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【ネタバレあり】「スター・ウォーズ」らしいバトルで後半戦が幕開け!「マンダロリアン」シーズン3第5話レビュー

コラム

【ネタバレあり】「スター・ウォーズ」らしいバトルで後半戦が幕開け!「マンダロリアン」シーズン3第5話レビュー

マンダロリアンの団結が胸アツ!そして不穏な陰謀が…?

第5話では、この2つの柱がそれぞれに発展し、急速に結びついていく。主要舞台がかつてのディン・ジャリンの拠点であり、帝国の残党も居座っていた新共和国の外縁惑星ネヴァロであることからも、それは察せられるだろう。第1話にも登場した海賊が襲来し、ネヴァロ・シティを占拠することから物語は始まる。シーズン2でディン・ジャリンを窮地から救った新共和国のX-ウイング・パイロット、カーソン・テヴァ(ポール・サン=ヒョンジュ・リー)は、これを知ってコルサントに赴き、ネヴァロの救援を主張するが、事務仕事に忙しい上官は乗り気ではない。新共和国内にはびこる悪しき官僚主義というべきか。ともかく、このお役所仕事的な側面は新共和国の脆弱さの表われでもある。

「マンダロリアン」シーズン2や「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」にも登場したX-ウイングのパイロット、カーソン・テヴァ
「マンダロリアン」シーズン2や「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」にも登場したX-ウイングのパイロット、カーソン・テヴァ[c]2023 Lucasfilm Ltd.

さらに不穏なのは、この上官に、部下のイライアが“ネヴァロは新共和国に加入していない”と訴えること。新共和国としては、加盟国の要請に応えるのが最優先だ。かくしてテヴァの救援要請は先送りにされるが、一刻を争う事態であると考えたテヴァはマンダロリアンにネヴァロの窮状を知らせる。我らがヒーロー、ディン・ジャリンが、これを見過ごすワケがない!

不穏なエピソードはここで一旦、棚上げにされ、マンダロリアンのポジティブな物語に転調。ディン・ジャリンは同胞たちにネヴァロを救出することの重要性を訴える。いまやネヴァロの上級監督官となっているディン・ジャリンの盟友グリーフ・カルガ(カール・ウェザース)は、ネヴァロの土地をディン・ジャリンにあたえることを約束していた。流浪の民マンダロリアンにとって、安住の地を築くのはマンダロア再興のためにも必須だ。ボ=カターンは、この意見に同調。そして、かつてはディン・ジャリンと反目していたパズ・ウィズラの感動的なスピーチが、マンダロリアンを団結させる。この流れはエモくてアツい!

「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」ではディン・ジャリンと対立していたが、マンダロリアン団結を呼びかけ、市街地の銃撃戦で勇姿を見せたパズ・ウィズラ
「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」ではディン・ジャリンと対立していたが、マンダロリアン団結を呼びかけ、市街地の銃撃戦で勇姿を見せたパズ・ウィズラ[c]2023 Lucasfilm Ltd.

ネヴァロでの戦闘はまず、それぞれの機に乗ったディン・ジャリンとボ=カターンの海賊の母船への攻撃から始まる。母船内には、第1話に登場した海賊の長ゴリアン・シャード(ノンソー・アノジー)がいる。彼がこれに気を取られているスキを突いてほかのマンダロリアンはネヴァロ・シティに降下し、海賊と交戦する。空中戦と地上戦のタペストリーは、いかにも「スター・ウォーズ」らしいアクションの展開だ。

ネヴァロの街中で海賊とマンダロリアンの激しい銃撃戦が展開!
ネヴァロの街中で海賊とマンダロリアンの激しい銃撃戦が展開![c]2023 Lucasfilm Ltd.

激闘の末、海賊の母船を撃破し、地上も制圧したマンダロリアンはネヴァロの住民に英雄として迎え入れられる。カルガは約束どおり、ディン・ジャリンに広大な土地をあたえ、そこはマンダロリアンの新たな拠点になることが示唆された。これだけでもマンダロリアンの大勝利だが、アーマラー(エミリー・スワロー)はさらなるミッションをボ=カターンにあたえる。それは銀河に散らばっている同胞たちをまとめ上げること。ウォッチの掟ではヘルメットを脱ぐことは御法度だが、アーマラーはあえてボ=カターンにヘルメットを脱がせ、ウォッチ以外の掟の下で生きるマンダロリアンをまとめ上げようとしているのだ。種族のより大きな団結を求めて…新展開のこの場面も胸アツだ!

マンダロリアンのため、新たな使命を帯びることになったボ=カターン
マンダロリアンのため、新たな使命を帯びることになったボ=カターン[c]2023 Lucasfilm Ltd.

しかし、物語は再び不穏に転調する。銀河をパトロール中のテヴァは、新共和国の輸送船の残骸を発見。それは、新共和国に捕らえられたモフ・ギデオンを移送していた船だった。船内のクルーは全員死んでいるが、ギデオンの姿はどこにもない。彼はどこに消えたのか?この船を襲撃したのは何者か?損傷した船内に残されていたのはベスカー合金の破片――そう、マンダロリアンの文化の象徴というべき物質だ。

“マンダロリアンの孤児”としてグローグーにもベスカーのアーマーが与えられた
“マンダロリアンの孤児”としてグローグーにもベスカーのアーマーが与えられた[c]2023 Lucasfilm Ltd.

このように“ポジティブ”と“不穏”の2つの柱は結びついて第5話は終了。この後の展開は、様々なパターンが予想できる。マンダロリアンの中に、帝国の残党と組んでいる者がいる?ベスカー合金は帝国軍残党の偽装工作か?この一件だけで、ディン・ジャリンをはじめとするウォッチの面々は窮地に追い込まれるのか?いやはや、おもしろくなってきた!

ここまで読んでいただいた方はお気づきかもしれないが、シリーズのアイドル、グローグーの第5話における出番は顔見せ程度で、活躍と呼べるものはない。今回は、ある意味“大人の世界”の物語だけに、それもやむなし。しかしキャラの大きさから察するに、グローグーはこの後の展開に絡んでくるだろう。シーズン3で、グローグーはマンダロリアンたちの前でフォースを披露しており、それをこの後の展開に役立てないとしたら勿体ないではないか。

今回はグローグーの出番はちょっとおあずけ!
今回はグローグーの出番はちょっとおあずけ![c]2023 Lucasfilm Ltd.


グローグーのかわいらしさを見られない代わりに…と言ってはなんだが、第5話は人間以外の種族、すなわち多彩なエイリアンの姿をたっぷり見ることができる。海藻のオバケのようなゴリアンをはじめ、海賊の面々は様々な異星人の混合編成。ネヴァロの住民たちも、過去のエピソードで描かれていたように人間ならざる者が多数存在している。シーズン1~3を通じて、これほど多種のエイリアンが登場するエピソードはない。

ゴリアン・シャードの海賊団に属しているカジェインサニクトのヴェイン
ゴリアン・シャードの海賊団に属しているカジェインサニクトのヴェイン[c]2023 Lucasfilm Ltd.

文/相馬学

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