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初監督作に「ドラゴンボール」&「ナルト」のレガシーをぶち込み!“アニメ大好き”マイケル・B・ジョーダンがガチ過ぎる

コラム

初監督作に「ドラゴンボール」&「ナルト」のレガシーをぶち込み!“アニメ大好き”マイケル・B・ジョーダンがガチ過ぎる

「あしたのジョー」や「はじめの一歩」を彷彿とさせるボクサーの心情に寄せたファイトシーン

ジョーダンのアニメ魂が炸裂するのは、なんといっても試合シーンだ。まず度肝を抜かれるのがクローズアップの多用。「クリード」の試合シーンは、「ロッキー」に比べリアルな描写が売りだった。ジョーダンは今作でその流れを汲みつつも、ボクサーたちの表情やパンチを受けて波打つ肉体をクローズアップ&スローモーションで執拗に描写。闘いのなかで闘志や高揚感、苦痛、戸惑いなどキャラクターの感情を丁寧に描く演出は日本アニメの十八番である。高速パンチの応酬とスローモーションを組み合わせた緩急をつけた画作りも、「あしたのジョー」や「がんばれ元気」、「はじめの一歩」などボクシングやバトル系アニメではおなじみで、アニメ調のスタイルが試合をドラマチックに盛り上げている。

リングで相対するアドニスとデイムに待ち受ける結末とは…!?
リングで相対するアドニスとデイムに待ち受ける結末とは…!?[c] 2023 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.  CREED is a trademark of Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

アドニスとディミアンのライバル関係は、悟空とベジータであり、ナルトとサスケ?

圧巻は大観衆が詰めかけたドジャー・スタジアムで、アドニスとデイムが激突するクライマックスだ。感情むき出しのファイトが続くなか、いつしか歓声や審判の姿が消え、暗闇に浮かんだリングの上でアドニスとデイムが黙々と打ち合う様を挿入。アドニスを苦しめるトラウマを象徴するように、リングに鉄格子が出現するなどインパクトある心象描写が描かれる。過剰ともいえるジョーダンの演出に驚かされるが、それまでのアニメ調の演出のおかげで違和感を抱かせないのがポイント。米国のゲーム系WEBメディア「polygon」によるインタビューで、ジョーダンは「毎日アニメを観ているので、意識することなく自然にアニメ調の試合シーンが組み立てられた」と語っている。アニメの演出スタイルは、すでに彼の骨身に染み込んでいるようだ。

【写真を見る】「あしたのジョー」や「はじめの一歩」を意識した白熱のボクシングシーンに注目!
【写真を見る】「あしたのジョー」や「はじめの一歩」を意識した白熱のボクシングシーンに注目![c] 2023 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.  CREED is a trademark of Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

また、同メディアでジョーダンは、アドニスとデイムの宿命の対決について、「ドラゴンボール」における悟空とベジータ、「僕のヒーローアカデミア」のデクと爆豪、「鋼の錬金術師」のエドとアルフォンスほか様々なアニメの影響を受けたとも語っている。なかでもインスピレーションを受けたのは「ナルト」で、アドニスとディミアンがクロスカウンターを放つシーンはテレビアニメ第670話「好敵手(ライバル)」からの引用だと述懐。


アドニスの幼なじみで、刑務所から出所したばかりのディミアン(デイム)・アンダーソンが立ちはだかる
アドニスの幼なじみで、刑務所から出所したばかりのディミアン(デイム)・アンダーソンが立ちはだかる[c] 2023 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.  CREED is a trademark of Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

幼い頃にグループホームで兄弟のように暮らした2人の対決を、アカデミー時代の友だったナルトとサスケが死闘を演じる姿に重ねたという。ほかにもアドニスとデイムにナルトたちの木ノ葉隠れに伝わる印を結ぶような仕草をさせたり、アドニスが引退試合で履いたトランクスが「AKIRA」の金田のジャケットに似たデザインだったりと、イースターエッグも多いので楽しみにしてほしい。

実写化というスタイルによって、ハリウッドに浸透した感のある日本のアニメ。いわゆる“側”を使ったハリウッド映画が主流のなか、『クリード 過去の逆襲』は魂の部分でアニメの魅力を受け継いだ稀有なハリウッド作品と言える。ジョーダンのあふれるアニメ愛をぜひ劇場で味わってほしい。

文/神武団四郎

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