2022年、隠れた傑作を見逃してない？『さかなのこ』は、“好き”に自信を持てない人々へ贈る、爽やかなエールだ！

ハコフグの帽子に“ギョギョッ”と愛嬌抜群のキャラクター、全身からあふれでる“お魚愛”とずば抜けた知識で日本中の誰もが知る存在となった“さかなクン”は、どのようにして“さかなクン”になったのか。さかなクンの自叙伝を原作に、のん主演、柳楽優弥、夏帆、磯村勇斗らの豪華共演でフィクションを織り交ぜながら描いた映画『さかなのこ』。今年9月に劇場公開されたばかりの本作が、各動画配信サービスで期間限定先行レンタル配信中だ。

さかなクン初の自叙伝「さかなクンの一魚一会〜まいにち夢中な人生！〜」を大胆にアレンジ！[c]2022「さかなのこ」製作委員会

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お魚が大好きな小学生のミー坊。寝ても覚めてもお魚のことばかり考えていて、ほかの子どもと少し違うことを心配する父親とは対照的に、信じて応援し続けてくれる母親の後押しでのびのびと大きくなる。高校生になっても相変わらずお魚に夢中のミー坊は、まるでなにかの主人公のようにみんなの中心にいたが、卒業後はお魚の仕事をしたくても、なかなかうまく行かずみ悩むことに…。

誰もがどのようなかたちであれ、胸に抱く“好き”という気持ち。周りの人々の後押しを受けながら“好き”に向き合い、“好き”を伸ばし、“好き”を極めていったミー坊の物語は、思いっきり笑って感動でき、そしてちょっとした気付きを与えてくれる。映画ファンはもちろんのこと、子育てに悩む親御さんや、自分の“好き”に自信を持てない人々の背中をも優しく押してくれる、本作の魅力をギョギョっと紹介していこう！

さかなクンの分身“ミー坊”をのびのび好演！のんが全身で体現するポジティブさ

公開記念舞台挨拶でのんとさかなクンが“ハコフグ帽”をかぶってツーショット！写真：成田おり枝

主人公のミー坊役を演じるのは、『この世界の片隅に』(16)での声優業をはじめ、近年では映画監督など“創作あーちすと”としても活動するのん。「さかなクンの役を私にいただけたことがすごくうれしかったです」と、キャスティングされた時の心境を振り返るのんは、撮影前に行われた本読みの際、ホワイトボードに掲げられた沖田修一監督の言葉にドキッとしたという。

それは映画本編の冒頭にも登場する「男か女かはどっちでもいい」という言葉。「『あ、どっちでもいいんだ』という気付きと言いますか、ジェンダー云々の話じゃなく、魚が好きという人としてのミー坊を演じればいいんだなと思いました」と、“ミー坊”というキャラクターに突き進んでいったことを明かす。

【写真を見る】男でも女でもない、“ミー坊”を演じたのん。学生服の着こなしがクール！[c]2022「さかなのこ」製作委員会

9月に行われた舞台挨拶では「私も猪突猛進にやりたいことへ突き進む傾向がある」と、ミー坊との共通点を語ったのん。家族や友人、地元のヤンキーまでも巻き込んでいく天真爛漫な高校時代から、周りがどんどん変わっていくなかで“お魚博士”になるため様々な壁に直面していく青年期までをのびのびと演じ抜く。朗らかに笑って、走って、海にダイブ。そんなポジティブでまっすぐすぎる姿に、とにかく元気をもらえること間違いなしだ。

ちなみに劇中には、ミー坊に大きな影響を与える“ギョギョおじさん”役として、さかなクン本人が出演。おなじみのハコフグ帽に、白衣ではなくトレンチコートをまとったちょっと怪しい人物として登場するユニークさ。出演シーンの撮影以外にも現場に足しげく訪れていたさかなクンについて、のんは「現場にいるとみんなの目がピカピカするような、そういうエネルギーを持った方」と表現しており、劇中での存在感にも注目してほしい。