アヌシー国際アニメーション映画祭2021でもグランプリを受賞
デンマークのアニメーション・ドキュメンタリー『Flee(原題)』は、アヌシー国際アニメーション映画祭2021でもグランプリを受賞写真:Everett/アフロ


濱口竜介監督が初ノミネートされた監督賞部門には、ジェーン・カンピオンほかケネス・ブラナー(『ベルファスト』)、ポール・トーマス・アンダーソン(『リコリス・ピザ』)、スティーブン・スピルバーグ(『ウエスト・サイド・ストーリー』)といった名前が並ぶ。ケネス・ブラナー監督は監督賞に2度、シェイクスピア劇を映画化した『ヘンリー5世』(89)では、監督・主演俳優の2部門で同時ノミネートされた過去がある。ジェーン・カンピオン監督は、過去に『ピアノ・レッスン』(93)で監督賞にノミネートされていることから、監督賞に2度ノミネートされた史上初の女性監督となった。『ピアノ・レッスン』では脚本賞を受賞、今年は脚色賞にもノミネートされている。

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のジェーン・カンピオン監督
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のジェーン・カンピオン監督写真:Everett/アフロ

ポール・トーマス・アンダーソン監督は3度目の監督賞ノミネート、『ブギーナイツ』(97)の脚本賞や『ファントム・スレッド』の作品賞など過去に8回ノミネートされているが、いまだに無冠。スティーブン・スピルバーグ監督は『ウエスト・サイド・ストーリー』が8回目の監督賞ノミネートで、『シンドラーのリスト』(93)と『プライベートライアン』(98)の2作品で受賞経験がある。

これら23部門のノミネーションは、82カ国、約9400名のAMPAS(映画芸術科学アカデミー)会員が、それぞれの支部にわかれて投票し選出された。映画における多様性、包摂性についての議論が盛んになり、直近4年間で3000名の新会員を迎え入れている。今年のノミネーションにはその影響が色濃く現れており、最終投票は3月17日から22日、授賞式は3月27日にロサンゼルスのドルビーシアターで行われる予定。

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