「時代遅れの英国王室に革命をもたらした」英国王室研究家が語る、ダイアナ妃の色褪せない存在感

インタビュー

「時代遅れの英国王室に革命をもたらした」英国王室研究家が語る、ダイアナ妃の色褪せない存在感

「ダイアナ妃の死を乗り越えたからこそ、いまの英国王室がある」

本作では、執拗な追跡を行うパパラッチとのカーチェイスが繰り広げられ、ダイアナ妃の乗った車が地下トンネルで事故に遭う痛ましい光景が確認できる。また、彼女の遺体を引き取った英国王室が準国葬の「王室国民葬」を行った際に、エリザベス女王が頭を下げてダイアナ妃に敬意を表している瞬間は特に印象的だ。ダイアナ妃の死去後の対応に対する王室の態度が国民から反感を買うこともあり、にしぐちによると「ダイアナ妃の死によって、英国王室はかつてないほどの存続危機に陥った」そう。

国民も深い悲しみに陥った、ダイアナ妃の死。エリザベス女王はその事実を受け止め、ダイアナ妃の事故から多くを学び、“開かれた、愛される王室”として新たな王室へ生まれ変わった。にしぐちは「ダイアナ妃の死を乗り越えたからこそ、いまの英国王室がある」と断言。「ダイアナ妃が亡くなったあと、“国民に親しまれる王室”を心がけて、ものすごい勢いで、時代に合わせた王室になるべく、あらゆる対策が講じられました。SNSのツールを取り入れたのも早く、王室の公式TwitterやInstagramのスタートを切ったのも、エリザベス女王でした。『私たちはいつも、寄り添っている』ということを、しっかりとアピールしていったのです。若くて優秀なスタッフがいて、いまはどんなことにもフレキシブルに対応できる」と王室の変化に言及しながら、「世界的に知名度と人気がある王室になった」としみじみ。

故ダイアナ妃が暮らしたケンジントン宮殿の庭が献花で埋め尽くされたことからも、人々の悲しみがいかに深く、どれだけダイアナ妃が愛されていたかが伝わってくる
故ダイアナ妃が暮らしたケンジントン宮殿の庭が献花で埋め尽くされたことからも、人々の悲しみがいかに深く、どれだけダイアナ妃が愛されていたかが伝わってくる[c]Michael Dwyer / Alamy Stock Photo

「ウィリアム王子とキャサリン妃、ヘンリー王子とメーガン妃の関係がうまくいけば、無敵の王室になれる」

危機を脱し、安定を取り戻した英国王室とはいえ、ヘンリー王子とメーガン妃が王室を離脱し、彼らと王室との深い亀裂が話題に上がることもある。本作を観れば「ダイアナ妃がいかに2人の兄弟を愛していたかがわかる」と目を細めるにしぐちは、「ウィリアム王子とキャサリン妃、ヘンリー王子とメーガン妃の4人の関係がうまくいけば、無敵の王室になれるはず。ダイアナ妃の愛情や想いを受け止めて、兄弟が歩み寄ってくれたら、今後の英国王室はまた光り輝くと思います。そういった意味では、英国王室の今後のカギを握っているのも、ダイアナ妃だと言えますよね」と願いを込めながら、熱く語った。

英国王室を離脱したヘンリー王子とメーガン妃
英国王室を離脱したヘンリー王子とメーガン妃[c]SPLASH/AFLO

「ダイアナ妃は、ファッションでも自分の想いを訴えた」

ファッションアイコンとしても、圧倒的な存在感を放ったダイアナ妃。本作においてもダイアナ妃のファションセンスを堪能することができるが、にしぐちは「ダイアナ妃ほど、心境に合わせて、身につけるファッションが変化した人もいないのではないでしょうか」とにっこり。


夫との別居、離婚後は、慈善活動に熱心に取り組むように
夫との別居、離婚後は、慈善活動に熱心に取り組むように[c]EVERETT/AFLO

「結婚したてのダイアナ妃は、トラッド系で、少し垢抜けない感じもあるファッションでした。思いきり甘めな、ロマンティック系の洋服も多かったですね。注目を浴びることに葛藤しつつも、しだいにそれに慣れてきた時期は、“ザ・ロイヤル”な雰囲気の、全身に鮮やかなカラーを使った華やかなスタイル。結婚生活に悩んでいるころには、自立心の表れなのか、洋服も肩パッド入りやセクシーモードで、頑張っている印象の装いばかり。別居、離婚後は、シンプルでカッコいい人道主義的なファッションへと変化しました。『やっとこれから、自分の人生を生きていける』という時のダイアナ妃の逝去だったので、晩年のスタイルが最もナチュラルでダイアナ妃らしいファッションをしているなと感じます」と変遷を語り、「ダイアナ妃は、言葉だけでなく、ファッションでも自分の想いを訴えています。ファッションに注目して本作を観ても、とても興味深いと思います」と提案していた。

取材・文/成田おり枝

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