原菜乃華&松村北斗、『すずめの戸締まり』初声優でかけがえのない経験「今のままの自分で明日を生きていける力をもらった」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
原菜乃華&松村北斗、『すずめの戸締まり』初声優でかけがえのない経験「今のままの自分で明日を生きていける力をもらった」

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原菜乃華&松村北斗、『すずめの戸締まり』初声優でかけがえのない経験「今のままの自分で明日を生きていける力をもらった」

『君の名は。』(16)、『天気の子』(19)に続く新海誠監督3年ぶりとなる最新作『すずめの戸締まり』(11月11日公開)の完成報告会見が10月25日に東京国際会フォーラムで開催され、声優を務めた原菜乃華松村北斗、染谷将太、伊藤沙莉、花瀬琴音、音楽を担当した野田洋次郎(RADWIMPS)、陣内一真が登壇。初声優にして大役を務めた原と松村が、本作で得たかけがえのない経験について語った。

『すずめの戸締まり』の完成報告会見が開催された
『すずめの戸締まり』の完成報告会見が開催された

日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる”扉”を閉めていく少女、すずめの解放と成長を描く現代の冒険物語。1700人を超えるオーディションから選ばれた原がヒロインのすずめ、扉を閉める旅を続ける“閉じ師”の青年、草太役を松村が演じた。

作品に込めた想いを語った新海誠監督
作品に込めた想いを語った新海誠監督

新海監督は「『君の名は。』と『天気の子』を作り終わって、興行として日本全国をまわって感じたこと」が本作の着想の一つとなっていることを明かした。「人の少なくなった、さみしく感じるような場所が全国に増えたことが実感としてある。家を建てる時には地鎮祭などをしたりするけれど、人がいなくなった時には、どうやって終わっていくんだろうと思うことが増えた。人の消えてしまった場所を悼んでいくようなキャラクターを、アニメーションのキャラクターにできないかと思った」と現代の風景を見て感じたことが、作品に込められているという。

さらに「今日はスタッフを代表してここにいますが、ディズニーの影響を受けて始まった、日本のキャラクターアニメーションの一つの美しい到達点になったと言ったら、自分で偉そうなんですが…」と照れ笑いを浮かべながら、「そういうかたちのアニメーション映画になったんじゃないかと思います。大きな画面で体験するにふさわしい映像ができたのではないかと思っています」と胸を張っていた。

RADWIMPSの野田洋次郎と、共作として日米の映画やアニメシリーズで活躍する映画音楽作曲家、陣内一真が参加
RADWIMPSの野田洋次郎と、共作として日米の映画やアニメシリーズで活躍する映画音楽作曲家、陣内一真が参加

新海作品3度目のタッグとなるRADWIMPSの野田と、「3本目はなにができるんだろう」と話し合ってきたという新海監督。「いつものパターンなんですが、脚本を書き終わった後に、“誰かに感想をいってほしい、どういうふうに思われるんだろう”と思って、最初に洋次郎さんに脚本を送ってしまって」と目尻を下げつつ野田への絶大なる信頼感を吐露し、「脚本を送ると、音楽のかたちで感想が戻ってくる」とのこと。野田は「最後の数か月は新海さんの背中が小さくなっていった」と身を削ってものづくりに挑む新海監督の姿を見てきたという。「戦っている勇者のような姿。(制作期間の)2年10か月以上、そこに込めてきた感情のすべてがスクリーンに出ている気がした。日本のアニメーションのど真ん中にこれを届けるという、覚悟と信念を感じた」と完成作を観て盟友としても「誇らしく思った」と語った。

原菜乃華、「言葉にできないくらいすばらしかった」と完成作に感動
原菜乃華、「言葉にできないくらいすばらしかった」と完成作に感動

すずめ役を演じた原は、「パートが終わるごとに、大好きな監督から『菜乃華さん、ステキでした、ありがとう』という言葉をいただけるなんて、夢のように幸せな時間だった」とアフレコを述懐。自身にとって「すごく特別な作品になった」と切りだし、「13歳の時に初めて『『君の名は。』を観て、『新海監督の作品をリアルタイムで観られる時代に生まれてよかった』と友だちと話していた。その6年後に、まさか自分が携われることになるなんて夢にも思っていませんでした。こんなことがあっていいのかと思うくらい、私のなかですごく大切な作品」としみじみ。


松村北斗がかけがえのない経験について語った
松村北斗がかけがえのない経験について語った

前日に初めて完成作を観たという松村は、「作品の持つ力で、いまだに熱が抜けない。それがすごく心地いい映画」と感激しきり。「僕はいま27歳で、若いといえば若いだろうけれど、もうすっかり大人というか。年々、自分でできること、自分一人で戦えるものを身につけなきゃいけない。年々、人に頼ることとか、“誰かのおかげ”でということをなくさないといけない使命感にかられていた」と胸の内を吐露した。

続けて「アフレコ期間はすべてを一度委ねて、新海監督から返してもらったもので、全力で立ち回る期間があった。そうやって必死に生きる生き方を、また一つ新たなルートを見つけられた」と委ねることを経験したことで、「アフレコ期間中、明日が来るのがどんどん楽しくなった。自分の欠けた部分も受容して、ある時は誰かに頼ったり、甘えたり、強みを借りたり、いろいろ試行錯誤していくことで、十分にいまの自分のまま、明日を生きていけると思った。新海さんから、そういう力をいただいた」と力強く語っていた。

劇中で東日本大震災に直接触れる描写もあるが、「いま描かなければ遅くなってしまうんじゃないかという気持ちがあった」と覚悟を明かした新海監督。「もしかしたら日本で一番、おもしろい映画かもしれない。わからないけど…」と笑顔をのぞかせつつ、「楽しんでもらえたらいいなと思っています」と願っていた。

取材・文/成田おり枝

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