意外にも共感『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』、家族の愛が胸アツ『フェイブルマンズ』など週末観るならこの3本!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
意外にも共感『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』、家族の愛が胸アツ『フェイブルマンズ』など週末観るならこの3本!

コラム

意外にも共感『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』、家族の愛が胸アツ『フェイブルマンズ』など週末観るならこの3本!

週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、”マルチバース”をテーマに、平凡な主婦が世界の危機に立ち向かうアクションアドベンチャー、スティーヴン・スピルバーグの原体験を、気鋭のキャストで描く人間ドラマ、様々なトラブルに見舞われながらもエッフェル塔を完成させた男の奮闘を描くドラマの、人々の絆に心動かされる3本。

母娘の葛藤という小宇宙があり、共感度も極めて高い…『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(公開中)

【写真を見る】キー・ホイ・クァンのアクションにも注目!(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 』)
【写真を見る】キー・ホイ・クァンのアクションにも注目!(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 』)[c] 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

MCUでおなじみの“マルチバース”、すなわち多元宇宙論を取り入れ、平凡な主婦の次元を超えた大冒険を描く奇想天外エンタテインメント。コインランドリーを経営するヒロインが、あらゆる平行宇宙に危機が迫っていることを知らされる。その元凶は反抗期の愛娘!?かくして主人公は次元を超え、ケタ外れの危機に立ち向かう。

笑いとスリルに魅了され、武術の達人や女優など、異次元の自分の能力を得て強くなるヒロインの破天荒な活躍に仰天。一見壮大だがベースには母娘の葛藤という小宇宙があり、共感度も極めて高い。全米賞レースを席巻中でアカデミー賞も見えてきた!?主演のミシェル・ヨー、夫役のキー・ホイ・クァンの妙演ともども、必見!(映画ライター・有馬楽)

ミッツィに贈られる賛辞と赦しが感慨深い…『フェイブルマンズ』(公開中)

スティーブン・スピルバーグが夢を叶えるまでの原体験を描く『フェイブルマンズ』
スティーブン・スピルバーグが夢を叶えるまでの原体験を描く『フェイブルマンズ』[c] 2022 Universal Pictures. ALL RIGHTS RESERVED.

初めて訪れた映画館で映画に魅了されたフェイブルマン家のサミー少年(ガブリエル・ラベル)は、それを機に映画に対する情熱の炎を燃やし続ける。本作は、映画史に残る数々の大ヒット作を手がけた名匠スティーヴン・スピルバーグが、自身の原体験をもとにつむいだ自伝的作品。映画監督になることを夢みる若者とその家族の絆を丁寧に描いた成長の物語だ。

高価な玩具を使って『地上最大のショウ』(53)の汽車の衝突シーンを繰り返すサミー。それをみかねた母ミッツィから8mmカメラで撮ったものを鑑賞することを提案された彼は、さっそく撮影した映像を手の平に投影して目を輝かせる。サミーが映画監督への道を歩み始めたことを象徴する印象的なシーンだ。そんな“映画の魔法”にかかった少年が、たくさんの人と出会い、様々な出来事に直面して葛藤し、学んでいくことで表現者としての眼と心を養っていく。とりわけ彼の人格形成において多大な影響を及ぼしたのが、才能豊かな両親の存在だ。サミーの彼らへの感謝と深い愛情は少しビターテイストだけれど、なにより幼い頃よりサミーの夢を応援し、母としての愛を注ぎ続けてくれたミッツィに贈られる賛辞と赦しが感慨深くて、胸が熱くなる。ミッツィに扮したのはミシェル・ウィリアムズ。少しエキセントリックな魅力も備えた母親像が絶品!(映画ライター・足立美由紀)


純愛としか言いようのない2人の過去や事情…『エッフェル塔~創造者の愛~』(公開中)

エッフェル塔完成までの危機や努力を切り取る『エッフェル塔~創造者の愛~』
エッフェル塔完成までの危機や努力を切り取る『エッフェル塔~創造者の愛~』[c] 2021 VVZ Production – Pathé Films – Constantin Film Produktion – M6 Films

誰もが知るパリのシンボル”エッフェル塔”は、1889年パリ万博の最大の呼び物として建造されたものだが、実はなんと建設途中で“中止”という事態に陥ったという。塔完成に至るまでのコトの顛末を、設計士ギュスターヴ・エッフェルに焦点を当て、その奮闘の陰で育まれた愛と別れの物語を絡めながらドラマチックに描きだす。アメリカの自由の女神像の制作者として名を上げたエッフェルが、当時としては考えられない高さ300m、100%鉄製の塔建造を提案する、その自信に満ちあふれた姿が、後の展開を知るだけにハラハラ!もはや万事休すという事態に陥っても、彼が諦めなかった理由とは――。不倫にして純愛としか言いようのない2人の過去や事情、その運命にせつなく胸を締め付けられる!

ズバリ見どころは、当時のパリを再現した壮大で味わい深い映像、そしてエッフェル役ロマン・デュリスの、相変わらず褪せることのない人好きのする魅力。また、頓挫しかけた巨大な塔の土台+αが野晒しになっている姿、その風景もむしろ必見だ。建築、工事の方法や様子にも肝が冷えつつワクワク。エッフェル塔を見上げると、これまでとは違う深い感慨が沸くハズ。監督は、超大作への抜擢が続く期待の新鋭、マルタン・ブロブロン。(映画ライター・折田千鶴子)

映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。

構成/サンクレイオ翼

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