キャシアン、シリル、モン・モスマの内面へと迫る!「キャシアン・アンドー」第5話は、濃密な群像劇に|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
キャシアン、シリル、モン・モスマの内面へと迫る!「キャシアン・アンドー」第5話は、濃密な群像劇に

コラム

キャシアン、シリル、モン・モスマの内面へと迫る!「キャシアン・アンドー」第5話は、濃密な群像劇に

ディズニープラスで独占配信中の「キャシアン・アンドー」。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)で活躍した情報将校、キャシアン・アンドーを主人公に、彼のバックグラウンドと反乱軍の誕生の裏側を描いたファンの間でも話題沸騰中のドラマシリーズを、MOVIE WALKER PRESSでは、映画メディアの編集長やライターたちによるリレーレビュー連載で毎週追っていきます。第5話のレビューはライターの久保田和馬がお届けします。

【写真を見る】いよいよ作戦前夜…!キャシアン・アンドーの才能と過去が見え始める?(「キャシアン・アンドー」第4話)
【写真を見る】いよいよ作戦前夜…!キャシアン・アンドーの才能と過去が見え始める?(「キャシアン・アンドー」第4話)[c]2022 Lucasfilm Ltd.

※以降、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。

“もう一人の主人公”!?シリル・カーンがさらに存在感を増す

前々から説明されていたように、この「キャシアン・アンドー」のシーズン1は3話ずつの4章立てとなり、1年の物語が描かれるという。そしてシーズン2で4年分の物語が展開して『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)へとつなげられるのだと。

帝国の武器庫襲撃のチームに加わったキャシアン・アンドー(「キャシアン・アンドー」第4話)
帝国の武器庫襲撃のチームに加わったキャシアン・アンドー(「キャシアン・アンドー」第4話)[c]2022 Lucasfilm Ltd.

長さ的にも各章をそれぞれ1本の映画だと捉えると、キャシアン・アンドー主演の最初のテトラロジーの2作目というわけだ。こうして完全に章ごとに分けて考えれば、ここまでのあまりにもスローな物語の運び方も腑に落ちる。なにせ第5話ではわずか2日ほどしか物語が進行しないのだから。

第5話「やった側は忘れる」は、主人公であるキャシアン・アンドー(ディエゴ・ルナ)が寝ている間に、まさかのシリル・カーン(カイル・ソラー)の物語から始まる。帝国軍の下請け保安企業「プリ=モー」の捜査主任として登場したシリル・カーン。キャシアン・アンドーに執着し、捕獲に乗り出すも惑星フェリックスでこっぴどくやられてしまった。その失態を責められてすごすごと実家に帰ってきたシリルを待っていたのは母イーディのビンタとまさに踏んだり蹴ったり(第4話)。今回もイーディに姿勢を指摘され、不味そうなシリアルに真っ青なミルクを注がれ、さんざん煽られるのだからいよいよ気の毒になってくる。

イーディが見つけてきたシリルの新たな仕事とは…(「キャシアン・アンドー」第5話)
イーディが見つけてきたシリルの新たな仕事とは…(「キャシアン・アンドー」第5話)[c]2022 Lucasfilm Ltd.

さらにイーディは疎遠になっているハーロおじさんにシリルの再就職の斡旋を頼むと言い出し、中盤にはそれが決まるのだが、肝心の仕事内容については含みを持たせたまま。第2章で主人公と対峙した相手の再就職に向けた動きを第2章で見させられるというのはずいぶんと風変わりな話だが、それだけシリルというキャラクターがこの物語に欠かすことのできないものであることの証左ともいえよう。あるいは本当に“もう1人の主人公”なのかもしれない。


その後シリルはキャシアンのホログラムを見つめる。彼の動向が、物語か、あるいはキャシアンの今後に影響してくるということか。

反抗期の娘リーダも加わり、モスマの家庭での居場所のなさが露呈…(「キャシアン・アンドー」第5話)
反抗期の娘リーダも加わり、モスマの家庭での居場所のなさが露呈…(「キャシアン・アンドー」第5話)[c]2022 Lucasfilm Ltd.

そんなカーン家の一悶着があり、また一方では第4話でついに登場したモン・モスマのぎこちない家庭での様子が反芻される。夫のペリンとの不和に続いて、今回は反抗期の娘リーダが登場して朝食の席とは思えないほどギクシャクした空気を漂わせるのだ。『ローグ・ワン』で反乱軍を指揮したモスマのなんとも人間らしい苦悩めいた姿という意外性。

視覚的には極めてシンプルな食卓での対話(キャッチボールというよりドッジボール的な)によって対比、あるいは連動されるカーン家とモスマ家。「スター・ウォーズ」はここまで地に足のついた物語だっただろうかと、「キャシアン・アンドー」には驚かされてばかりである。

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