中毒性の高い“魔性のロマンス”『別れる決心』を映画ファンはどう観た?「たまらなく映画らしい」「1回の鑑賞では到底読み取り切れない奥深さ」
セット、カメラワーク…あらゆるこだわりが詰まったパク・チャヌク演出
パク・チャヌク監督本人が「喪失の物語を悲劇的なものとして語るのではなく、繊細さとエレガンスとユーモアをもって表現しようとしました」と語る本作は、
「なんとも言えない独特の世界観がすごく中毒性がありすてき」(40代・女性)
「映像やセットの作り込み、こだわりは『お嬢さん』もそうでしたが1回の鑑賞では到底読み取り切れない奥深さがあります」(20代・女性)
「シーンの対比構造やセリフの伏線が重要なシーンで映画的な表現で演出されており、各シーンに意味やメッセージを非常に強く感じた。監督らしい特色も出ており期待以上の出来だった」(30代・男性)
といった言葉が並んでいるように、パク・チャヌク監督の演出によって魅惑的な世界観が緻密に作り上げられている。例えば、青色にも緑色にも見えるソレのワンピースには、彼女がどのような女性なのか?印象の違いを示す意図があったりと、画面に映るあらゆるものに意味が込められているのだ。
そのなかでも際立っているのが独特なカメラワーク。キャラクターにグーっとフォーカスしたかと思えば一気に引く縦横無尽な動きで人物の心の動きを表現したり、映像に意味や含みを持たせている。
「フォーカスの当たり方、画角がすごく好みでした!いままで見てきた映像作品のなかで、画角や映像美、ぼやかしなどを注意深く興味が湧いたのは初めてでした」(20代・女性)
「意味深で甘美なシーンやカメラワーク、カットの割り方や音楽の挿入タイミング…。パク・チャヌク監督の特色が随所に散りばめられていた」(30代・男性)
「カメラワークのおもしろさとセットの細かさで長尺を感じなかった」(30代・女性)
「撮影技法が上手く、予測不能だけどスムーズな展開に貢献している印象を持った」(20代・女性)
上記のような多くのコメントが寄せられたユニークなカメラワークが生みだす美しい映像に加えて、細部まで作り込まれたセット、重厚な音楽まで、様々な要素をまとめ上げたパク・チャヌク監督の手腕はさすがの一言だ。
中毒者続出…多くを語らない作品ゆえに何度も観たくなる!
先読みできない物語、役者たちの見事な演技、監督の確かな手腕とこだわりが巧みに絡み合う本作。「完全に答えを知れないシュールさや余白の残し方が、ヘジュンがソレに惹かれていくように観客をも引きつけていると思う」(20代・女性)との言葉にもある通り、観ているほうもいつのまにか迷路のような世界に没頭してしまう。
韓国では映画館で10回以上鑑賞するヘビーリピーターが続出したことが話題になったが、今回の試写会の参加者たちも作り込まれた作品に魅せられようで「何度も観たい」といった感想が目立っていた。
「一瞬しか映らない美術やショットがそれだけでコンセプトアートとして成立するような美しさで、永久に観ていたいと思ってしまいました。もう一度この世界に浸るためにぜひ繰り返し鑑賞したい」(20代・男性)
「何回も見たくなる中毒性のある作品」(40代・女性)
「映画館に足を運ぶのは年2回あるかないかくらいでしたが、今回の映画は、公開したら必ずもう一度観に行こうと思います」(30代・女性)
「観るたびに謎が増えそうな映画だと思うので劇場でもう一度鑑賞しようと思います」(20代・女性)
「いろいろな解釈ができて映画が終わったあとまで楽しめました」(30代・女性)とあるように、多くを語りすぎない『別れる決心』。鑑賞後も「あそこのセリフの意味はなんだったのか?」と思いを巡らせているうちに再び観たくなる――そんな魔性の魅力にとりつかれてしまうことだろう。
構成・文/サンクレイオ翼