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母親役で新境地を開拓!アン・ハサウェイのキャリアを、デビュー作から振り返る

コラム

母親役で新境地を開拓!アン・ハサウェイのキャリアを、デビュー作から振り返る

名実ともにトップスターへ!ミュージカルの金字塔でオスカーを受賞

プラダを着た悪魔』でのブレイク以後も、ティム・バートン監督の『アリス・イン・ワンダーランド』(12)のような大ヒット作から、『ゲット・スマート』(08)や『ブライダル・ウォーズ』(09)、『ラブ&ドラッグ』(10)といった良質なコメディ、そして『レイチェルの結婚』(08)まで、多彩な顔を見せてきたハサウェイ。

『レ・ミゼラブル』では長い髪をばっさり
『レ・ミゼラブル』では長い髪をばっさり[c]Everett Collection/AFLO

充実した20代のキャリアの集大成ともいえるのが、ヴィクトル・ユゴーの小説を基にした大ヒットミュージカルを、『英国王のスピーチ』(10)のトム・フーパー監督が映画化した『レ・ミゼラブル』(12)。そこでハサウェイは、不遇の女性フォンテーヌを演じるために11キロの減量に挑み、長い髪をばっさり丸刈りに。撮影当時、結婚式を目前に控えていたハサウェイの女優魂ともいえる決断は大きな話題を集めた。

見事に第85回アカデミー賞助演女優賞を獲得した
見事に第85回アカデミー賞助演女優賞を獲得した[c]Everett Collection/AFLO

同作で第85回アカデミー賞助演女優賞を受賞するなど、その年のあらゆる映画賞を総なめに。オスカー女優という称号と共に、30代のキャリアはさらに充実の一途を辿ることとなった。クリストファー・ノーラン監督の作品に立て続けに出演したり、名優ロバート・デ・ニーロと共演した『マイ・インターン』(15)や、サンドラ・ブロックら人気女優たちと共演した『オーシャンズ8』(18)なども大好評。まさに名実ともにスターとしての不動の地位を築きあげた。

“プリンセス”から20年…教育熱心な母親役で新境地を開拓

そして、40代になってから最初の日本公開作となる最新作『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』では、これまでの華やかでスタイリッシュな雰囲気を封印。息子を愛するが故に歪んだ方向へと愛情を注いでしまう母親エスター役を静かに熱演している。

ハサウェイ演じるエスターは、PTA会長も務める教育熱心な母親
ハサウェイ演じるエスターは、PTA会長も務める教育熱心な母親[c] 2022 Focus Features, LLC.

物語の舞台は1980年代のニューヨーク。ユダヤ系アメリカ人の中流家庭の末っ子で12歳のポールは、クラス一の問題児である黒人生徒ジョニーと親しくなったことがきっかけで、複雑な社会情勢が突きつける逆境を知ることとなる。ふたりが学校でやらかした些細な悪さが、彼らの平穏な青春の日々に大きな波乱をもたらす。ポールには頼れる家族がいたが、家庭環境に恵まれないジョニーには支えてくれる大人がおらず、それが2人の行く末を大きく分けることに。

40歳を迎えてさらに輝くアン・ハサウェイから目が離せない
40歳を迎えてさらに輝くアン・ハサウェイから目が離せない[c] 2022 Focus Features, LLC.


PTA会長で教育熱心な母親という、これまでのイメージとは違うタイプの役柄を演じたハサウェイは、「私はエスターのなかに、とてつもない情熱と集中力、決意、弱さ、悲しみ、そして愛を見ました」とも語っている。ハサウェイの演技にも注目しながら、このエモーショナルな物語を劇場でじっくりと味わってほしい。

文/久保田 和馬

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