ムロツヨシが語る、“出会い”への感謝「飛んでくる石を、笑い飛ばせる大人でありたい」
「人に対してズケズケ行くわりには、人を怖がる。そこは自分と近いものを感じました」
劇中で島田のバックグラウンドは具体的に描かれないが、彼が寂しがり屋で、かつ誰か大切な人を失い、心に深い傷を負っていることは、ムロの表情一つ一つから伝わってくる。
島田に対して共感したポイントを尋ねると、ムロは「島田は一人で居ることを怖がっているけど、人そのものについても怖いと思っている点です。過去のトラウマか、心の闇なのか、もしくは本人が闇とは認めずに蓋をしているのかはわからないけれど、彼はそういう暗部を抱えながら生きてきた。だから人に対してズケズケ行くわりには、人を怖がります。そこに僕は共感というか、自分と近いものを感じました」と述懐。
ムロのパブリックイメージと言えば、とてもフレンドリーかつ社交的で、人の懐に入るのがすごく上手なタイプに見えるが、実際に話をしてみると、とても繊細な一面に気づかされる。
「やはり人には、見せられない部分や見せない部分があるのだと思います。僕は常にいい人ではないし、ある人にとってみれば悪人かもしれない。自分がいいと思ってやったことでも、立場が変われば裏切りだと思われるかもしれない。だから僕自身も、人に対する怖さは常に感じています」と告白するムロ。
特に、芸能界にいることで、素の自分ではない“俳優ムロツヨシ”のパブリックイメージがどんどん大きくなっていくと感じることもあるという。
「気がつけば、自分が自分じゃないものになっている。僕は折り合いをつけるというか、受け入れてはいるんですが…。特にいまは、僕からは顔が見えていない方たちの意見が大きくなってしまうこともあります。そこと向き合うには、ある種の鈍感力も必要で、聞こえていても聞こえないふりをする力を身につけるしかない。どこからか飛んでくる石もあるし、全部をよけ切れたと思ったら、後ろから投げられたりもします。それでも僕は、ヘラヘラ笑い飛ばせる大人でありたいです。と、口では言うものの、なかなか難しいですよね」と、本心を明かす。