インタビュー 2023/1/28 20:30

独占取材！リリー・フランキーが『バビロン』の自由を貫く姿勢に共鳴「ものづくりをしている人が観たらショックを受ける」の真意とは？

「ブラピって、映画をおもしろくすることに集中できる俳優なんだと感じています」

リリーは、大スターの貫禄と悲哀を演じきったピットとは「同い年」だという。ピットへの並々ならぬ信頼を、こう明かす。

ブラッド・ピットがサイレント映画の大スター、ジャックを圧倒的な存在感で演じる[c]2023 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

「ブラッド・ピットって、こういったおもしろいことをやる監督の映画には率先して出たいタイプなんですよ。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でブラッド・ピットは仕事のないスタントマンを演じていたけれど、あれもリアルに見えましたよね。そうかと思えば本作のような、時代に押し出されそうになっているサイレント映画のベテラン俳優の役も似合う。すごいなあと思いますよ。ブラピって、映画をおもしろくすることに集中できる俳優なんだと感じています。自分の出演シーンが少なかったり、ほかのキャストに食われたとしても、映画がおもしろくなればそれでOK。そういう映画愛の強い人なんですよね。『キック・アス』のプロデューサーをやっていることを考えても、やっぱりブラッド・ピットって信頼できます(笑)。彼が関わっていればおもしろいんだろうと、思わせてくれる人です」。

リリー・フランキーが制限のなかで映画づくりをする葛藤、『バビロン』に感じたまぶしさを告白撮影/興梠真穂

「僕は女優でもなんでもないのに“こうなりたい”と思いましたもん」

さらにリリーは「そういった意味では、マーゴット・ロビーも出ているだけで観たいと思う俳優」と、ワイルドでエネルギッシュな新人女優ネリーの情熱を体現したロビーも「大好きな俳優」なのだとか。

ハリウッドでの成功を夢見る新人女優ネリーをマーゴット・ロビーが熱演[c]2023 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

「マーゴット・ロビー演じるネリーを見ていると、僕は女優でもなんでもないのに“こうなりたい”と思いましたもん」と笑いながら、「冒頭のネリーが踊っているシーンも最高だし、『面倒臭い女だな』と思わせる演技もすばらしかった。実際に面倒臭い人と仕事をするのはイヤですが、映画のキャラクターとしてはどんどん出てきてほしいですね。その面倒臭さすら、チャーミングに感じられました。マーゴット・ロビーも、シリアスからポップな役までできる俳優さんだなと思います。乳首に氷を当てる場面がありましたが、そういったシーンをポップに表現できる俳優さんって、一体何人いるんだろう？と思うくらいです」と稀有な存在だと大絶賛。「僕にとっては、大好きなチャゼル監督の映画に、ブラッド・ピットとマーゴット・ロビーが出ているだけで最高。公開されたら、絶対に観ようと思っていました」とキャスト陣を見わたしても、大注目の作品だったと話す。

ハリウッドで夢を追いかける、同志であるマニーとネリー。2人の関係はどうなる？[c]2023 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

リリー・フランキーが明かす、映画製作の醍醐味

■リリー・フランキー
イラストやデザインを手掛けるほか、文筆、写真、作詞・作曲、俳優など、多分野で活動。2006年本屋大賞を受賞した初の長編小説「東京タワーオカンとボクと、時々、オトン」は、220万部を超えるベストセラーとなり、舞台やドラマ、映画化も果たした。ほかオリジナル絵本「おでんくん」の出版や、俳優としては『ぐるりのこと。』(08)、37回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞した『そして父になる』(13)、『万引き家族』(18)など、多くの映画、ドラマなどに出演。