「気が弱いからこそ、強面でいたのかもしれない」亡き崔洋一監督に捧げる、38年目の『友よ、静かに瞑れ』秘話|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
「気が弱いからこそ、強面でいたのかもしれない」亡き崔洋一監督に捧げる、38年目の『友よ、静かに瞑れ』秘話

インタビュー

「気が弱いからこそ、強面でいたのかもしれない」亡き崔洋一監督に捧げる、38年目の『友よ、静かに瞑れ』秘話

藤竜也主演、倍賞美津子原田芳雄共演で1985年に公開されたハードボイルド・アクション映画『友よ、静かに瞑れ』が、4Kデジタル修復された鮮やかな映像でよみがえり、4K Ultra HD Blu-ray+Blu-rayの2枚組セットとして発売中だ。

『友よ、静かに瞑れ』4K Ultra HD Blu-ray+Blu-rayは発売中
『友よ、静かに瞑れ』4K Ultra HD Blu-ray+Blu-rayは発売中[c]KADOKAWA 1985

2022年11月27日に満73歳でこの世を去った名匠、崔洋一監督が、北方謙三の同名小説を沖縄を舞台に映像化した本作。うらぶれた港町の多満里をいわくありげな男、新藤剛(藤)が訪れる。彼は旧友の坂口(林隆三)が町の再開発を進める下山建設社長の下山(佐藤慶)相手に刃傷沙汰を起こして投獄されたことを知り、この島にやって来たのだ。坂口が経営し、下山の買収にも応じないホテル・フリーインに泊まる新藤は、下山建設と地元警察の癒着を暴き、坂口の汚名を返上しようとする。だが、新藤の行動にはもう一つ別の目的があった。

取材に応じてくれた浜田毅撮影監督(右)と、成田裕介監督(左)
取材に応じてくれた浜田毅撮影監督(右)と、成田裕介監督(左)

今回の発売にあわせ、本作の撮影を担当し、4Kデジタル修復の監修も務めた浜田毅撮影監督、当時助監督を務めた成田裕介監督の2名が再会し、取材に応じてくれた。亡き崔監督の思い出を語り合うと共に、38年前の撮影の舞台裏を明かした貴重なインタビューをお届けする。

「4Kデジタル修復版は、原版よりよくなっていると思います」(浜田)

――いま改めて本作をご覧になった感想をお聞かせください。

浜田「この映画を撮ったのはもう40年近く前。33か34歳のころだけど、我ながらよく撮ってるなと思いました」

成田「崔さんとは彼が助監督だったころからの付き合い。崔さんは自分と違う意見を出されると『それは近い将来、成田組でおやりになったら?』などと木で鼻をくくったような物言いをするんですよ。それでムカついたり(笑)。この映画もしんどかったけど、頑張ったなと思い出しますね」

38年前の沖縄の、現在とは異なる空気感が作品に独自の魅力を与えている
38年前の沖縄の、現在とは異なる空気感が作品に独自の魅力を与えている[c]KADOKAWA 1985


――今回の4Kデジタル修復版の見どころはどこでしょう。

浜田「ハイ(コントラスト)とロー(コントラスト)のメリハリがついたから、沖縄っぽい感じがよく出ていますね。見せるべきところは見えるようになったことで、原版より良くなったのではないかと。公開当時はさんざん画が暗いと言われたからね(笑)。このグレーディングは僕にとって非常によかったと思います」

成田「この映画の場合、現像で(画面を)暗くする減感を使ったわけです。だから撮影時は大量のライトを使っていて、セットの中はめちゃくちゃ熱かったよね」

コントラストのはっきりした画調で、細部がより鮮明に
コントラストのはっきりした画調で、細部がより鮮明に[c]KADOKAWA 1985

浜田「『あんなにライト使って、なんでこんなに暗いんだ』って黒澤(満プロデューサー)さんに言われてね。ただ崔や角川春樹さんは喧嘩上手で、ラッシュを見て黒澤さんが暗いと言う前に立ち上がって『浜田、これでいいぞ』って言っちゃうんですよ。そこで角川さんもいいねと言ったら、もう誰も文句を言えなくなる(笑)」

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