中毒性の高い“魔性のロマンス”『別れる決心』を映画ファンはどう観た？「たまらなく映画らしい」「1回の鑑賞では到底読み取り切れない奥深さ」

韓国の巨匠パク・チャヌク監督が、刑事と容疑者の関係にある男女の禁断の恋を描いたサスペンスロマンス『別れる決心』が2月17日(金)に公開される。監督の強烈な作家性が発揮された本作は、第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門監督賞を受賞し、世界的に高い評価を集めている。

韓国ではBTSのRMが自身のSNSで複数回鑑賞したと報告し、公開後に発売された脚本集はベストセラーになるほど中毒者を続出させている本作。そんな魅惑の世界をひと足先に味わったMOVIE WALKER PRESS試写会参加者からも「ハマった」という絶賛が多数寄せられているので、映画ファンの感想と共に作品の魅力に迫っていく。

男女の関係が思わぬ方向に…予測不能なサスペンスロマンス

『オールド・ボーイ』(03)、『お嬢さん』(16)など、これまでも二転三転するような先の読めないスリリングなストーリーテリングで観客を魅了し続けてきたパク・チャヌク監督。

『別れる決心』もまた、「この映画がどういうものか掴めてきたあともどこに着地するのか予想がつかない」(20代・男性)、「とんでもないことが起こりそうで起こらない、かと思えば急展開」(20代・女性)といったコメントにあるように予測不可能なストーリーが展開し、美しくも残酷な結末へと突き進んでいく。

史上最年少で警視に昇格するほどの実力者で、忙しい日々を送る刑事のヘジュン(パク・ヘイル)。妻とは週末婚ながら良好な関係を築いていたある日、男性が山頂から転落死した事件の被害者の妻で、容疑者でもあるソレ(タン・ウェイ)と出会う。取り調べを通して、えも言われぬ感情が湧き上がり、互いに惹かれ合っていく2人。ソレのアリバイが見つかり、事件も無事解決したかに思えたが…。

「2人の関係性がどのように転がっていくのか、迷路の中にいるような感覚で見ていた」(20代・女性)
「先の読めないストーリー展開に加え、時間軸が歪み、虚実入り乱れたようなシーンの連鎖に、2人の行き着く先が知りたい気持ちが掻き立てられた」(20代・男性)
「観客に考えさせるような作りになっていて予測不能だった」(30代・男性)

アンケートには、一つの事件を軸にした2人の関係が情感たっぷりに、サスペンスフルに描かれていくストーリーに翻弄された、との感想が多く綴られていた。

また、「最初は刑事もののサスペンス映画かと思って観ていたら、普通のシーンなのに妙に官能的に見えてしまった」(20代・男性)、「直接的でないエロティズムの表現の真骨頂が見られた」(40代・女性)など、普通のシーンであってもどこか官能的な空気が漂う2人の関係性が濃密に描かれている本作。

「中年男女が、それぞれ刑事と被疑者の関係に留まり続けている限り、互いに心で寄り添い結ばれていられる、という皮肉な人間模様。また、虚々実々の駆け引きの果てに見えてくる運命的な愛」(20代・男性)
「最初は疑わしき身内の裏を暴く関係かと思っていたら、ソレに惹かれ、もし犯人であっても隠匿しちゃうヘジュン刑事の恋愛ストーリーなんだと」(20代・女性)
「サスペンスでもないラブロマンスでもない」(20代・女性)

上記の声にもあるようにサスペンスと純愛といった要素が絡み合うことで一筋縄ではいかない深みを生みだしており、それゆえに引き込まれてしまう“沼”のような1作となっているのだ。